イギリス植民地軍における「マーシャル・レイス」とナショナリズム

英領インドをはじめとする英領植民地において、植民地軍の統制を目的として導入された「マーシャル・レイス」(Martial Race)という概念と、その概念が独立後の社会に与えた影響についてのまとめ。
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帽子男 @alkali_acid

もしかして「文民ナショナリスト」という言葉もそういう、当時の言葉を現代において粗雑に、というか面白おかしくとらえてしまったが故のアレなのかしら。

2016-07-03 16:25:35
帽子男 @alkali_acid

現代から過去へのエキゾチシズムというのは結構度し難いものがあるからな。

2016-07-03 16:26:11
帽子男 @alkali_acid

そもそもデカン騎兵が何を思って戦争に参加したのかという最初の問いの立て方がわりと雑駁である以上、それ以降もテケトーたらざるを得ないというか。

2016-07-03 16:27:40
帽子男 @alkali_acid

シーク教徒が実態としては相当な人口ボリュームを持っていてパンジャーブに中心性もあり、傭兵従事者も多い一方で、到底それに収まりきるエスニックでなく、かつクシャトリヤなどとはまったく別の概念として存在するものであったにもかかわらず、マーシャル・レイスとして整理した経緯というのは

2016-07-03 16:32:07
帽子男 @alkali_acid

恐らく大英帝国が「マーシャル・レイス」を仮構するにあたって「均質さ」がありすぎない方が適切であるという考えもあろうし、状況に即して適当につぎはぎしてく実務上の都合もあったろうが。

2016-07-03 16:33:09
帽子男 @alkali_acid

マーシャル・レイスが高等教育を受けないうんぬんのあたり、何かやはり現代の中流おじさん独特のくさみを感じるな

2016-07-03 16:40:11
Compass Rose @hms_compassrose

「マーシャル・レイス」はよい兵士になるがよい指揮官には絶対なれない(それは本国の「文明人」だけが果たせる役割)というのが前提なので、彼らに高等教育の機会が与えられたりはしない(志願する「レイス」の人間も望まない)。だから初期のアフリカ人ナショナリストに植民地軍出身者はほぼ絶無。

2016-07-03 15:54:01
帽子男 @alkali_acid

そのような「前提」と実態としての運用が必ずしも一致していたとは思われないのだけどね

2016-07-03 16:52:55
帽子男 @alkali_acid

モーハン・シン将軍の経歴を見たけど、パンジャーブ出身だし、多分シーク教徒ではあるんだと思うが、軍事教育はかなりスタンダードなものを受けていると思う(留学こそしていないが)

2016-07-03 16:54:09

モーハン・シン

インド国民軍初代最高司令官、のち独立後のインド議会においてインド国民会議所属の上院議員となる。
下記リンク先の記述によれば、英印軍在籍中に"Kitchener College"(士官候補生の任官資格を得る課程と思われる)にて6ヶ月の教育を受けた後、士官学校にて2年6ヶ月の教育を修了している。

Mohan Singh (general) - Wikipedia, the free encyclopedia

帽子男 @alkali_acid

そもそもインドと熱帯アフリカなどでは社会構成が異なるのであって、大英帝国をはじめ植民地統治にきわめて有能だった宗主国が、マーシャル・レイスというかっこいい言葉をどこまでありがたがっていたかはともかく、杓子定規なあてはめ方をしていたとは到底思われない

2016-07-03 16:55:13
帽子男 @alkali_acid

で、話は戻すが、マーシャル・レイスという概念にクシャトリヤとシーク教徒という明らかにレイヤーの異なる概念をぶっこんだのは、実務上の便利さに加えて「選ばれたエスニック集団」というものを均質化しないこと、つまり、相剋を内容するような構造にしていたためだと思う

2016-07-03 16:58:18
帽子男 @alkali_acid

マーシャル・レイスに高等教育を施さなかったとか、レイスもそれを望まなかったとか、まあこれはアフリカの一部地域のある時代の例として「そういうこともあったかもしれない」が、マーシャル・レイスという概念が適用されたすべての時代と地域にあてはまるものでは到底ないし

2016-07-03 17:00:00
帽子男 @alkali_acid

そこから一定の傾向を引き出すのも難しいと感じる。

2016-07-03 17:00:24
帽子男 @alkali_acid

まずもって高等教育の有無がそもそもナショナリストたるかを決定するというのは微妙で、マーシャル・レイス概念が植民地軍に与えた影響としてそこに因果や相関を見るのも少々飛躍のしすぎではあるが

2016-07-03 17:14:51
帽子男 @alkali_acid

まあ、まとめるとインドの話をしているときにアフリカの話を持ってくるのはちょっとどうかなということだと思う (そもそもインドにじゃあアフリカのクーデターに相当するようなマーシャル・レイス概念の影響を見出せるかというと…)

2016-07-03 17:04:20
帽子男 @alkali_acid

ただまあマーシャル・レイスは響きがかっこいいので、別にそこまで大英帝国が力瘤入れてなかったとしても、めっちゃ重要政策だったことにしていいですよ。

2016-07-03 16:33:43
帽子男 @alkali_acid

大切なのはかっこよさ。

2016-07-03 16:33:52

以下、個人的雑感

Dombury Sofan @DomSofan

数日前にTLで話題になってた「マーシャル・レイス」という概念、軽くGoogle先生に聞いたらやっぱり支配者側が統治を円滑化するために持ち出した概念なんだな(リンク先をtumblerからリンク元へ変更し再掲) kousyou.cc/archives/8542

2016-07-05 16:34:55
リンク Kousyoublog 「世界戦争 (現代の起点 第一次世界大戦 第1巻)」山室信一、岡田暁生 他編 第一次世界大戦勃発から百年目を迎え、同大戦に関する書籍が多数出ているが、その中でも全四巻とかなりまとまったボリュームで出されたシリーズの第一巻。とりあえず第一巻だけ読んだ段階だが、面白い。世界戦争 (現代の起点 第一次世

「マーシャル・レイス理論」はいわゆる「戦闘民族」とか「尚武の民」などと呼ばれるような、『ある人間集団を「戦闘に適した人種」としてカテゴライズする言説』(P60)で、特に十八世紀末から十九世紀初頭にかけての英国でスコットランド人やアイルランド人に対して使われ始め、1880年代以降、インドで兵士を徴兵する際に理論として使われた。インドでマーシャル・レイスと考えられたのがシーク教徒、グルカ人、カースト制度下におけるヴァルナ(種姓)の一つクシャトリヤ(戦士階級)である。