結婚式や成人式にいかが?伝統的な日本髪を結う技術者「結髪師」が伝える魅力
結髪師(けっぱつし)のshouko日本髪 髪結い(@kamiyuiumeko)さんが、美しく結い上げた伝統日本髪の2人の女性の写真をTwitterに投稿し、話題となっている。
日本髪の花嫁さんが本当に減りました。(特に伝統的な地髪結い)
婚礼業界の経験ありですが、洋髪が主流になって20年程だと記憶してます。
技術的にも瀕死の状態かも。
全国の稀有な結髪師さんたち!頑張りましょう。
心が折れそうですが…自己満足じゃないと信じて私も踏ん張る。
写真だけでも絶対素敵 https://t.co/EavuLdMPmz
— shouko 日本髪 髪結い (@kamiyuiumeko) 2021年8月12日

「結髪師(けっぱつし)」とは伝統的な日本髪を結う技術を持つ人のことで、shoukoさんは結髪師歴23年。仙台・京都を拠点とし婚礼をはじめ時代劇、テレビドラマや舞台などで活躍されている方だ。
ところで伝統日本髪とはどういうものなのか。shoukoさんによると、日本髪には伝統日本髪と、新日本髪の2種類があり、伝統日本髪は鬢付け油びんつけあぶらや元結(もっとい=水引のような紙のこより)を使用して、きちんとマゲまで結うもの。いっぽう、逆毛をたてたりスプレーで仕上げるものは新日本髪と呼ばれているのだそう。
伝統日本髪とは、
鬢付け油びんつけあぶらや元結もっとい(水引のような紙のこより)を使用し、きちんとマゲまで結うものです。
(逆毛をたてたりスプレーで仕上げるものは新日本髪とよばれています。)☘️
— shouko 日本髪 髪結い (@kamiyuiumeko) 2021年8月12日
伝統日本髪に対してこちらは新日本髪。
逆毛とスプレーで仕上げます。
ゆるふわ軽くて可愛くアレンジ可能です。 https://t.co/PuLgCVbZ75
— shouko 日本髪 髪結い (@kamiyuiumeko) 2021年8月13日

さらに、「髷(まげ)」と呼ばれる頭頂部の結いがあるものが伝統日本髪で、髷がないものが新日本髪と区別されているのだそう。

しかし現在、伝統日本髪を結った人の姿を見る機会はテレビの時代劇や舞妓さん、舞台など芸能の世界くらいだろう。
だが、投稿されたshoukoさんのツイートには「結婚式や成人式で、地毛で結う日本髪に憧れて結ってもらった」という声を寄せている人も。優美な髪型に惹かれる人もまだまだいるようだ。
トゥギャッチ編集部ではshoukoさんに、伝統日本髪の魅力について詳しい話を聞いた。
伝統日本髪は「ポニーテール以上の長さで結える」
伝統日本髪を地毛で結う場合、どのくらいの長さが必要ですか?
頭頂でポニーテールができれば、伝統日本髪を結うことはできます。もちろんそれより長くても結うことは可能です。実際に、お尻まで伸ばされた方もいました。
伝統日本髪を結っていただく場合、どのくらいの時間で仕上がりますか?
一般的な日本髪ですと、くせ直しから始めまして、結い上げまでおよそ1時間20分ほどで仕上がります。
髪型の種類によりましては1時間ほどです。
ブロンドやグレイヘアの人も似合う
伝統日本髪が似合う人、似合わない人(向き、不向き)はありますか?
伝統日本髪について、向き、不向きはないと思います。
かつらのように、どなたがかぶられるかわからない状態で仕上げたものをただ被せてしまうと、違和感がある場合もあります。
でも地髪で結う場合は、お顔移りを見ながら結い上げていきますので、お似合いになるように調整できるんです。
外国の方でブロンドヘアーの方、グレーヘアの方、ツートンカラーの方など、多数、結わせていただきました。


shoukoさんが伝統日本髪の技術を習得しようと思ったきっかけを教えてください。
きっかけは自分の成人式です。
日本髪を結っていただいて嬉しかったので「本物ってどんなものなのかしら」から始まり、「生きた日本髪は京都かな…」とさまざまなことを考えながら京都にたどり着き、たまたま足で見つけた舞妓専門の髪結いさんに弟子入りしました。
その後、舞妓さんの世界だけでなく、婚礼、時代劇の日本髪を知りたくなり、現在に至ります。
shoukoさんが考える、伝統日本髪の魅力を教えてください。
伝統には「不動の力」があると思います。
流行りすたりのスタイルはありますが、江戸時代に何百年もかけて築き上げられてきたものですから、日本髪は美意識の塊であると思っております。
だからこそ、日本人の心の琴線に触れるのは、自然なことではないでしょうか。
伝統日本髪は、婚礼ではほんの20年前まで当たり前のスタイルだったものです。
新しいものは確かに魅力ではありますが、今は洋髪が婚礼において主流になったことで、かえって日本髪の魅力が浮き彫りになったように感じます。とくに花嫁さんのお母様やお祖母様世代が喜ばれ、ご両家で話が盛り上がり、ご先世様のお話にもつながります。
そこが日本髪がつなぐ素敵な魅力であると感じます。
さらにshoukoさんは「伝統は一朝一夕で身につくものではないので、需要がなくなれば消えてしまいます」と、伝統日本髪が置かれた危機的な状況を訴えている。
伝統は守る人と引き継いでいく人がいなければ、受け継がれない。
shoukoさんが結う伝統日本髪を見て関心を持った人もいることだろう。多くの人が魅力を改めて認識し、自分のハレの日の髪形に伝統日本髪を結ってくれることを願ってやまない。

伝統日本髪についてより詳しく知りたい人は、shoukoさんの公式サイトやTwitterアカウント(@kamiyuiumeko)をチェックしてみては。