震災記録と災害関連法規の書籍情報

熊本・大分地震に関する最新情報はネット上で検索できますが、これまで幾つか見てきた書籍や論文の情報の紹介を、図書館の所蔵先なども含めてまとめました。何かのご参考になれば幸いです。
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佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

熊本県域を震源とする大地震は、この明治22年以来ほぼ無かったと言えるだろう。そうすると約130年もの間のブランク。1世代を30年とすると、ほぼ4世代、地震の経験の無い地域となった。台風、水害はこの間も頻発したであろうが、地域における地震の記憶は失われていたと見てよいのかもしれない

2016-05-06 20:43:59
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

重ねて、ありがとうございます。まだ県の防災資料にあたっていなかったので、非常に助かりました。これを見ると、近年、震度4クラスが起きているのは阿蘇山周辺ということになりそうですね。 twitter.com/tsubu_02/statu…

2016-05-06 21:28:29
つぶ二 @tsubu_02

@ke_1sato 県の防災計画 cyber.pref.kumamoto.jp/bousai/Content… の 地震・津波災害対策編 14ページ付近に明治37年からの地震の回数が書かれていますが(観測精度の問題が有るとはいえ)一番多い年でも200回/年以下でした。

2016-05-06 21:24:09
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

やはり、(記録のある限りでは)前例の無い地震だったんですね。。。 twitter.com/tsubu_02/statu…

2016-05-06 22:01:49
つぶ二 @tsubu_02

@ke_1sato また政府の地震本部のデータ jishin.go.jp/regional_seism… でも「県内の浅いところで発生した地震はM6程度以下であり」と書かれており、今回の規模M7.3の浅い地震の経験は記録に無さそうです(明治22年の推定がM6.3なので今回の1/30)

2016-05-06 21:50:30
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

ありがとうございます。災害が続きすぎて、一つ一つの記録を追いたてられないくらいですね。。。十津川村の被害が相当大きく紹介される年ですが、やはり地域ごとに災害記録を見ていく必要がありますね。 twitter.com/yamatosh/statu…

2016-05-06 22:19:00
yamatosh @yamatosh

@ke_1sato 実はこの翌年、日向灘でも地震があって、現在重要伝統的建造物群である美々津の街並みが津波によって家々の近くまで海岸が侵食されてしまい、以後の豪雨で重大な被害を受けています。この憲法制定前後の頃は和歌山でも豪雨被害が大きかったり各地で災害が激しいですね。

2016-05-06 22:13:49
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

内容については説明を省略するが、去年コピーした災害史に関する論文タイトルを紹介。/上妻博之「細川藩災害損耗誌」(『熊本史学』第18号、昭和35年)

2016-05-06 21:04:04
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

三陸沿岸では明治以来東日本大震災まで大津波が3回襲来した。世代交代のタイミングで津波に襲われたので、体験談も伝えやすかった。しかし、津波被害を1度も受けなかった自治体もあった。それは大川小学校のある旧河北町。地域に津波の記憶が無かったことが、更に被害を大きくした側面もあるだろう

2016-05-06 21:23:08
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

この災害に対する感覚は、もちろん地元の方にお聞きしないと分からないのだが、阿蘇山の火山活動に伴う地震への注意は噴火の危険性を前提として語られることが多かったのではないだろうか。「地震」だけを災害として意識していたかどうかは、また別の感覚になるのかもしれない。

2016-05-06 21:37:09
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

あらためて日本国内はどこで地震が起きても不思議ではないことを痛感させられる5年間だった。それだけに地震・土砂崩れ・津波への防災意識を高めることは喫緊の課題だと思う。仮に明治の熊本地震の記憶が継承されていれば今回の被害は防げたか?そうではなく、寧ろ今回の記録を万全にするのが大事かと

2016-05-06 21:58:17

『熊本の地域研究』の紹介

佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

先日、フォロワーさんからお知らせいただいた本、山中進・鈴木康夫編『熊本の地域研究』(成文堂、2015年)を読了。「熊本における地域防災」という章があります amazon.co.jp/%E7%86%8A%E6%9… (熊本県内図書館所蔵情報) calil.jp/book/479239254…

2016-05-28 10:27:48
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

同書目次:「水の国・くまもと」「阿蘇カルデラと文化」「有明海の干拓と災害」「熊本大地震の記録」「中山間地域の維持と再生」「熊本県の市町村合併」「菊水地域の家庭配置売薬業」「熊本県工業の地域的性格」「熊本県の半導体産業」「熊本の本格焼酎産業」「熊本市の都市中心部の変化」→

2016-05-28 10:32:08
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

→「熊本の中心商業地」「阿蘇郡黒川温泉における地域振興」「宇土市における実践型地域人材育成」「熊本における地域防災」/近年の熊本県の人文地理、地域産業、自治体の概況を知るには格好の論集で、県外の人が熊本を訪れる際に一読しておくとよい參考書。

2016-05-28 10:39:01
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

本書の第4章「熊本大地震の記録」は、先日5月6日に呟いた山中氏の論文の補筆版で、参考文献情報も追加されている。内容の大筋は、 twitter.com/ke_1sato/statu… 以下の呟きでまとめた。

2016-05-28 10:46:17
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

去年、偶然だが、熊本市立図書館まで行って、熊本県の災害史関係資料を調査した。そのときにコピーした論文をようやく捜索の上、見つけ出した。 山中進「明治二十二年熊本大地震の記録」(『市史研究 くまもと』第7号、1996年)   p.twipple.jp/cgRVo

2016-05-06 19:20:03
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

次に紹介したいのは第15章「熊本における地域防災」(竹内裕希子氏執筆)。熊本県における地域防災の現状(2014年現在)と課題を論じている。 熊本県の自主防災組織(自治会単位などの狭い範囲で活動)を見ると、活動カバー率は73.4%で全47都道府県中の40番目。熊本市内で70.8%

2016-05-28 11:00:46
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

さらに、自主防災組織の組織率は熊本県内の45自治体中、100%の自治体が18ある一方、50%を下回る自治体が4つ程。著者はこれら4つの自治体の防災担当者へのヒアリング調査を実施し、課題を分析。 ・いずれの自治体も、行政による組織設立の支援は行われている。しかし、→

2016-05-28 11:08:10
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

・組織設立は行政区の挙手制によるため、区長に設立意思がなければ進まない。区長の支援が効果的になる。 ・既存の自衛消防団(広範囲に活動)が組織されていると、他の防災組織設立が鈍化する傾向。 ・急激な人口増加で自治会そのものの組織化が困難になる場合も。(まずは自治会支援となる。)

2016-05-28 11:15:04
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

・(4市町の)行政が自主防災組織の活動に求めるものは「地域住民の交流」と災害時の安否確認であった。(緊急時の安全確保、救援救助ではなく。) ・著者のコメント:「災害時の共助は、平常時の共助の構築が深く関係している。防災とは関係が無いように見える活動が地域の課題発見や改善、」→

2016-05-28 11:23:02
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

→「人々の交流とつながり、非常時の協力関係へと発展する」(278ページ) 続いて著者は自主防災組織の例として、熊本市中央区内の黒髪校区第4町内自治会自主防災クラブの活動を紹介。(地区の指定避難所は桜山中学校)この活動に2012年、消防科学総合センターが理事長賞を授与している。

2016-05-28 11:34:58
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

クラブの主な活動 ・資源回収(活動資金とする) ・登校時見守り ・環境整備 ・AED講習などの教育活動 ・機材点検 ・標高プレート作成 ・防災地図作り ・社会福祉団体と共催の防災訓練 ・桜山中と共催の防災活動 ・地域交流イベント(祭など) (282ページより、佐藤要約)

2016-05-28 11:50:53
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

著者も強調している点であるが、クラブと桜山中学校の連携が重要である。/中学生とクラブメンバーによる炊き出し訓練を実施。校内武道場の鍵はクラブも保有しているが、災害時の避難所運営をクラブが担う連携体制の一環である。 このような普段の活動が地域の「受援力」を高めると著者は指摘。

2016-05-28 11:57:50
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

著者コメント:「訓練を受けていない自主防災組織が、災害時に自衛隊や消防のような活動を行うことは困難である。 … しかし、地域で資機材を整えること、地域の状況を把握すること、顔が見える関係を構築することは、高齢化している自主防災組織でも日常的に取り組めることであり、」→

2016-05-28 12:04:30
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

→「これらの活動が外部支援の円滑な受け入れにつながり、地域防災力を高めることになる。」「地域の状態や特性に応じた日常の活動を見付け無理のない範囲で継続していくことが、各地域に求められている。」(285ページ) 今回の地震の災害対応を考える上で、非常に参考になる記事であった。

2016-05-28 12:10:23
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

町内会単位での自主防災組織は全国一律に組織化できるはずもなく、地域特性・住民構成に大きく左右される。とはいえ組織の目的を「防災」の一部だけにでも特化してでも、指定避難所との連携や顔の見える関係の構築を進めていくことは有意義であると思う。

2016-05-28 12:23:46