映画『聲の形』徹底分析

4回観て、分析してみました。これは一つの仮説です。もし、ご興味を抱かれたとしたら、ぜひとも、もう一度映画をご覧になって確認してみてください。
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富崎学 @manaboo2009

『聲の形』幼い硝子が妹に死にたいと訴えているユズルの回想ショットは映画後半、彼女が自殺を図った後に出てくるのだが、その時彼女は頭からびしょ濡れで髪には葉っぱなどがついている。これは単純に水をかけられただけではない。このショットはまさしくあの池のシークエンスに繋がっているのである。

2016-09-22 23:22:44
富崎学 @manaboo2009

『聲の形』硝子が自ら池の底にノートを沈めたという事実は映像を思い出せば明らかだ。彼女がノートを沈めている映像はないが、拾っているのなら背を向ける彼女の身体は下から上へと移動するはずだ。だが、実際の映像は上から下へと移動し池に座り込むように見える。その後将也が池の中で発見するのだ。

2016-09-23 22:47:44
富崎学 @manaboo2009

『聲の形』硝子がなぜ自ら唯一のコミュニケーションツールである筆談ノートを池の底に沈めたのか想像しよう。幾様にも想像は可能であり幾様にも想像する必要がある。その一つに彼女を拒絶しつづける将也(いじめられているという認識を所与とすべきかは疑問)に対する怒りと絶望というのもありえよう。

2016-09-23 23:03:00
富崎学 @manaboo2009

『聲の形』ここまでの彼女の側に立って想像できるようになれば小学生時代の彼女の気持ちを慎重に慮ることも可能となるだろう。いじめられる側になった将也の机の落書きを消すことは自らの仕業とは知らない黒板の落書きを消してくれた将也へのお返しであり、それすら拒絶する将也に本気で体当たりする。

2016-09-23 23:12:50
富崎学 @manaboo2009

『聲の形』小学生時代の将也の行為を硝子はどう受け止めていたのか白紙で考える必要もあるだろう。それは興味ある異性に対する小学生にありがちな過激なちょっかいだったかもしれない。私たちは教科書を丸めてメガホンよろしく彼女にいたずらした将也に対する硝子の心の声を映画後半聞くことができる。

2016-09-23 23:22:05
富崎学 @manaboo2009

『聲の形』映像に基づいて自由に彼女の気持ちを想像していると硝子という女の子がかなり天然で、無防備に素直すぎる小学生だったのではないかと思えてくる。見えてくる彼女から見えていた世界。だがそれ故に彼女は孤立していった。たが、その世界はとても静かな時の流れる世界だったと思えてならない。

2016-09-23 23:31:01
富崎学 @manaboo2009

『聲の形』二人の高校時代の再会に話を戻す。硝子がそんな思いで手放したノートを当の将也が不意に届けに来たことの意味は計り知れない。さらに、本作中ではあまりにあっさり描かれた将也の「覚えた」「忘れた」の手話は硝子にとっては衝撃に近いものだったろう。あの将也が自分と「話し」に来たのだ。

2016-09-23 23:47:13
富崎学 @manaboo2009

『聲の形』だが、さすがの硝子もこの段階では、かなり心を動かされながらも、将也に対して、それほどの感情を抱いたわけではないだろう。だが、この後に決定的な象徴的出来事が起こる。もう賢明なみなさんはお気づきだろうと思いますがね。というところで、つづきは明日です。

2016-09-23 23:51:52
富崎学 @manaboo2009

おっと、映画『聲の形』という群像劇にあって、メインの二人の次に重要で愛すべきキャラクターは植野さんだと宣言しておこう。さすがに後出しじゃんけんなどとは言われたくないからね。

2016-09-24 00:12:16
富崎学 @manaboo2009

『聲の形』結絃自身が将也を許せなかっただろうし、そんないじめっ子に姉硝子が心惹かれつつあることを敏感に嗅ぎ取って、それが決して良い結末を生まないだろうこと、自分の最愛の姉が奪われかねないことを察知したことは想像に難くない。なお彼女が性同一性障害であるとする見方は穿ちすぎと考える。

2016-09-25 00:49:26
富崎学 @manaboo2009

『聲の形』二回目の再会をようやく果たした将也と硝子の二人に決定的な象徴的事件が起きる。橋の上で例のノートを開く硝子。悪口が書かれていることを知っている将也は誤ってノートを川に落としてしまう。これは小学生時代に将也が硝子のノートを池に落としたあのシーンの再現に他ならない。

2016-09-25 01:00:28
富崎学 @manaboo2009

『聲の形』すぐさまノートを拾うために川に飛び込む硝子。後を追った将也が、無意識に、落ちたノートを拾いあげることになる。小学生の時の池は、硝子に将也との決別を決意させ、将也にとってはいじめる側からいじめる側への分岐となった水の中。池と同じ水の中である川の中で、すべてが反転していく。

2016-09-25 01:08:07
富崎学 @manaboo2009

『聲の形』この川の中での事件は特に硝子にとっては奇跡のような出来事であったことは想像に難くない。あの時自ら葬り去ろうとした将也との唯一のコミュニケーションツールを今度はその将也が見つけ出し拾い上げてくれたのだから。硝子にとっては理想の方向に時間が巻き戻されたようなものではないか。

2016-09-25 01:21:12
富崎学 @manaboo2009

『聲の形』将也にとってはトラウマ的な過去を反転させる兆候であったはずなのだが、当の将也は水の中の硝子の姿に性的なものを見て取り、あわてて浮上し、そのついでにノートを偶然に見つけてしまったのだから、そうした自覚は全くもっていない。しかし、自覚的な硝子は「またね」の手話を将也に送る。

2016-09-25 01:27:36
富崎学 @manaboo2009

『聲の形』この川への転落シーンは硝子の投身シーンの伏線である。だが、最初から「落ちること」のイメージは繰り返し反復されていることに早くに気付かねばならない。とにかく、水の中(小学生時代の池)の中で断絶した二人は再び水の中(高校時代の再会の橋の下の川)ですべてをやり直すことになる。

2016-09-25 01:33:37
富崎学 @manaboo2009

『聲の形』川の事件で硝子は自分との関係性を取り戻そうとする将也の姿を象徴的に感じ取り、感動する。ここに恋愛感情が喚起されることはもはや必然だ。こうした巧みな演出は感嘆に値しよう。こうして始まった二人の歩みが極めて困難な道であったことは皆の知る通り。ここから全てが始まったのである。

2016-09-25 01:43:17
富崎学 @manaboo2009

『聲の形』結局、水の中に再び突き落とされるのは将也ひとり。確かに将也が残酷ないじめっ子だったことは間違いないだろう。だが、もう彼は許されてもいいのではないか?この映画を観ていて、少なくとも、僕はそう思った人々のうちの一人だった。

2016-09-25 02:05:28
富崎学 @manaboo2009

「いじめる側からいじめる側への分岐となった」は「いじめる側からいじめられる側への分岐となった」の間違いでした。お詫びし訂正させていただきます。

2016-09-25 02:22:19
富崎学 @manaboo2009

『聲の形』硝子にとって将也が筆談ノートを返しに来ることと手話を習得してきたことがいかに大きなことであったか、そして、それが池の中と川の中という記号論的な表現で象徴的に映像化されていたこと、映画は硝子からの視点に眼を凝らさないとわかりにくい、というのがこれまでのまとめとなります。

2016-09-26 00:09:15
富崎学 @manaboo2009

『聲の形』今後のツイート計画。なぜ硝子はあの時、告白に踏み切ったのか、そして、将也、硝子、植野、佐原、川井、真柴の群像について「障害者と健常者」の観点から特に植野に注目して分析します。あと、個人的に西宮結絃の魅力について(悠木碧含む)余力があればこだわってみたい(笑)と思います。

2016-09-26 00:19:38
富崎学 @manaboo2009

.@kujira_BB 原作未読ですが、あのシーンもいいですね。雨の中傘もささずに娘を探していた八重子はずぶ濡れになることで将也=硝子の関係性に介入する資格を獲得しています。その上で将也にこの「橋」は渡らせないという断固たる意思表示をするのだからたまらない。橋は常に象徴的です。

2016-09-26 07:33:20
富崎学 @manaboo2009

『聲の形』に関する一連のツイートを読み返してみると自分の文章力の無さに愕然としてしまう。なぜこうもぐだぐだとしつこい説明をしているのだろうかwもっと簡潔に書いたらいいのにと、みなさんお思いでしょうが、自分の感性に頭がついてこないバカなんでなかなかうまくいかんのですよw

2016-09-27 23:07:23
富崎学 @manaboo2009

『聲の形』明日、レディースデーですが、三回目観てきます。どうしても確認しておきたいことがあるので。でも、ちゃんと気付いてますからね!転落後、意識の戻った将也と硝子が再会した時の最後に硝子の通訳されない手話のこととか、ラスト近くで植野が指文字だけど手話を覚えてきたことを。

2016-09-27 23:21:58
富崎学 @manaboo2009

『聲の形』明日の再確認でまとめられそうなので先の計画通り書き進んでいきます。どうぞ読んでください。そして、何か感じるところがあれば、もう一度映画館に足を運んでいただきたい。僕の言っていることは所詮、仮設にすぎません。思うところあればどんどんご意見お聞かせ願えればと思っております。

2016-09-27 23:36:37
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