ニンジャカタナ!Location#A.D2399 Chapter 6 『ガラクタの神様』

前回までのあらすじ: 次元航行船ラピスに突如として現れた二人のニンジャ。その争いに巻き込まれたカーヤは、戦いの最中ニンジャの少年カタナに庇われ命を拾う。カタナは言う、自分がニンジャを終わらせると――。 保管庫 https://kakuyomu.jp/works/1177354054880208335
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ニンジャカタナ! @NJkatana

こんばんは!予告の通り、1930分よりニンジャカタナ!のTwitter投稿を開始いたします!本日も一時間程度TLをお借り致しますが、どうか暖かく見守って頂けると幸いです٩(๑•̀ω•́๑)۶

2016-05-21 19:27:13
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ニンジャカタナ!はTwitter小説です。@NJkatanaをフォローすることで、自分から読みに行くことなく、ラジオ感覚でお楽しみいただけます。どうぞお気軽にご覧になってみてください٩(๑•̀ω•́๑)۶ pic.twitter.com/VnSBmw2sTK

2016-05-21 19:29:34
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それでは、本日も宜しくお願い致します。作者アカウントでも宣伝のため、冒頭数ツイートは投稿させていただきます。

2016-05-21 19:30:35
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前回までのあらすじ: 次元航行船ラピスに突如として現れた二人のニンジャ。その争いに巻き込まれたカーヤは、戦いの最中ニンジャの少年カタナに庇われ命を拾う。カタナは言う、自分がニンジャを終わらせると――。 だが、カタナはもう一人のニンジャ、アレイドの凶刃に倒れる。そしてカーヤは――。

2016-05-21 19:32:36
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ニンジャカタナLocation#A.D2399 Chapter 6 ガラクタの神様 ――――――――――――――◆ pic.twitter.com/3dzufnzv3m

2016-05-21 19:33:31
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目の前に迫る赤い閃光。作業場にある物全てがなぎ倒され、飲み込まれて消えていく。 僕は自分がこれで死ぬなんてことも考えられなかった。ただB.Bを抱いて、その光に背を向けることしかできなかった。 体がふわりと浮いて中空に放り出される。もの凄い風が僕の周りを通り過ぎて――。

2016-05-21 19:34:57
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「――っぷはあああ! あっぶねええ!」 「う、うわああ!?」 光が開けた先、僕は数え切れない程のビーンズの山から顔を出して辺りを見回した。 警報の鳴り響く見覚えのある通路。ここは、ラピスの第七ブロック……さっきの場所に戻ってきたの!? でも、僕は確かに光に飲み込まれて――。

2016-05-21 19:36:37
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「カミサマ! ダイジョウブデスカ!」 「「「カミサマ! カミサマ!」」」 「うわっ! ちょっとまっ――」 驚く僕に、山のような数のビーンズが一斉に群がってくる。このビーンズはみんな作業用だ。サッカーボールくらいの大きさの金属が次々とぶつかってきて、正直ちょっと、いやかなり痛い。

2016-05-21 19:39:07
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「はぁっ――はぁっ――なんとか、みんな跳ばせた、ぜ――」 大量のビーンズをくっつけた僕から少し離れた場所、荒い息を吐いてカタナが床に倒れ込む。 よく見ると、周りのビーンズはみんな緑色の光を帯びていた。しかもこの数――きっとラピスの中にいた殆どのビーンズがここに集まってる――。

2016-05-21 19:41:01
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「お、お前――なんで!?」 すぐにわかった。 こいつは、このニンジャは、僕達全員をアレイドの攻撃から逃がしたんだ。 カタナの脇腹にはまだ赤い粒子の槍が刺さってる。血が滲んで、光る赤とどす黒い血の赤が混ざってる。それどころかカタナの光は、さっきまでよりずっと小さくなっていた。

2016-05-21 19:42:49
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「――ともだち、なんだろ?」 「とも、だち――?」 苦しそうにうめき、大粒の汗を流すカタナが僕に言う。 ともだち――。 でもビーンズは機械だ。創ろうと思えばいくらでも創れる。壊れたって、すぐに元通りにできる。こんな、助ける必要なんて――ない、のに――。

2016-05-21 19:44:50
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僕は、僕が感じている感覚がどこか遠くにいってしまったように感じていた。 音が消えて、目の前は真っ暗になる。 ――ゴメンナサイ、カミサマ―― 僕の力は、機械を創り、心と知能を与える――。 心と知能を――。

2016-05-21 19:46:27
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――ダイジョウブ? カミサマ――  600年。 ずっと、一緒にいたのに――。

2016-05-21 19:47:49
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「――どうして、助けたんだ! お前は……ニンジャだろッ!?」 視界が滲む。僕は子供みたいに涙を流し、叫んだ。 「みんな、消えちまったんだ――俺が消した――」 カタナは言って脇腹に手を当てる。すると粒子の色が変わり、緑に――。 カタナの傷は嘘みたいに綺麗に消えていた――。

2016-05-21 19:50:07
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「知らなかったんだ……みんなを消すつもりなんて無かった……」 カタナの顔が、苦痛と後悔に歪む。本当に悲痛な顔――。 「だから、もうこれ以上消したくない。お前だって、みんなが消えたら寂しいだろ?」 言って、カタナは通路に座り込み、背を壁にもたれさせて深く息を吐く。

2016-05-21 19:51:53
ニンジャカタナ! @NJkatana

「はぁっ――はぁっ――!」 胸を押える。呼吸が荒くなって、足が震える。 ――み ん な が き え た ら さ び し い だ ろ ?―― ゴメンナサイ、カミサマ――。   ちょっと待って――。 僕は、今まで何回この声を聞いた?

2016-05-21 19:53:56
ニンジャカタナ! @NJkatana

守れ守れ守れ! 僕を守れ! ――ゴメンナサイ、カミサマ―― 僕は、ボクは、ボクハ――。

2016-05-21 19:55:02
ニンジャカタナ! @NJkatana

「――カミサマ」 視界が開ける。 一体どれだけ泣いたんだろう。視界は定まらないし、目は痛い。気づけば僕はまた、山ほどのビーンズの中に埋まっていた。 「ナカナイデ、カミサマ。ミンナ、アタナガダイスキ」 ビーンズの山を転がって、B.Bの頭が僕の頭にコツンとぶつかる。

2016-05-21 19:58:03
ニンジャカタナ! @NJkatana

B.Bのモニター表示が丸とハートのマークに変わり、呆然とする僕をさらに混乱させる。 「でも僕は、君たちにずっと酷いことを――」 「ミンナ。カミサマトノクラシ、タノシイデス」 その言葉に、僕はまた光が滲んでいくのを感じた。蹴ったり踏んだり、酷いことばかりしてきたのに――。

2016-05-21 19:59:54
ニンジャカタナ! @NJkatana

「「「カミサマー! カミサマー!」」」 「――ありがとう、みんな」 また泣き出した僕を、心配そうに伺うビーンズ。目を伏せて、涙をスーツの裾で拭いて、僕はなんとか笑みを浮かべた。 「――良かったな」 「カタナ……君は……」 微笑むカタナの表情は、どこか、寂しそうだった――。

2016-05-21 20:01:19
ニンジャカタナ! @NJkatana

「――皆を助けてくれて、ありがとう」 頭を下げる――。 僕は馬鹿だった。ガラクタと言ってビーンズを罵り、足蹴にして、役立たずだって馬鹿にした。 だけど、本当にガラクタだったのは僕だった。僕は、ガラクタの神様だったんだ――。

2016-05-21 20:04:18
ニンジャカタナ! @NJkatana

「気にすんな! それに、まだ終わってねえ」 カタナは笑い、立ち上がって僕を見る。その視線を正面から受け止め、僕も強く頷いた。 「でも、これ以上迷惑かけられねえ。俺はこのままどっか別のとこに跳ぶから、その間にお前は――」 「カーヤ……カーヤ・クーシスト。僕の名前」

2016-05-21 20:07:03
ニンジャカタナ! @NJkatana

「逃げない。ここは僕の世界だ。それをこんなにめちゃくちゃにされて、黙ってなんかいられない」 そうだ、僕は昔同じことをニンジャにされて、無様に逃げた。 数え切れないほどのビーンズに助けて貰って、先生に、父さんに助けて貰って――。 逃げない。もう二度と、あんな無様は晒さない!

2016-05-21 20:09:56