- bookmark_vodka
- 827
- 0
- 0
- 0
5-1-41 何となく、というよりかなり歯切れの悪い答えに思えた。はぐらかされている…気がする。 「あの、ではもう一つだけ。私は何故ここの配属になったのでしょうか?」 「あー、それはクジ運が悪かったと思ってくれ。最も、ここは任務も数える程度しかないから、楽な場所とも言えるかな?」
2016-05-20 22:31:515-1-42 やれやれ、といった調子で答える司令官。 …ここまでで確信した事がある。この人…いや、ここに居る人達は…何かを隠している。 「質問は終わりかな?」 …いっそあった事を全てぶつけてみるべきか、迷ったが… 「いえ、大丈夫です。有難うございます」 一旦心の中にしまいこむ。
2016-05-20 22:32:525-1-43「そうか」 司令官が一瞬安心したような顔をしたのを見逃しはしなかった。 「では鳳翔、綾波を部屋まで案内してやってくれ…ささやかだが、歓迎会の準備もさせてもらおう。部屋の場所を覚えたら、夕食の時間までは今日は好きに行動してもらって構わない。但し、海には出ないようにな」
2016-05-20 22:33:585-1-44「ごめんなさいね、掃除はしたんだけれどちょっと埃っぽくて…」「いえ、有難うございます」 連れてきてもらった部屋は、簡素だが一人部屋としては十分な部屋だった。 掃除はきちんとされた形跡はあるものの、長く使われていなかった感は拭えないが…
2016-05-20 22:35:225-1-45「ねぇ、綾波ちゃん」 鳳翔さんが少し心配そうに話してくる。 「不安なのは分かるけど、あの人は…あの人なら大丈夫だから。だから、信頼してくれると…私も嬉しいわ」 「…はい」 鳳翔さんには見抜かれているように思う。…今の返事だって心がこもっていないのもバレたかもしれない。
2016-05-20 22:35:475-1-46「…そう、それじゃまた、夕飯の時間にね」 そう言うと鳳翔さんは部屋を出て行った。 …しんと静まり返った部屋で目を閉じ、考えを巡らせる。 まだ何もかもが見えてこない。この島の事も、私の事も、皆が隠している事も…そして、私以外の家族がどうなってしまったのかも。
2016-05-20 22:37:125-1-47「…」 艦娘。綾香達にとってそれは、海の大半を奪われたこの世界において希望のような存在であり、しかしどこか遠くにいる英雄のような存在だった。 そして、艦娘である綾波としても、自分が深海棲艦と戦う存在意義においてそれは偽りないように思えた。
2016-05-20 22:38:025-1-48 でも、何かがおかしい。艦娘を指揮する立場にあるのは海軍…その海軍には「私達」が今まで知るよしも無かったウラがあるのかもしれない。 私が今の姿になった事 家族が連行された事 第肆型 監獄島 …それに、何かを隠している司令官 いてもたってもいられず、部屋から出る。
2016-05-20 22:39:16メモ:艦これ世界における海軍がどんな存在なのか、また艦娘がいかにして艦娘になるのか、というイメージはヴァヴァさんの統括する世界のように沢山あるハズですが、私の中ではそれらが「綺麗な物語である」で纏まらないのです。
2016-05-20 22:46:11