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401 横山「ん?」 **「もし……もしもだよ……?お父さんが……いなくなるようなことあったら……その時はわたしを……お兄ちゃんの会社で雇ってくれる……?」 横山「…………、」 大丈夫どころか……追い詰められてるやんけ……。 横山「当たり前やろ……。」
2016-06-05 23:25:19![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
402 涙が溢れそうな大きな目。 自分の肩に凭れるよう肩を抱いて、頭を優しく撫でた……。 ─────── 手術の前に検査があるらしかった。 その日程は改めて知らせてくれるとのことで、ぐっすり眠って起きたおかんと妹をタクシーで家に帰した。
2016-09-02 19:18:29![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
403 時間は夕方5時……帰る前に会社寄るか……。 事務所のドアを開けながら。 横山「お疲れー。」 村上「お?!おまえ、えぇんかいな?」 横山「なにが?」 村上「会社寄ってる場合なん?」 横山「手術は精密検査の後やて。そーんな緊急なわけやなかったわ。」
2016-09-02 19:18:35![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
404 それよりも、むしろ他に色々問題ありすぎや。 村上「ほぉかー…。それにしても、わざわざ寄らんと帰ったら良かったんに。疲れたやろ?」 横山「んー……まぁなー……。」 考えることあり過ぎて何から片付けるべきか……。 ☆☆「……大丈夫?」
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405 横山「え?」 その声に顔上げたら、☆☆が心配そな顔して見とった。 横山「……大丈夫や。アイツはそう簡単にくたばらん。」 ☆☆「…………。」 村上「……ヨコ、ちょ奥にえぇか?」 横山「?……おん……。」
2016-09-02 19:18:44![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
406 村上「☆☆も。あっ、あれ準備して。あと〇〇!もし俺らに電話やらあったら取り次がんと折り返すゆーといて!」 〇〇「はい!わかりました!」 村上「ほいほい、行った行った。」 ヒナに背中を押されて事務所奥の部屋へ入る。 横山「なんやねん…。」
2016-09-02 19:18:49![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
407 村上「えーからえーから。」 ソファーに2人と向き合って座る。 この部屋で話する時は、だいたい重要な話する時。 その割には明るい感じで話し始めるヒナ。 村上「緊急やなかったんは何よりやったな。手術は大きなるん?」
2016-09-02 19:18:55![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
408 横山「や……まだよー分からんけど、持病の糖尿の悪化からくるもんらしいわ……。って、なんやねん、そんな話ちゃうやろ。」 この話やったら別に事務所でえぇもん。 村上「んー……。」 横山「もったいつけんなって。」 ヒナはひとつ息を吐いた。
2016-09-02 19:19:03![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
409 村上「…おまえ、親父さんの会社継がんでえぇの?」 横山「はぁっ?!」 あまりに唐突で変な声が出る。 村上「おまえがその気なら俺らはそれに従うだけやで?親父さんにもし何かあったら、」 横山「ちょちょちょ、待てって!急に何言うてるん?!」
2016-09-03 21:34:59![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
410 村上「昔はそのつもりやったやろ。色々あって、こんなことになっとるけど、やっぱり継ぎたい思うんやったら、」 横山「なんでやねん!そんなん、これっぽっちも思てへんわ!」 ほんまに、それは全く頭になかった。 村上「ふっ……ほーか。ま、おまえならそー言うか思てたわ(笑)」
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411 横山「ほんなら聞くなや。びっくりして唇モゲるか思たわ。」 村上「いや、モゲとるがな。」 横山「やかましいわ。」 村上「……や……おまえがこの会社を愛してくれとるんは充分わかっとんねん。」 横山「当たり前やろ。俺らがイチから育てた会社やねんから。」
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412 村上「ほんまに……よーココまでなったわ……。☆☆、あれ。」 なんやねん、あれって。 ヒナが☆☆から受け取った小さい袋を、俺の目の前に置いた。 村上「いつも☆☆が振り込んどったけど、最後は自分の手で渡したいんちゃうかな思てな……親父さんへの最後の返済や。」
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413 横山「……えっ……。」 村上「正確にゆーと、来月で完済やってんけど、なんかタイミング今ちゃうかなってな。おまえかて、1ヶ月でも早よスッキリしたいやろ?」 横山「……おん……そーか……終わるんか……。」 なんとも説明し難い気持ち。
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414 ☆☆「あの金額をこれだけの期間で返せるなんてスゴイよ。侯隆が色々我慢してくれたからだと思う。ありがとう。」 横山「俺は……別に何も我慢なんかしてへんし……そんなお礼を言われるよなこと……むしろおまえらに我慢させてきた…」 村上「そんなことあらへんがな。」
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415 少し泣きそうな☆☆を見て思わず視線を外し、ヒナの顔見たら、ものすごく穏やか。 村上「社長のくせにあんなボロアパートに住んで、そんでもケチケチせんと、会社をまとめてきてくれたんは、他でもない、おまえや。」 横山「おまっ……なっ、なんやねん、急に……っ、」
2016-09-03 21:35:22![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
416 返済が終わるってゆー安堵。 一区切りやけど、もちろんそれに安心してばかりはおられんってこと。 あのクソ親父がほんまはどーなるんかってゆー不安のような安心のような、なんとも言えん感情。 放り出した家族が、想像もしてへんかったような状態になってしまってること……。
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417 感情がぐちゃぐちゃで……目頭が熱くなる……。 村上「返済終わるゆーても、この会社はまだまだや。おまえ気ー抜くなや?やることはいっぱいある。会社を大きするんやなくてさ、大きぃ仕事やろぉや。今の最高のメンバーでさ。なっ、ヨコ。」 横山「ふっ……当たり前じゃ……。」
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418 右手で目元を覆った。 ……気合い入れ直さなあかんな……。 ──────── 次の日、妹から連絡あって、手術は3日後に決まったと報告受けた。 やはり、命に別状あるような手術にはならないとのこと。 やっぱりアイツはしぶとい……。
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419 手術前日、金を持って親父の病室に来た。 すぐに入ろとしたけど、中から仕事の話が聞こえたから、ドアノブに伸ばした手を慌てて引っ込めた。 病室前の長椅子にひとまず落ち着く。 あーいよいよ最終決着……って感じやなぁ……。
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420 別にこれ返したからって、親父が俺にいい評価するわけでもないのは分かってるけど……どんな反応するんやろな……。 「おまえ、えぇ加減にせんかー!!」 突然の怒鳴り声に、考え事はストップ。 「ちゃんとやれ言うたやろ!このアホが!!仕事なめとんか!!」
2016-09-04 22:44:33![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
421 おいおいおい……ここ病院やろ? しかも、怒鳴ってる本人、入院患者ちゃうの……。 ほんまに心底呆れるわ……。 バタン! 妹が真っ赤な顔して出てきた。 その後を追っておかんも……。 2人とも俺の顔見て、一瞬止まったけど、何も言わず早足でその場を離れてった。
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422 入院しとってもこれかいな……。 この後泣くであろう妹も気になるけど…今はコレ……終わらそ……。 フーッと息吐いて、病室をノックした。 横山「入るで。」 言うてすぐドアを開けた。 親父「なんや……誰や思たらアホの代表かいな……。」 いちいちつっかかってくる…。
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423 リクライニングを上げて、ベッドの真ん中でそのでっかい腹を摩ってる親父。 表情は狸らしくふてぶてしくて、俺を一瞥してフンっと鼻を鳴らした。 親父「何しに来たんや。入院を笑いにでも来たんか。」 横山「安心せぇ、死んだ時存分に笑ったるわ。」
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424 袋をベッドの上に投げた。 親父「なんや。」 横山「アンタが1番好きなやつや。」 袋の中を確認しとる。 横山「最後の分な。」 親父「フンっ…これで一人前みたいな顔しよって。」 横山「じゃあアンタは一人前か。小学生でも病院であんな大声出すやつおらへんで?」
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425 親父「親に向かってその言いぐさ、態度はなんや!」 横山「息子やなんて思てへんやろ。こっちかて親やなんて思てへんわ。……でもな……妹とおかんは別やで?アンタとは違う……俺はちゃんと家族やと思てる。その家族を散々な目に遭わせやがって……。」 親父「おまえは逃げたやろ。」
2016-09-04 22:44:59