第6話 「彷徨う風」 パート3

艦これSS 脳内妄想まとめ
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白樺活性炭濾過物 @bookmark_vodka

6-2-43「ほぼ完全に艦娘化が進んだ状態だったのだ、無理もない。寧ろ良く大智君の心が生き残ったものだ」 風見は執務机に掛け直すと、改めて『大智』に問う。 「それで、やはり君も綾香君と同様に『第肆型』の影響を受けていた訳か」 「そうですね…そういった呼称だとは知りませんでしたが」

2016-06-07 23:47:34
白樺活性炭濾過物 @bookmark_vodka

6-2-44「あの日、家の前で軍の関係者からあの石が『直に触れると有害である』という事と『軍の機密である』という事を聞かされ、そのまま連行されました。そしてその日から、見ていた海の夢が不思議と現実味を帯びてきて…いつの間にか『俺』の意識はその場所から外に出られなくなりました」

2016-06-07 23:48:46
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6-2-45「それだけではなく、海は急に姿を変えていき『俺』の事を消し去ろうとしました」 「…その時には『浜風』に主導権が移っていたのだろうな。全く奴らはとんでもない物を作り出してくれる…だが」 風見は綾香に視線を移して続ける。 「これで綾香君のご友人達への不安は晴れたな」

2016-06-07 23:49:12
白樺活性炭濾過物 @bookmark_vodka

6-2-46 関係者は『触れると』と大智に言った。それは即ち、あの石によって影響を受けたのが綾香の家族に限定されている事を示している。 「父さんと母さんはどうなったか分かる?」 綾香は大智に問う。 「…分からない。早々に別の場所に送られてしまって。でもどうも自分とは扱いが違った」

2016-06-07 23:50:49
白樺活性炭濾過物 @bookmark_vodka

6-2-47「これは私の仮説だが」 ここで風見が口火をきる。 「君たちの変化の急激さは件の石を直接『所持』していた事に原因があると考える。石については他に何か思い出せる事は無いか?」 「…そういえば彼ら、あれが『割れていた』事に非常に顔をしかめていたような…そんな気がします」

2016-06-07 23:51:26
白樺活性炭濾過物 @bookmark_vodka

6-2-48「割れていた事か…それについてはまだ情報が少な過ぎるな。それが不完全な結果を招いたのかどうか…比較したい所だがそもそも『第肆型』としてここに送り込まれてきたのは君たちが最初の2例だ。いつから第肆型が運用されているのか、石が幾つあるのかなどは現段階では分からないな」

2016-06-07 23:52:03
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6-2-49 浜風はここで水面下から水上に出たかのように深く息をつき…雰囲気が元の『浜風』に戻った。少々疲れた様子だ。 「もう十分だ。病み上がりのような状態でよく話してくれた…二人とも、今日はゆっくりと休んでくれ」 風見はそう言いつつ机を離れると、浜風に歩み寄って手を差し出した。

2016-06-07 23:53:06
白樺活性炭濾過物 @bookmark_vodka

6-2-50「改めて明日から宜しく頼むぞ、浜風」 浜風は差し出された風見の手を握り、言葉を返す。 「はい、宜しくお願いします…提督!」

2016-06-07 23:53:32
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6-2-51 夜も更けた孤島の鎮守府…人工的な明かりは殆ど無く、月明かりが僅かばかりの光を与える。 「…はい、状態は完全に復帰しました。そして、元の意識も戻っているようです」 建物裏手の木々の間…何者かの声が、島に居る誰に聞き取られる事も無く、夜の空間に吸い込まれて消えていく。

2016-06-07 23:54:54
白樺活性炭濾過物 @bookmark_vodka

6-2-52「石が割れていたからかどうか此方の観点からしても定かではありません…はい。ですが、何れにせよ調査を進める価値はあるかと」 監獄島に外から入り込む者無し。 潜んでいる者も居らず。 「それでは引き続き…何かあれば連絡します」 人影は通信を切ると、通信機をしまい込む。

2016-06-07 23:56:40
白樺活性炭濾過物 @bookmark_vodka

6-2-53 それならば、公の通信が断絶されたこの島で外界との通信を行っているこれは何者なのか。 そして、通信相手は何者なのか? …連絡を終えた人影は、鎮守府の自室へと戻っていく。他の誰にも気取られないように。

2016-06-07 23:56:50
白樺活性炭濾過物 @bookmark_vodka

___ 第6話「彷徨う風」終わり 第7話「特務艦隊『鳶』」に続く ___

2016-06-07 23:57:58