これがプロの仕業かっ!地図情報会社のゼンリンが『龍が如く』の舞台、神室町を地図化した理由を聞いた
#多分私しかやってない
ゲームの中でも地図調査した。 https://t.co/5b9buGHHjy
— 株式会社ゼンリン🗾 (@ZENRIN_official) 2022年8月22日
こちらの地図、地名は「神室町」。どこかで見たことがあるという人もいるのでは。
アクションアドベンチャーゲーム『龍が如く』シリーズや『JUDGE EYES 死神の遺言』『LOST JUDGEMENT:裁かれざる記憶』のゲームの舞台とされている「神室町(かむろちょう)」のマップだ。

このマップを作ったのがなんと地図情報会社最大手のゼンリン。担当者がゲームをプレイしつつ、同社が地図を制作する際に行っている調査と同じような手法で「ゼンリン住宅地図」風の地図を作り上げたというのだ。


Twitterユーザーからは「まごうことなき職業病」「これがプロの仕業…!」「ゼンリンの地図みたいと思ったら本物だった」との声が集まっている。

Twitterに投稿された神室町のマップは2021年、ゼンリン公式アカウントによる呼びかけがきっかけで、セガからの全面協力を得て制作されたもの。また、それ以前の2020年には伊勢佐木異人町のマップも制作している。
今回はゼンリン公式アカウントが一時Twitter上で流れたハッシュタグ「私しかやってない」のトレンドに乗る形で神室町の地図調査について投稿したものが再び話題になったというわけだ。
「神室町」「伊勢佐木異人町」を地図化した経緯について、ゼンリン公式アカウント(@ZENRIN_official)の中の人に話を聞くことができた。
同社の現地調査により日本全国の地域情報や住宅情報を網羅した地図データ商品。一般的な地図には表示されていない建物名や個人宅も記載されており、正確な地図情報を必要とする行政や運送業など、あらゆる業界で利用されている。
監修はもちろん「龍が如くスタジオ」
神室町や伊勢佐木異人町の地図を作ることになったきっかけを詳しくお聞かせください。
当社では「住宅地図」という、詳細な地図を制作しております。地図上には個人宅名も記載されているため、オープンなTwitterの世界で住宅地図そのものをお見せすることが厳しく制限されており、主たる商品の中身を紹介することが難しいなかで公式アカウントを運用しております。
とあるミーティングにて「架空の街をもとにして住宅地図風に作れば、Twitterでも発信できるのでは」というアイディアから、
「ゲームの中の世界なら…」「『龍が如く』のように、リアルな街なら…!あ!」と発展したことが、作ってみたいと思ったきっかけです。
制作の実現に至ったのは、2020年4月19日「地図の日」にセガ公式アカウント様がゲームの地図を紹介したツイートに「住宅地図作ったらセガさん怒ります?」とリプライをしたのが、全てのはじまりです。
こちらがその、はじまりのツイート。何だか断りにくい気迫すら感じる。
#地図の日
地図…マップ…MAP…ハッ
珠玉のゲーム内MAP集めました! https://t.co/tan7RgDjp2
— セガ公式アカウント🦔 (@SEGA_OFFICIAL) 2020年4月19日
@SEGA_OFFICIAL 伊勢佐木異人町の住宅地図勝手に作ったら、セガさん怒ります⁇
#地図の日 #龍が如く7 https://t.co/9wLQBYsVEn
— 株式会社ゼンリン🗾 (@ZENRIN_official) 2020年4月19日
セガのみなさまも本企画に大変興味を持ってくださり、地図の制作には『龍が如く』シリーズを開発されている「龍が如くスタジオ」のみなさまにも、建物形状や表記名チェックなどのご協力をいただきました。
また弊社では、デザイナーや住宅地図としての表記、地図調査ルールに関わる担当者に協力を仰ぎ、様々なチェックを通過してまいりましたので…実際の住宅地図にかなり近づけられたのでは?と思っています。
ふとしたきっかけから、多くの関係者のご協力により、ゼンリンの住宅地図らしさに近づけることができたことが、みなさまに大変ご好評いただけたのかな…と思っています。
地図の制作にあたり、トータルでどれくらいの時間がかかったのでしょうか。
2020年に制作した「伊勢佐木異人町」(『龍が如く7』)では、調査から地図の作成まで約10時間くらいだったと記憶しています。
『龍が如く7 光と闇の行方』× ゼンリン まさかのコラボ実現🙌 / 伊勢佐木異人町の住宅地図つくってみた!! \ 龍が如くスタジオのみなさまに敬意をこめて…ゲーム内に登場する伊勢佐木異人町を、1軒1軒回って住宅地図つくりました! #龍が如く #龍7 https://t.co/Q87FaTc7Sw
— 株式会社ゼンリン🗾 (@ZENRIN_official) 2020年5月8日
2021年に制作した「神室町」(『ジャッジアイズ』シリーズ)では全域を調査・地図作成したため、倍以上の時間を要しております。そこに表記チェックや修正などが加わりますので…わりと時間がかかっています(笑)。
龍が如くシリーズファンのみなさま、1年半ぶりです! 今回の地図は「JUDGE EYES:死神の遺言」での神室町を舞台に、実際にゲームをプレイしてビルの名前などを調べています。 もちろん神室町の案内は、八神探偵事務所さんにお願いしました😉 #lostjudgement #ロストジャッジメント #judgeeyes https://t.co/TGv25KlL20
— 株式会社ゼンリン🗾 (@ZENRIN_official) 2021年9月14日
「龍が如くシリーズ」だから作りたくなった
神室町のモデルと言われているのは東京・新宿の歌舞伎町。神室町の街並みはゲーム内でも現実のそれと雰囲気がリアルに描かれている。地図調査を行った人の視点から見て、違いを感じることはあったのだろうか。
「中の人」から見た神室町の町並みは、実際の歌舞伎町などと比べてどんな印象でしたか。
私自身「龍が如く」シリーズを全作品プレイしており、「神室町」自体には十数年住み着いているわけですが(笑)、私は歌舞伎町自体には縁遠く、都内に在住しながら数回しか行ったことないんですけども…。
ゲームをプレイされてこられた方にとっては、違和感がないレベルで見慣れた光景が広がっていると思います。
他のゲームなどで、地図に書き起こしたくなった…ということはありますか。
先ほども述べたとおり、現実世界に近い街並みが表現されているゲームタイトルでないと、当社ならではの住宅地図というものが表現できません。
「龍が如くシリーズ」だからできた・作りたくなった、といっても過言ではありません。
ゲームの世界を自社の技術を駆使してリアルに再現してしまった中の人の情熱、おわかりいただけただろうか。
さらにゼンリンとセガとのコラボ企画として、神室町の住宅地図風マップを印刷したクリアファイルを制作している。今後ノベルティグッズとして配布される機会があるかもしれないので、欲しい人はチャンスを待ってみていいかも。

