古川飛行士の『宇宙船シミュレーション訓練』 ~一番壊れて欲しくないものが見事に壊れる~
2月8日、モスクワ郊外は雪、気温マイナス4℃程度。室内が暖かいためか、あまり寒さは感じない。
2011-02-09 13:12:43午前中、ソユーズ宇宙船のシミュレーション訓練。打ち上げ約2時間前の準備作業から開始。今日の訓練シナリオでは、打ち上げ直後に帰還モジュールに空気漏れが生じたというもの。空気漏れが規定値以上だったため、地球を1周してカザフスタンへ緊急帰還するのを模擬した。実際は起こってほしくない!
2011-02-09 13:13:08その後、赤外線を使って地球の縁をとらえるセンサーが2つとも壊れ、船長が手動でソユーズ宇宙船の姿勢を制御。軌道離脱噴射中に、メインで使用のデジタルループが故障、その直後にメインの軌道噴射エンジンが停止。バックアップのエンジンをアナログループで点火して噴射を継続、などなど。
2011-02-09 13:13:39訓練目的のため、次々にものが壊れるシナリオをインストラクターが組んだのである。インストラクターは大変賢く、あるタイミングで一番壊れてほしくないものが見事に壊れる。万一の事態に備え、3人のクルーで協力して対処する訓練を徹底的に行うことで、本番の飛行時の安全な運行が可能となる。
2011-02-09 13:14:08午後、今週後半に実施予定の国際宇宙ステーション・ロシアセグメントのシミュレーション訓練の準備作業。実施予定作業の手順書読み合わせ、注意点確認などをインストラクターとともに実施。
2011-02-09 13:14:25夕方、ソユーズ船長のセルゲイ・ヴォルコフ飛行士と一緒に手動ランデブー訓練。ソユーズ宇宙船が宇宙ステーションまで数kmの距離まで飛行してきた時点で自動ランデブーシステムが故障したという想定で、そこからの手動ランデブーを模擬。
2011-02-09 13:14:48船長補佐の私が軌道モジュールに移動。小さな窓際に設置されたレーザー測距計にて宇宙ステーションまでの相対距離を測定する。時間をあけて距離を2回測定すると、その間の平均相対速度も測定できる。
2011-02-09 13:15:08それらの相対距離、相対速度情報を帰還モジュール中央席に座る船長に口頭で伝える。それとソユーズ宇宙船の潜望鏡からの宇宙ステーション映像を元に、船長が手動でランデブーを実施。
2011-02-09 13:16:16宇宙ステーションからある距離まで近づいた後、ドッキングポートの正面まで回りこむように飛行。その後ドッキングポートからある距離まで近づいて相対的に停止するのをシミュレーターで模擬したところまでで、本日の訓練は終了。
2011-02-09 13:17:11