セイバー提督と神通さん【第三話】
- dzurablk_kai
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「遊びじゃないんだからさ、訓練だよ訓練」 「でもいいなぁ、北欧でしょー?」 「すぐ帰ってくるわよ」 「なーんて言って、あっちの企業のブラストの方が乗り心地がいいからって、長居したりしてね」 「ないない! 神通ちゃん、提督にべったりだもん」 #私の彼はブラストランナー
2016-07-20 15:02:58「だよねー!!」 けらけら笑う川内と那珂に赤面してるうちに、警備府前のバス停にボンネットバスが停まる 「じゃあ、行ってくるわね」 と、つば広帽子を被り直し押さえながら神通 「はいはい」 「早く帰ってきてねー!」 #私の彼はブラストランナー
2016-07-20 15:05:38明るい午後の日差しを目映く反射する神通の姿が、バスの前で振り返り控えめに手を振り、車中に消える そのままバスは海風を帯びて舞い上がる砂ぼこりを引き連れ、緩いカーブを曲がると雑木林の影へと見えなくなった 「行っちゃったねー」 「これで昼が忙しくなるなぁ」 #私の彼はブラストランナー
2016-07-20 15:07:56二人も警備府の建物へ 残した書類仕事を片付けに執務室へ戻る那珂と別れ、川内は格納庫へと向かう 『行ったか?』 「うん、今ね ほんとによかったの? 見送らなくて」 川内はセイバーを見上げ尋ねた #私の彼はブラストランナー
2016-07-20 15:11:49『そんなことしたら、お互い余計に名残惜しくなるからな』 「まあ、だろうねー」 笑いながら川内は、体育館のようなだだっ広い格納庫の片隅にある事務室へ入り冷蔵庫に隠していたビールを取った 小気味よいプルタブの音 『俺の目の前で堂々の服務事故か』 #私の彼はブラストランナー
2016-07-20 15:14:19「いーの! 非番だから 夜勤明けだし!」 と悪びれもなくセーラー服を脱ぎ捨てるとシャツにスカート姿で、冷凍庫に入れておいた手拭いを首にかけビールを煽る川内 「提督も飲む?」 『・・・飲みたい気分だよ』 「そんなに寂しがんないの! すぐ帰ってくるって」 #私の彼はブラストランナー
2016-07-20 15:16:20そう笑うと川内は、冷蔵庫からもう一本ビールを取りだし、セイバーの足元に置く 「はい、乾杯」 『悪いな、気を使わせて』 乾杯なんてするのは、いつ以来だろう この身体になってからは初めてだ #私の彼はブラストランナー
2016-07-20 15:21:43それを思うと、先の作戦で国木田が言っていた苦言が脳裏に甦る 「人と人外の色恋なんて、大抵ろくな結末にはならん」 それを思い起こした神谷には、痛むはずのない胸がずきりと痛み、口のなかにビールよりも苦い物が広がった気がした #私の彼はブラストランナー
2016-07-20 15:23:39【次回予告】 神通の姿を見なくなって、何ヵ月が経っただろう 結局あの日以来、神通は帰ってこなかった ナクシャトラの実験に参加したところまでは分かるものの、以降は完全な消息不明 私は、神通を失った #私の彼はブラストランナー
2016-07-20 15:26:33そんなある日、戦場で耳にした奇妙な噂 無数のドローンや深海棲艦を引き連れた、謎の武装集団を率いる桁外れに強いブラスト部隊 死神とあだ名されるそのパイロットの、仮面の下の素顔とは? そして、強敵と合間見える川内と神谷の運命は? #私の彼はブラストランナー
2016-07-20 15:28:54