Age of Wonders III -Chronicle of Valmsun Runekeeper- その5
- manbo_khazad
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かくしてヴァルムスンはほぼ無傷で火山の拠点を落とすことに成功した。ダアァグ居住地、そしてノムリクなる者への対応については、改めて考える必要があるだろう… #AoW3CoV pic.twitter.com/FuSLahXbJA
2016-09-17 04:08:40一方、怪我の癒えたペルはロガーン・ドゥルで魔術師隊の補充を加え、予定通り西の雪原地帯へと進んでいた。まずは街道沿いの、オーガや蜘蛛、猪が巣食う古代の遺跡だ。 #AoW3CoV pic.twitter.com/z31TiBqYNh
2016-09-17 04:26:05今回の相手は亡者ではなく、殴ればひるみ、銃が当たれば血を流す実体のある普通の生き物である。遺跡にかけられた呪術により体は重かったものの、入り組んだ遺跡での戦いを難なくペルは制した。 #AoW3CoV pic.twitter.com/oIWeY2atSY
2016-09-17 04:31:22さらに続けてその真西に位置する監視塔を攻撃し、こちらも制圧に成功した。 「これくらいはやってみせないとな。」 すっかり調子を取り戻したペルは満足げに笑みを浮かべながら、鎚矛を振ってこびりついた血を払う。 #AoW3CoV pic.twitter.com/F9R6FgwsA8
2016-09-17 04:36:56勝利は良かった。何も悪いことはない。しかしその結果としてもたらされた情報は、いくばくかの意味を持つものだった。 監視塔によって周辺の視界が明らかになる。連なる雪山の中に、緑地に赤の縁取りの旗がはためいていた。 #AoW3CoV pic.twitter.com/7ZwHgRJ2li
2016-09-17 04:44:26ファイラックの旗だ。遠くに町並みが見える。ログラムと呼ばれるその街は、国境線の位置からすると、かなりの規模を誇っているものだと見えた。ヘイルストーブより1.5~2倍程度はあるだろうか。 #AoW3CoV pic.twitter.com/omk5suRFEW
2016-09-17 04:49:11おまけに街の住民は寒冷人(フロストリング)が主なようだ。それはつまり「この規模の街でも、ファイラックの本拠地ではない――」このことである。 「もしかするとかの御仁は、思っていたよりもずっと先を行っているのかも知れない…」 ヴァルムスンは報告を受けてつぶやいた。 #AoW3CoV
2016-09-17 04:49:54さて、ロガーン・ドゥルには魔術院(アカデミー)があり、日夜魔術兵の訓練や、新しい魔法の研究開発が行われている。 その日ヴァルムスンは、まもなく完成する開発中の魔法、"非凡なる乗騎の祈願"の様子を伺いにアカデミーを訪れていた。 #AoW3CoV
2016-09-18 03:43:07「へえ…」 研究部から提出された報告書と、そこに記された呪文式の記述は実に整然としており、効率的で無駄がなかった。 ヴァルムスンは感心のため息をもらす。 「この術式構築の"クセ"は見覚えがあるな。あれは確か…」そうだ、"星の刃"のそれとよく似ている。 #AoW3CoV
2016-09-18 03:50:57「さすがです、ヴァルムスン様」と研究部の魔術師はうなずいてみせた。 「確かにこの報告書をまとめたのは、星の刃の研究を担当したのと同じ者です。彼女はこのアカデミー創設以来の秀才だと言っても過言ではないでしょう――もちろん、ヴァルムスン様は別ですが。」 #AoW3CoV
2016-09-18 03:57:54「彼女? 会ってみたいな。名前は何と?」 魔術師で、しかも女性。ヴァルムスンはにわかに興味が湧いてきた。 「ヘンナと言います。アカデミーでは"年寄り"ヘンナと呼ばれています。」 「へえ、おばあさんなのかい?」 ヴァルムスンの問いに、魔術師は苦笑いして首を振る。 #AoW3CoV
2016-09-18 04:08:02そのヘンナはまだ成人して間もない歳ながらも大層な変わり者で、やたらと古めかしく、研究好きで、いつも籠もって本とにらめっこばかりしていることから、いつの間にか周りから"年寄り"と揶揄されるようになったらしい。 それでいて、これだけの術式を書けるとはますます面白い。 #AoW3CoV
2016-09-18 04:11:11さっそくヴァルムスンの言いつけにより、ヘンナが呼び出された。 なるほど、確かに若い。少女というほどではないが、若いヴァルムスンよりもいくらか年下で、赤い髪を頭の上でまとめて束ね、顎にはかすかに髭を蓄えていた。 #AoW3CoV pic.twitter.com/ImPeiaAYg2
2016-09-19 03:16:41「た、たたた、大変恐縮です!」 ヴァルムスンに賛辞を送られたヘンナは耳まで真っ赤にして畏まる。そばかすが初々しい。その胸は豊満であった。 「そんなに緊張しないでくれ、ヘンナ。別にきみを取って食ったりはしないよ。」 #AoW3CoV pic.twitter.com/XxF1nJTpnB
2016-09-19 03:19:47「い、いい、いえ! と、とんでもありません! ヴァ、ヴァルムスン様といえば…」 没落したロガーン・ドゥルを再興した英雄。魔術を体系化して一族の中に広く啓発した、五百年に一度の天才魔術師。 魔法を学ぶ徒として、まさしく彼女にとって憧れの存在であった。 #AoW3CoV
2016-09-19 03:21:37「ヘンナ、単刀直入に言うよ。」 ヴァルムスンは改まって口を開く。 「我が軍には腕のいい魔法使いはいつでも必要なんだ。 兵を率いて、戦場に影響を及ぼすような大規模魔法を扱う。きみならきっとそれが出来ると思う。」 #AoW3CoV pic.twitter.com/tdsW4QOAbw
2016-09-19 03:44:26「きみの研究は実際すばらしいよ。」 ヴァルムスンには眼前の少女の魔術への、そしてそれを通じた真理への深い探究心がよくわかった。 彼自身と同じだ。 なればこそ。 「きみは外へ出て、その目で実際にいろいろなものを見るといい。魔法が実地でどのように働くかを学ぶんだ。」 #AoW3CoV
2016-09-20 02:21:46ヘンナを部隊に加えたヴァルムスンは、ダァアグの脇を抜けて北上を続けた。 「この子、思ったより揺れ…あっ!」 「ヘンナ、きみ、騎乗訓練は受けているんだろう?」 最初のうちは慣れない猪に四苦八苦するヘンナだったが、2日も背に揺られると、すっかり乗りこなしていた。 #AoW3CoV pic.twitter.com/ldKtf9SaOq
2016-10-13 22:47:20ヘンナは実際アカデミーでは抜きん出て優秀であったが、何と言ってもまだ実戦の経験が足りない。ヴァルムスンが部隊指揮するのを間近で見ながら、彼女は日々学んでいった。 #AoW3CoV pic.twitter.com/psdbnkMM6u
2016-10-13 22:48:17呪文書については彼女自身が研究に関わった"星の刃"、ごく基礎的な攻撃魔法である"魔法の拳"、そしてマナを治癒に用いる"魔力の調和(ハーモナイジング・エナジー)"を習得していた。攻撃・回復・強化と、基本を押さえたまずまずのレパートリーだ。 #AoW3CoV pic.twitter.com/NFIMXNW9Jh
2016-10-13 22:49:46「マナよ、敵を討つその手に力を与えよ、万物を為す根源と共に彼の者を滅ぼせ…!」 "星の刃"の使用機会では、ヴァルムスンは積極的にヘンナに任せた。 「いいぞ、その調子だ!」 「は、はい!」 詠唱力 の消費を抑えることももちろんだが、実戦の勘を仕込むためでもあった。 #AoW3CoV pic.twitter.com/XO5LBvE5EF
2016-10-14 00:36:50タイロバーはその頃、ハーフリングのイスファー村に滞在しながら周辺の小勢力を掃討していたのだが、一息ついていたところへ村の者が慌て顔でやってきた。 「たいへんだ! 鉱山で化け物を掘り当てちまったんでさ! ドワーフの旦那、どうかお助けを!!」 #AoW3CoV pic.twitter.com/k4z5TbHM39
2016-10-14 00:52:03「あんな化け物が出てくるなんてまっぴらごめんだ!」 まだ先の話だが、この依頼を無事達成できれば、属国化の提案もしやすいだろう。 「わかった。片付けよう。」 タイロバーは承諾すると、部隊を引き連れて村はずれの鉱山へと向かった。 #AoW3CoV pic.twitter.com/qVGdjlQntC
2016-10-14 00:58:58実際のところタイロバーと彼の率いる部隊は今のロガーン・ドゥル軍で最も多くの実戦を経験しており、いわば精鋭だ。 多少数が多かろうが、この程度の獣は相手にならなかった。 "スマイト"の光を皮切りに、ドワーフ軍はあっという間に鉱山の蜘蛛どもを制圧してしまった。 #AoW3CoV pic.twitter.com/iv4bV7Ls0U
2016-10-14 01:08:34「ひゃあ! 旦那がた、すげえや!」イスファー村のハーフリングたちは大喝采でタイロバーたちを出迎えた。 「おいらたち、戦いは得意じゃないんだ。旦那がたみてえなりっぱな方々に守ってもらえるなら、何の心配もないんだけどなァ。」 タイロバーはうなずき、属国化を承諾した。 #AoW3CoV pic.twitter.com/uaglT1fVQx
2016-10-14 01:11:42