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ホットミルクとエリみほ

多分に自己解釈が含まれます。期間が開いてしまったので設定にいろいろ齟齬がありますが,ご了承下さい。
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鞄莫迦 @kaban_baka

「ま、待ってエリカさん…」 「遅いわよ。」 食堂からやっと出てきたみほにそう声を掛ける。 「さぁ、案内してちょうだい。」 「う、うん。」 歩き出すがみほは私の少し後ろを歩いたまま前に出ようとしない。 「先導してくれないと、場所がわからないじゃない。」 「あっ、そ、そうだね。」 →

2016-05-12 02:06:57
鞄莫迦 @kaban_baka

ぴょこぴょこ歩いて前に出たが、いちいち後ろを確認するので、遅々として進まない。仕方がないので、みほの隣に並ぶ。ここが一番しっくりきた。 「エリカさん、ありがとう。」 「…なんのことかしら?」 「ううん、やっぱなんでもない。」 決して早くはないが、心地の良い速度で共に歩む。 →

2016-05-12 02:18:34
鞄莫迦 @kaban_baka

みほは、大洗女子を救ったヒーローとして町で有名なようだった。商店街の人々も皆明るく気さくで、すれ違う人皆が優しく声をかけてくれた。宿へのあいさつも、角谷さんの根回しと、みほがいてくれたおかげで、とてもスムーズに進めることができた。1人ではこううまくはいかなかっただろう。 →

2016-05-12 02:25:01
鞄莫迦 @kaban_baka

最後の一件を回り終えると,陽はだいぶ傾いてきていた。学校へ荷物を取りに戻り,みほの家へ向かう。道中常に隣を歩いていたが,会話は殆ど無かった。何を話せばいいのだろう。ふと横を見ると,みほは何か考え事をしているようだった。なお話しかけづらくなってしまった。 →

2016-05-12 23:43:21
鞄莫迦 @kaban_baka

そうこうしているうちに,みほの家についたようだ。ようだ,と言うのは,みほがあるドアの前で立ち止まったにも関わらず,鍵も開けずに突っ立っているからだ。 「…みほ?」 「…」 「みほ!」 「…えっ,あっ,ふぁい!!」 本当に考え事に夢中になっていたのだろう。慌てて鍵を探しだす。 →

2016-05-12 23:49:46
鞄莫迦 @kaban_baka

鍵を回す手もおぼつかなかったが,なんとか鍵を開けて部屋にはいることが出来た。部屋はおそらく普通の一人暮らしの部屋なのであろうがとても広く感じられた。部屋にはぼことかいうくまのぬいぐるみがたくさんあった。未だにワタシにはその魅力を理解することは出来ない。 →

2016-05-12 23:56:43
鞄莫迦 @kaban_baka

時計を見ると,もういい時間だ。 「夕飯はどうしましょうかしら?」 「ひぇっ!? あっ,えっとそのっ」 台所の方から素っ頓狂な声が聞こえた。そんなにおかしな質問だっただろうか。そもそも,家に帰って早々台所で何をやっているのだろう。 「えーっとね,その,一緒に作らない?」 →

2016-05-13 00:08:58
鞄莫迦 @kaban_baka

「えっ」 「えっと,あの,武部さんに色々教わったから,それなりに作れると思うんだ。せっかくエリカさん来てくれたんだし,ね?」 「え,えぇ,構わないわよ。」 みほはほっと胸をなでおろしていた。考え事はこの事だったのだろうか。台所へ向かう。 →

2016-05-13 00:20:42
鞄莫迦 @kaban_baka

台所には,材料や道具が一通り用意されていた。食材を見て,言葉がひとりでに口から出てしまった。 「ハンバーグ?」 「うん,エリカさん好きだったから。けどお昼に食べてたから他のがいいかな…」 「いいえハンバーグにしましょう」 「いいの?」 「えぇ」 →

2016-05-13 00:26:06
鞄莫迦 @kaban_baka

ハンバーグは好きだが,自分で作る機会はそれほどなかったように思う。みほも勉強してきたようだが,なんとも危なっかしかった。かくいう私もお世辞にもうまいとはいえず,不格好な肉の塊が2つ出来た。味もお店のほうがマシだと言われてもしかたがないかもしれないが,私はとても好きだった。 →

2016-05-13 00:34:38
鞄莫迦 @kaban_baka

湯浴みを終え,後は寝るだけとなった。 「エリカさんも…いる?」 「頂くわ。」 台所からカラカラと音が聞こえた。少しすると湯気のたつカップを2つ持ったみほが現れた。 「はい,どうぞ。」 「ありがとう。」 程よく温まったミルクに心がほっと安らぐ。ベッドに腰掛けるみほに声をかける。 →

2016-05-13 00:53:26
鞄莫迦 @kaban_baka

「隣,いいかしら。」 「うん。」 みほの隣に腰掛ける。お風呂あがりであることもあって,みほから,みほの香りがした。みほの肩に頭をあずける。 「エリカさん?」 「…」 心の中を吐露してしまいたい。みほが立ち去ってから私が何を思い,考え,感じてきたのか。 →

2016-05-13 01:12:55
鞄莫迦 @kaban_baka

様々な思いが綯い交ぜになったが,最後に口から零れた言葉は一つだった。 「寂しかった…」 これ以上言葉は出なかった。体重をかけてこちらを見れないようにする。 「エリカさん…?」 「な,何か喋りなさいよ。」 「え,えぇ?」 「なんでもいいから,早く。」 「えーと,うん。」 →

2016-05-13 07:22:26
鞄莫迦 @kaban_baka

促したのは私だが、本当に脈絡のない話をしだした。投稿の時間にちょうどパン屋さんのパンが焼ける香りがするだとか自動車部のくせに優秀な戦車整備工がいるとか、最近のジョギングコースは、学園艦の外周を海を見ながらだとか。 そうこうしているうちに、眠気が襲ってきた。そういえばずっと歩きっp

2016-05-13 07:31:44
鞄莫迦 @kaban_baka

ふと気づくと、いつの間にかベッドで寝ていたようだ。寝返りをうとうとして、隣に誰かいることに気づく。みほだ。別に布団も敷いたはずなのになぜ私はベッドでみほと一緒に寝ているのだろう。そういえば、昨日話しながら寝てしまった気もするが、まぁもう少しこの温かさに実を委ねよう。 →

2016-05-13 07:39:50
鞄莫迦 @kaban_baka

再度目を覚ますと部屋は大分明るくなっていた。再度温もりを求めると、隣にみほがいなかった。身を起こし周りを見る。台所から物音がするので、恐らく朝食の支度をしているのだろう。胸をなでおろすと共に、あまりの自分の慌てように顔が熱くなる。 →

2016-05-13 11:42:25
鞄莫迦 @kaban_baka

みほが用意してくれた朝食を2人で向かい合っていただく。 「寝ちゃった私が言うのもなんだけど、なんで私をベッドに寝かせたのよ。敷いてあるんだから布団に寝かせてくれればよかったじゃない。」 「だってエリカさん寝ちゃったと思ったら私の服掴んで離さないんだもん。」 →

2016-05-13 11:48:38
鞄莫迦 @kaban_baka

口に含んだものを吹き出しそうになったが、なんとか堪えた。 「私が!?」 「うん、なんとか離そうともしたけど、あまり乱暴にして起こしちゃうのも悪いし、別に一緒に寝るの嫌じゃないし…」 いつもの通りのへにゃっとした表情で言う。あまりにいつも通りすぎて逆にこちらの調子が崩れる。 →

2016-05-13 12:31:04
鞄莫迦 @kaban_baka

「ふーん…」 「あっ,もしかして嫌だった…?」 「別にそういう訳じゃ」 「ほんと?」 「ほんとよほんと。」 「そう,良かった。」 このままではなんだかダメに成ってしまいそうだ。黙って食事を口に運ぶ。みほの機嫌は大変に良さそうだ。なんとも和む。 →

2016-05-13 15:53:24
鞄莫迦 @kaban_baka

しかし,あまりにもスムーズに行ったおかげで今日一日丸々空いてしまった。もともと今日も打ち合わせに使う予定だったので,今戻ったところで特にやることもない。どうしようか。 「あの,エリカさん。」 「なによ。」 「今日何か用事あったりする?」 →

2016-05-14 00:22:24
鞄莫迦 @kaban_baka

「今日も打ち合わせに使う予定だったし,特にないわ。」 「そうしたら,良かったら,一緒にお出かけしない?」 「え?」 「だって,エリカさんとは滅多に会えないでしょ?それに黒森峰の時はそんな機会あまりなかったし…」 「え,えぇ,そういうことなら…」 →

2016-05-14 00:42:28
鞄莫迦 @kaban_baka

みほはこんなに積極的な子だっただろうか。私の知っているみほはもっと引っ込み思案で,自分の意見が行けない子だった。みほは変わったのだろうか。それとも,黒森峰ではずっと抑圧された状態だったのだろうか。真偽は分からないが,大洗へ行ったのは,きっとみほにとって良いことだったのだろう。 →

2016-05-14 00:46:18
鞄莫迦 @kaban_baka

「それで,どこへ行くの?」 「今日も大洗に停泊してるから,また町を歩こう。昨日は挨拶に回るだけであまりお店見ることが出来なかったでしょう?」 「それもそうね。それだったら,あの店に行きたいわ。ほらあのご夫婦の。」 「いいね。せっかくだからアウトレットにも!」 →

2016-05-14 01:38:33
鞄莫迦 @kaban_baka

楽しい時間はあっという間に過ぎるものである。そろそろ帰らなくてはならない。 「エリカさん,今日は付き合ってくれてありがとう。」 「こちらこそ。打合せともども助かったわ。これはお礼よ。」 予め用意してあった物を渡す。 「わぁ,中身見ていい?」 「えぇ,勿論。」 →

2016-05-14 01:44:27
鞄莫迦 @kaban_baka

「マドラー?」 「あなたミルクに蜂蜜入れてたでしょ?それ混ぜるのにでも使いなさいよ。」 「ありがとう。実は私も…」 といってみほから可愛らしい袋を渡される。世話になったのは私の方なのに,なんだか不思議な感じだ。 「ありがとう。私も開けるわね。」 「どうぞ。」 →

2016-05-14 01:52:45
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