掌小説語り～自作つぃのべる集～31

リュカ @ryuka511

泣いている貴女を抱きしめようと思った。だが腕は金属音を鳴らすだけで上手く動かない。耳障りな音を立てるだけの腕など無用の長物。腕を引き千切ろうとしていると驚く貴女が視界に映る。何故止めるのです? 何故謝るのです? 貴女の役に立てないなら作られた意味など無いのです。 #twnovel

リュカ @ryuka511

摩天楼の最上階で、彼は手の中にある獲物を見つめる。豪奢で眩い光を放つ首飾り。怪盗としてのデビュー戦は、あまり満足出来るものではなかった。もっと優雅に、もっと鮮やかに。胸元に潜ませた獲物を使わずに済むように。歴史の中で血塗られた宝石に、これ以上の血は要らないのだ。 #twnovel

リュカ @ryuka511

友情という建前を盾に、君と共に戦う道を選んだ。君が僕の知らない旅の空に消えてしまうのが嫌だった。友人以上の関係にはなれないから、恋人よりもっと深い絆を作りたかった。魔王討伐の旅はうってつけだった。僕が救い守ったのは、世界じゃなく君。誰も知らない英雄の一人の本心。 #twnovel

リュカ @ryuka511

遥か昔、行き倒れていた僕を救ってくれた魔女に恋い焦がれてる。恩返しに側にいたいと願うと魔女は優しく笑った。「お前はまだ幼い。沢山の時を生きてまた会えるなら、その時こそ縁があったという事。」僕はあれから沢山生きたよ。尻尾はそろそろ9つになる。貴方の使い魔になれる? #twnovel

リュカ @ryuka511

遺跡から汚された肖像画が発見された。王族である事は確かだが誰を描いたものか解らない。誰が何の目的で絵を汚したのかも。科学分析すれば何か解るかもしれない。王族の肖像画を汚すとは余程の決意と覚悟が必要だっただろう。もう時効だ、教えてくれ。この時代に何があったのか。 #twnovel