ヴェリー・クローズ、インフィニトリィ・ディスタント・シー
- entry_yahhoo
- 1560
- 5
- 0
- 0
「貴様は殺す」片腕で巨剣を構え、ライオンハートは殺意に満ちた目で睨み竦める。「何故ダ」戦艦悽姫はその怒りを理解できずに問うた。「何故、深海棲艦ガ深海棲艦ニ牙ヲ向ク!?」「ナンセンス。先程まで彼を殺そうとしたのは貴様だ」「奴ハ人類ニ与シタ!ダカラ沈メルノダ!」 4
2016-09-16 15:02:16「沈める、か」ライオンハートは鼻で笑った。「我々は最早艦ではない。一つの個を持って生まれ落ちた命だ。我々は我々のエゴで生きる…断じて神になぞ従う必要なし!」ライオンハートは、恐るべき速度で踏み込んだ!「イヤーッ!」「イヤーッ!」戦艦悽姫は巨人型艤装の丸太めいた腕で受け止める。 5
2016-09-16 15:06:25「故に殺す!」ワン・インチ距離、ライオンハートは凄む。その目に燃えるは、矜持と狂気!「我々の個を否定する者は!たとえ神であろうとも!」「ガラクタ風情ガ神ニ弓引クダト!発狂マニアックノ戯言以下ノジョーク!」「果たして!」ライオンハートは蹴り離れ、再び巨剣を振るう!「戯言かな?」 6
2016-09-16 15:11:26「イヤーッ!」「イヤーッ!」斬撃を、巨人型艤装の腕が再び受け止める。その体が数センチ海に沈み込む。「何タル蛮力…!」「それだけではない!」ライオンハートの背の触手が扇状に展開。6つのイ級主砲が戦艦悽姫本体に照準を合わせる!「イヤーッ!」BRATAATATATATATAT! 7
2016-09-16 15:16:22恐るべき集中砲火が戦艦悽姫に襲い掛かる!だが、彼の者もまた侮れぬ強者!「イヤーッ!」己の艤装を電撃的速度で駆け上がり、回避!艤装が砲撃に晒されるが、装甲が弾く!「流石の装甲か…」ライオンハートは感嘆の声を漏らす。「ハハハハ!」戦艦悽姫は勝ち誇った哄笑! 7
2016-09-16 15:31:55「温イ!私ハ戦艦悽姫ダゾ!イカレタガラクタ風情トハイエ、駆逐如キノマメピストルデ穿テルモノカ!」「ほう、言ったな?」ライオンハートもまた、不敵な笑み!「では予告しよう。お前は、そのマメピストルで殺すと!」「ホザイタナ、ガラクタァ!」「「イヤーッ」」 8
2016-09-16 15:35:54「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」 9
2016-09-16 15:39:11戦艦と異形の駆逐艦のイクサを掻い潜り、電はシロの治療に専念していた。「ハァーッ…ハアーッ…」シロの息は今だ荒い。だが、砲撃によって穿たれた無数の傷は、加速度的に塞がっていく。ライオンハートから渡された妙薬の効果か。電は祈る様にシロの手を握った。「死なないで、シロ=サン…!」 10
2016-09-16 15:44:55「うぅ…」「シロ=サン!」シロは薄く目を開いた。そして電を見た。「電=サン…よかった、無事で」その声に超自然的なエコーはかかっていなかった。電にはその理由は分からない。シロは戦場を見やる。「ライオンハート、サン?」「知り合いなのですか?」頷き、肯定する。 11
2016-09-16 15:51:37「前に、魚を…ゴホッ!」「無理をしないでください!」「戦わなくちゃ…」シロは深く傷を追った体を意に介さず、立ち上がる。塞がり切っていない傷口から青黒い血が零れ落ちる。「シロ=サン!?」「止めないで、電=サン。出来れば、あなたも逃げて…くっ」崩れ落ちるシロ。電が体を支えた。 12
2016-09-16 16:33:12「アイツはこの海でイクサをしようととしたんだ…遅かれ早かれ兵がやって来る…その前に、電=サンだけでも!」「その傷の貴方を置いて行けません!」電は決然と叫んだ。そして「イヤーッ!」シロの胸倉をを掴み上げた!「グワーッ!?」「私は!貴方を死なせる為に助けた訳ではありません!」 13
2016-09-16 16:41:13電は血を吐くかのように叫ぶ。「私は!誰かに!傷付いて死んで欲しくないのです!仲間も!敵も!顔も知らない誰かも!誰かの苦しみが!私は!電は!この世の何よりも憎いのです!だから!だから…」電はシロの胸の中に顔を埋め、弱々しく腕を叩きつけた。「生きることを諦めないでください…!」 14
2016-09-16 16:47:21「電=サン…」シロは電の肩を掴み、胸から引き剥がして顔を見た。頬は赤く、涙でしとどに濡れていた。シロの心はぐらつく。だが、彼は歯を食いしばり、首を横に振った。「けど、アイツが生き残れば、基地は戦場に…」シロはライオンハートを見やる。戦艦悽姫とのイクサは一進一退で続いている。 15
2016-09-16 16:53:02すぐに決着がつくものとは思えない。シロは遠方に深海棲艦の気配を感じた。自分とは違い、自我を持たぬ者たちの。「どうすれば…」シロは思案する。電はシロの手を取り、決断を待つ。シロは改めて電を見た。艦娘。人間。虐げられ、マーカーとして死ぬしか無かった自分に命と優しさをくれた人。 16
2016-09-16 16:56:55((電=サンは艦娘だ…逃げること自体は容易いはずだ…けど、アイツを倒すとなると、火力が足りない…せめて、艤装さえあれば………))「艤装?」シロは辿り着いた結論を思わず呟いた。「シロ=サン、どうするのですか?」シロはシリアスな声色で問うた。「…電=サン、貴方は、強いですか?」 17
2016-09-16 17:01:55「えっ?は、はい。一応戦闘経歴は長い方なのです」電は質問の意図を捉えあぐねた。「特に夜戦なら、戦艦悽姫の装甲でもある程度の損害は見込める筈なのです」「なら、いけるか?」「シロ=サン?」「電=サン」「は、はい」シロは真っ直ぐ真剣に電の瞳を見た。そして、深く深呼吸した。 18
2016-09-16 17:05:09「もう僕は、死ぬつもりはありません。これからする提案は、貴方の命を危険に晒すものです。これはあくまで僕の思い付きで、ただのワガママです」だから、と言葉を続けんとしたシロの体を、電は優しく抱きしめた。「……!?」「大丈夫なのです。命を賭けるは、慣れっこなのです」 19
2016-09-16 17:08:22シロは己の胸の中の電の顔を見た。彼女は華のように笑っていた。シロの心から、迷いが消えた。「分かりました…生き残りましょう、二人で!」「はい!」二人は頷き合い、シロは電を強く抱きしめた。そして呟いた。状況を打破する為のトリガーワードを。「ヘンゲ!」 20
2016-09-16 17:14:43「イヤーッ!」「イヤーッ!」ライオンハートと戦艦悽姫は切り合う!ライオンハートの巨剣と戦艦悽姫が自らの骨から生成した槍が暗い夜の海に火花を散らす!だが、ライオンハートは切り合いにのみ集中する訳には行かぬ!「GRAHHHHHHH!」カラテパンチで割り込むは巨人型艤装だ! 22
2016-09-16 17:20:07「イヤーッ!」ライオンハートは5連続バク転回避!回避と同時に、触手の主砲群で弾幕をばら撒く!BRATATATATATA!戦艦悽姫は動かない。巨人型艤装が無造作に立ち塞がり、砲撃を弾く!「ドウシタ!ソノマメピストルデ私ヲ殺スンジャナカッタノカ?」戦艦悽姫は嗜虐的な笑み! 23
2016-09-16 17:23:59「ヌゥーッ…」ライオンハートは巨剣を構え直す。((想定以上の使い手か…戦艦水鬼直属は、伊達ではないと言う事か…だがこの程度!神と比すればなんと脆弱か!ここで苦戦していられるか!ライオンハートよ!))「イヤーッ!」ライオンハートは何度目か分からぬ突撃敢行!「馬鹿ノ一ツ覚エ!」 24
2016-09-16 17:31:17「粉々ニナッテ沈メ!」巨人型艤装が全砲門を開く!「撃テーッ!」KADOOOOM!KADOOOOM!KADOOOOOM!KRA-TOOOOOOM!!質力となった殺意の砲撃がライオンハートに迫る!王は己のエクスカリバーを振るった!「イヤーッ!」KRAAAAASH!砲撃を弾く! 25
2016-09-16 17:36:27エクスカリバーを振るう!「イヤーッ!」KRAAAAASH!再び弾く!更にエクスカリバーを振るう!「イヤーッ!」KRAAAAAASH!目にも止まらぬ速さで、エクスカリバーを振るう!「イィイイイイヤアァアアアアアーッ」KRAAAAAAAAAAAAASH!踊り掛かる影!戦艦悽姫! 26
2016-09-16 17:41:19ナムサン!全力で巨剣を振るったライオンハートには、戦艦悽姫に対処する余裕なし!「沈メ、ガラクタァ!」「ヌゥーッ!」ライオンハートはダメージを覚悟した…その時だ!BRAM!KABOOOM!「グワーッ!?」吹き飛んだのは戦艦悽姫だ!何が起こった! 27
2016-09-16 17:46:57