漢語上古音・中古音についてのツイートまとめ(2)~中古三等韻の種類に関して
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無介音 *PKQ / *TCS-aŋ > -aŋ(唐) R介音 *PKQ / *TCS-raŋ > -(r)æŋ(庚) I介音 *PKQ / *TCS-iaŋ > iaŋ(陽) RI介音 *PKQ-riaŋ > -iæŋ(庚) *TCS-riaŋ > -(r)iaŋ(陽)
2016-05-08 23:47:16方*piaŋ > pyaŋ(陽) 兵*priaŋ > prieŋ(庚) 相*siaŋ > siaŋ(陽) 霜*sriaŋ > sriaŋ(陽) 疆*kiaŋ > kiaŋ(陽) 京*kriaŋ > krieŋ(庚) twitter.com/HishamWaqwaqi/…
2016-05-13 00:03:42上古陽部 *aŋ から中古各韻への変化。灰色部分は主母音が変化(庚韻になった)した韻。 pic.twitter.com/gzRZ2ocn0v
2016-05-08 22:41:495. 上古元部 (r)an, (r)on, (r)ian, (r)ion の変化
無介音 *PKQ / *TCS-an > -an(寒) R介音 *PKQ / *TCS-ran > -(r)æn(刪) I介音 *PKQ-ian > -ian(元) *TCS-ian > -ien(仙A) RI介音 *PKQ / *TCS-rian > -(r)ien(仙B)
2016-05-08 23:57:18※庚III韻と清韻の揺れ
「貞」trieŋ は庚韻三等 -rieŋではなく清韻 -ieŋ に属している。 清韻は甲類(介音 i)専属だと思っていたがそうではないのか。
2016-05-09 21:38:26※以上の i/ri 介音の差を以て中古三等丙類韻を分けられるか
重紐(拗音における甲類・乙類の対立)の無い丙類韻であっても、こういう場合は介音を分けられそう。上古*i / *ri介音の差が母音の分化をもたらしているので。 twitter.com/HishamWaqwaqi/…
2016-05-13 21:06:44上古文部 *ən, *unも介音が *i か*ri かによって韻が分かれる。 欣文韻(丙類)は *i 側に由来する。 twitter.com/HishamWaqwaqi/…
2016-05-13 21:25:40上古魚部 *a や侯部 *o に属する丙類韻の場合は難しい。*ia / *ria どちら側も魚虞韻 io, yo になったため。 *Kia, *Kria > Kio Baxterもこういうのを *K(r)ja とまとめている。
2016-05-13 21:35:12※そもそも分ける必要が無いのでは
@HishamWaqwaqi 丙類PKQは,音声上で介音乙(らしい)ですので,これを敢えて介音甲側へ表記することを検討することとなりますと,表語性の都合以外に理由はありません。何か表語的最小対を成している詞はありますか?
2016-05-13 21:53:19つまり,例えば「方 priaŋ」ですと,同じ /priaŋ/ の中(またはその類似声母)に //piaŋ// と //priaŋ// の対立が無い限り,これをpiaŋとpriaŋに分ける必要性そのものが無いのです。
2016-05-13 22:06:45音声的にはpriaŋなので,縦え由来が *piaŋ だったとしても,単純に「piaŋからpriaŋとなった」と解釈すればいいだけですので。
2016-05-13 22:08:57@Zyengrio それについてはちょっと思い当りません。例のように*i と *ri で別の韻に分化している場合対立項が無いので問題無いと思うのです。ただ上古からの音韻変化を考慮に入れたとき「丙類を全てriとする」と不整合が生じると考えているところです。しかしこれも
2016-05-13 22:28:43@Zyengrio 仰るように「丙類PKQは,音声上で介音乙」であるので、iと甲類同様の表記をすると別の不整合が生じますよね。吉 kit の i は甲類なのに疆 *kiaŋ(kriaŋ)の i のほうは乙類で読むことになるので。
2016-05-13 22:31:23@Zyengrio 先ほどツイートされた内容にありましたように、PKQ-*i > PKQ-ri(ï) に変化したとも解釈できますね。それなら問題はありませんね。
2016-05-13 22:39:36※上古無拗音と考えれば
*piaŋ > priaŋ 「PKQ-*i > PKQ-ri(ï) に変化したと解釈できる」 →あるいは、上古無拗音説に立てば、「唇牙喉音の後では拗音の萌芽が弱く乙類様の ï 介音が生じた」という見方になるだろうか。
2016-05-13 23:23:37承前)唇牙喉音の後でも主母音が *i, *e の場合は前舌の i 介音を生じやすい。よって甲類韻となる。 *peŋ > pieŋ(甲) *preŋ > p(r)ïeŋ(乙) cf. *paŋ > pïaŋ(丙)=音声上は(乙) *praŋ > p(r)ïeŋ(乙)
2016-05-14 03:37:32※やはり丙類韻を分ける必要性がある?
*i 介音は軽唇音化の条件となる
平山久雄《唐代音韻史に於ける軽唇音化の問題》で,三根谷徹《軽唇音化の問題》を引いた部分がこれです。軽唇音化B類説の出典。 pic.twitter.com/XyXzP1bund
2016-05-24 00:47:46単純に説明しますと,唇音三等に於ける軽唇音化について,A類側だったからこそ変化したのであれ,という説を見つけたのです。 隋拼で軽唇音化の条件は「唇音三等でかつ主母音が後舌 (a o u) のとき」としていまして,それで特に問題は無いのですが,介音も条件であれば無視できません。
2016-05-23 12:41:20