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ホットミルクとエリみほ

多分に自己解釈が含まれます。期間が開いてしまったので設定にいろいろ齟齬がありますが,ご了承下さい。
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鞄莫迦 @kaban_baka

「大洗には,宿泊施設はあるのかしら。」 「う,うん,あることにはあるけど,その…」 「何か問題があるの?」 「えっと,その,あのね?」 「何よ,はっきりしなさいよ。」 その後も少し電話口でモダも出している様子だった。最早慣れっこなので次の発言が来るのを待つ。 →

2016-05-03 22:33:35
鞄莫迦 @kaban_baka

「えっと,もし良かったらでいいのだけれど,私の部屋に止まらない?」 「えっ」 「打ち合わせ,基本的に学校でやることになると思うんだけど,宿泊施設は学校から少し遠いし,お金もかかっちゃうしね?」 なるほど,理にかなっている。 「みほが迷惑じゃないのなら,おねがいしようかしら。」 →

2016-05-03 22:43:48
鞄莫迦 @kaban_baka

「本当? わかった,準備しておく。」 「お願いね。日程は,そちらで話がまとまってからにしましょう。なるべく合わせることができるよう努力するわ。」 「うん,とりあえずそのくらいかな。」 「そうね。アドバイス,助かったわ。それじゃあ,おやすみなさい。」 「うん,おやすみなさい。」 →

2016-05-03 22:55:56
鞄莫迦 @kaban_baka

電話を切る。寝る前の一杯のために冷蔵庫へ向かう。鼻歌交じりにミルクパンを火にかける。 ふと,我に返る。鼻歌?私が?何故? あぁ,そうか。久しぶりにあの子に会えるのが嬉しいのか。誰かに見られるような場所でなくてよかった。顔に血液が集まるのを感じる。 →

2016-05-03 23:08:00
鞄莫迦 @kaban_baka

次の日は一日中落ち着かなかった。事あるごとに携帯を見てしまうものだから,携帯の電池の減りがいつもより早い。 電源が切れてて連絡がつかないのでは元も子もないので,充電器を買ってしまった。訓練中にその調子では示しが付かないので,メールを送り,電話に出られない旨を予め伝えた。 →

2016-05-04 00:37:34
鞄莫迦 @kaban_baka

結論から言うとその間に連絡はなかった。更にいうとメールへの返信すらなかった。こういうものにはすぐ返す子なので何かあったのではないかと気が気でない。とりあえず部屋には戻ってきたが落ち着かない。とりあえず着替えてしまおうとしたところで,着信音が鳴り響いた。 →

2016-05-04 00:49:32
鞄莫迦 @kaban_baka

画面を見る。「西住 みほ」の文字。電話にでる。 「あっ,もしもしエリカさん?」 「珍しいわね,あなたがメールに返信しないなんて。」 「う,うん。それが携帯を家に忘れてて,それに気付かず学校で探してたの。それで遅くなっちゃった。ごめんなさい。」 「構わないわ。」 →

2016-05-04 00:55:44
鞄莫迦 @kaban_baka

「ありがとう。それで,日程のことなんだけど,私に任せるって言われちゃって。」 「あら,そうなの。それじゃあ話が早いわね。ここで決めてしまいましょう。」 「うん。それじゃあ…」 →

2016-05-04 01:02:47
鞄莫迦 @kaban_baka

「それじゃあ,明後日がいいかな?」 「そうね,後回しにしたところでいいことはないし。」 「エリカさんが色々な免許持っていてたすかったよ。」 「学園艦は融通が効かないからね。」 「ふふ。冷泉さんの時はありがとう。」 「あれは隊長に頼まれたからであって…」 「でも,ありがとう。」 →

2016-05-04 01:13:33
鞄莫迦 @kaban_baka

あの頃の私は,みほに対して負の感情がほとんどであった。隊長に頼まれなければ手を貸すことはなかっただろう。 あの頃? 今は… 「はいはい。」 「ふふ。それじゃあ明後日,待ってます。」 「了解。それじゃあね。」 「はい。」 →

2016-05-04 01:22:34
鞄莫迦 @kaban_baka

次の日は,打合せに向けた準備をする以外,特段に述べることはなかった。そう,特に何もなかったのだ。 寝る前のホットミルクを飲み干す。これで1日は終了だ。もうやることはないので,ベッドに入って寝るだけだ。なのだが… ベッドに横になり,画面を見る。そこには,見慣れた文字列。 →

2016-05-04 01:53:49
鞄莫迦 @kaban_baka

少し躊躇したが、電話をかける。夜遅いはずだが、驚くほどすぐにつながった。 「こんばんは。」 「こんばんは、エリカさん。」 「ごめんなさい、念のため明日のこと確認したくって。」 「大丈夫だよ。何を確認しておこうか。」 「そうね、まずは…」 →

2016-05-04 02:03:07
鞄莫迦 @kaban_baka

「こんなところかな?」 「そうね、ありがとう。かけた私が言うのもなんだけれども、夜中だっていうのに出るの早かったわねあなた。」 「あーうん、もしかしたら電話くるかなぁと思って。」 「どうして?」 「明日エリカさん来るでしょ?、それに、ここのところ毎日電話してたから…」 →

2016-05-04 07:08:08
鞄莫迦 @kaban_baka

携帯を前にしてそわそわするみほの姿が浮かぶ。さっきまでの自分を省みる。なんだこの急に気恥ずかしくなってしまった。 「と、とにかく確認は済んだから、明日お願いね。」 「う、うん。」 「それじゃ、おやすみなさい。」 「うん、おやすみなさい。」 →

2016-05-05 02:30:14
鞄莫迦 @kaban_baka

こんなの、2人してこの電話を楽しみにしているみたいじゃない。いや、実際しているのかもしれない。この際、否定しても仕方ないだろう。 とうとう明日は大洗へと向かうことになる。高鳴る鼓動から目を逸らしつ床に着く。普通に振る舞うことは出来るのだろうか。少し自信がない。 →

2016-05-10 00:27:54
鞄莫迦 @kaban_baka

次の朝、大洗へと向かった。出迎えにはみほと、角谷さんがいた。みほ1人でなかったことに安堵と少しの落胆を覚える。しかしおかげで、当たり障りのない対応をすることができた。互いに全くの初対面ではないため、簡単に自己紹介を交わし、移動後打ち合わせを行った。 →

2016-05-10 00:41:13
鞄莫迦 @kaban_baka

結論から言うと、打ち合わせ自体はなんともあっさり終わってしまった。こちらの人数や装備などの確認が済むと、角谷さんがあれよあれよと宿や訓練場の割り振りを決めてしまった。なんでもすでにある程度コンタクトを取り、約束を取り付けてあるらしい。この人の人脈はどうなっているのだろうか。 →

2016-05-10 00:45:21
鞄莫迦 @kaban_baka

「それじゃ西住ちゃん。あとはよろしく〜。」 そう言うと角谷さんは地図を渡し、どこかへ行ってしまった。時刻は昼前。今日である程度挨拶は済ませることが出来そうだ。 「じゃあ、私が案内するね。」 「お願いするわ。その前に、お昼にしましょう。」 「食堂で良いかな?」 「構わないわ。」 →

2016-05-10 01:06:44
鞄莫迦 @kaban_baka

意図せず、2人きりになってしまあった。とはいえ、特に問題はない。普通に振る舞えばいいのだ。 食堂に入り、注文を終えた後席を探す。選択必修の授業の日は、昼の時間がまちまちになり少し空いているそうだが、それでもやはり人は多い。 歩いていると、遠くから声が聞こえた。 「西住殿〜!」 →

2016-05-10 01:14:36
鞄莫迦 @kaban_baka

明るく人懐こそうな声が聞こえた。みるとあんこうチームの面々が揃って昼食を取っているようだった。軽く会釈をすると向こうも私の存在に気づいたようで、なんとも言えない表情をした。初対面があれでは仕方ないだろう。別の席を探す。 「えっと、逸見殿もどうですか?」 立ち止まる。 →

2016-05-10 10:55:25
鞄莫迦 @kaban_baka

振り返ると皆が私のことを見つめていた。みほは不安げな瞳をしている。私はそんな表情をさせるためにここに来たのではない。 「邪魔するわよ。」 秋山…と言ったか、彼女の隣に腰掛ける。みほは私の向かいに座った。表情は未だ不安げだ。 →

2016-05-11 00:43:50
鞄莫迦 @kaban_baka

軽く自己紹介した後、なんとも当たり障りのない会話をした。しばらくすると、通信手の武部さんが切り出してきた。 「ねぇ、黒森峰にいた時のみぽりんってどんな感じだったの?」 過去形で語られることに内心動揺したが、表に出すことは避けられたようだ。 「そうね、頼りない副隊長だったわ。」 →

2016-05-11 01:13:21
鞄莫迦 @kaban_baka

みほの表情が曇り、他の人の眉がつり上がるが、無視して続ける。 「普段おっとりしているくせに、戦車に乗っている間は的確に指示を飛ばしていたわ。だけど、時折甘さが足を引っ張った。10連覇を逃したのが全てみほのせいだなんて思っている子は1人もいないわ。」 →

2016-05-11 12:54:46
鞄莫迦 @kaban_baka

誰かが口を開こうとする気配がしたが,それを遮るようにまくし立てる。 「私はあなた達が羨ましかったわ。黒森峰でのみほは強かったけど,辛そうだったわ。表には出さないようにしてたみたいだけど。あんなに楽しそうにしてるみほは見たことがなかった。」 →

2016-05-11 13:05:42
鞄莫迦 @kaban_baka

何故他人の前でこんなことを口走っているのだろう。だんだん混乱してきた。 「だから,その,あんな事言って悪かったわよ…」 もう耐えられなかった。残っていたハンバーグを口に押し込み立ち上がる。 「ほら,行くわよ。」 背後から慌てて片付ける音が聞こえたが,足早に立ち去った。 →

2016-05-11 13:50:28