「最高の硬いプリン」を実現すべく1%の塩を入れた結果は?試行錯誤を続ける様子に反響
材料や温度など、異なる条件でプリンを作っている人が「塩を1%加えて作ると硬さが変化した」と報告したツイートが話題だ。
塩を1%加えたプリン、とんでもないくらい硬さに変化が生まれた。
ヤッベェ、料理最高に楽しい。 https://t.co/cOXnsJZKzN
— 燻丸 (@ibushi_maru) 2023年5月11日

検証結果を投稿したのはTwitterユーザーの燻丸(@ibushi_maru)さん。以前からたびたびプリン作りに関するツイートを投稿している。
プリンの主な材料は、卵と牛乳と砂糖。しかし、焼く時間や温度、ふたの有無や種類、追加の材料を入れるかどうかなど、細かな違いによって仕上がりの硬さが大きく変わるのだそう。
6つの異なる条件で焼いたプリンの検証
上3つは160℃ 30分
下3つは160℃ 20分
左から、
・焼く際に何も被せない
・アルミホイルを被せる
・シリコンの蓋を被せる
以上の条件で焼いたプリンを、外観、断面、弾力、食感で評価する。 https://t.co/yMUjSkS7de
— 燻丸 (@ibushi_maru) 2023年4月18日

Twitterユーザーからは「研究素晴らしいです!」「プリンってこだわり始めたら止まりませんからなあ」「夏休みの自由研究ネタに使わせていただきます」と硬いプリン作りに対してさまざまなコメントが寄せられた。

編集部では、硬いプリンの魅力や塩を加えるというアイデアのきっかけについて、詳しい話を聞いた。
理想のプリン実現のために
いつ頃からプリンの研究をなさっているのでしょうか?
私がプリンを作り始めたのが、2023年の3月からです。とある料理系のYouTuberが硬めのプリンを作成されていたので、私もやってみたいと思い、作り始めました。
しかし出来上がったプリンの中にすが入ってしまったり表面がだけ硬くなったりと、理想のプリンとは異なっていたため、4月中頃から研究を始めました。
塩を1%加えたプリンはかなり硬さに変化が生まれたようですが、具体的にはどの程度ですか?
塩の有無2パターン作りましたが、まず滑らかさが違いました。スプーンの入り方よりも、口当たりの印象に違いを感じましたね。今回の条件として通常よりも牛乳を増やしていたので、塩なしの方は滑らかというよりややムース状になっていました。
それに対して塩入りの方は明確にプリンとしての形を保っており、スプーンを入れた際に吸い付くような弾力がありました。 硬さというより、塩を加えた状態は粘度(ゼリー性)が増した印象です。
塩を加えるアイデアは研究結果から得たとのことですが、このようなソースはどこで探しているのですか?
基本検索はGoogle Scholarを用いています。硬めプリンを目指すうえで、砂糖の添加量による硬さの違いを調べていたところ、食塩を混入した際のデータに、強度が増すという記述があったため試しに検証したところ、明確な違いがうまれました。
@mitonoossan はい。卵の全卵・卵白・卵黄に砂糖と塩を添加した時に強度を調べる論文で、ゼリー強度と硬さが塩を加えない状態と1%、2.3...と加えた状態とでは、明確に強度が増したという研究結果がありましたので、そこに着目してみました。
— 燻丸 (@ibushi_maru) 2023年5月13日
闇雲に思いついた材料を入れて硬いプリンを目指すのではなく、学術文献を検索して根拠をもってプリン作りをしているさまは、まさに研究者のようだ。
さらに、燻丸さんはこう述べている。
160℃ 20分 蓋を被せない
外観 ★★底面が濃く黄色くなる。
断面 ★★ すが入ることなく綺麗
弾力 プルプル
食感 濃く黄色くなった底面の食感は、まるでゴミ袋の切れ端を噛んでしまったように感じる。 https://t.co/2y3JvIlkVb
— 燻丸 (@ibushi_maru) 2023年4月18日

現在までに、かぶせるふたの材質や容器の材質、焼成温度の比較を行ってきましたが、まだサンプル数が足りず偶然なのか必然なのかがはっきりとしていないのが現状です。
砂糖の分量による違いはまだ検証できていないため、その比較を近々行う予定です。
多くの文献によると、砂糖はタンパク質の熱凝固を阻害すると書かれているため、その分量を少なくすれば硬くなると考えています。しかし甘さは損ないたくないため、砂糖以外の甘味料の使用も検討しています。
今回の発見があってもなお、探求心は衰えていない様子。引き続き硬いプリンを追求する様子が見たい方は、燻丸さんのアカウントをフォローしてみては。