2022年8月15日

好きな短編を選んで「自分だけのアンソロジー」を作る神サービスが登場!販売元に誕生の経緯を聞いた

誰もがマイ短編集の編集者になれる!
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さまざまな作家の短編を組み合わせて自分だけのアンソロジーが作れるコーナーが新宿紀伊國屋に登場。見つけたTwitterユーザーのnaru(@naru_di)さんが大興奮で報告し、話題を呼んでいる。

確かにこれは気になる。
こちらは「ポケットアンソロジー」というサービス。販売元の株式会社田畑書店のHPでは、「まったく新しい読書体験のはじまり……」と紹介されている。

ポケットアンソロジーのシステム

ポケットアンソロジーは田畑書店が発案し、2021年11月末に誕生したシリーズ商品。

「ブックジャケット」という専用のとじ込みファイルを購入し、個別販売されている作品リフィル※をとじ込むことで、自分だけのアンソロジーを作ることができるというものだ。

※バインダー式ノートの用紙など、入れ替えたり差し替えたりできる用品のこと。

好きな作家の作品でまとめたり、自分なりの「テーマ」を決めてそれに沿う作品を集めたりと、さまざまな楽しみ方ができそうだ。2022年8月時点で提供されているラインナップ数は170作近く。短編小説のみならず、詩や短歌作品もある。

オリジナルアンソロジーの作り方。250ページまで収容可

 

ただ書籍を買うのではなく、まるで出版社の編集者になってオリジナルの作品集を編むような体験ができるユニークなサービス。販売元である田畑書店の代表取締役・大槻慎二さんに詳しく話を聞いてみた。

短編集を出しづらい今だからこそ

「ポケットアンソロジー」を販売しようと思った理由は?

80年代半ばに文芸誌の編集部にいたのですが、当時から相当有名な作家でも短編集を出しづらくなっていました。

各文芸誌が掲載する短編も、(各話に)同じ登場人物や背景を持つ形にすることで、書籍化にした時にまるで長編のように読める「連作短編」の形ばかりになりました。私のいた編集部も、文芸誌の実売部数が落ちてくると、単行本にしやすい作品ばかり掲載する「単行本製造システム」に組み込まれてしまいました。

そんな背景もあり、単行本に引きずられることなく「短編を一編一編、まるで手帳のリフィルのように売ることができたら…」とずっと夢想してきました。ポケットアンソロジーによって、30年を経てようやく実現できたのです。

日本の近代文学を中心にラインナップしている理由を教えてください

アンソロジーを編む楽しみを提供する上で重要な、選択できる作品にボリュームを持たせるため、自然パブリックドメイン(著作権フリー)のものの割合が多くなったという理由が一つ。

また、「ポケットアンソロジー」では文学を体系的に捉えていきたい、という思いがあり、近代文学の重要な作品を土台に置きました。

今後は著作権の生きている昭和文学や、海外短篇もラインナップに入れていこうと思っています。ただ海外の短編は作品単位で版権を取ることが難しく、こちらについては「まずはパブリックドメインの名作を新訳で」ということになると思います。

次ページ:マイナーな作品もラインナップしているワケ

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