野生の思考から古事記へ

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未発育都市 @mihatsuikutoshi

続き)「ブリコラージュ」が豊かな作品に神話や呪術がある。神話は「ブリコラージュ」によってできている。神話はパーツの組み合わせ、出来事の破片を拾ってきてそれを「ブリコラージュ」している。

2016-12-12 23:06:29
未発育都市 @mihatsuikutoshi

続き)呪術と科学の違いはそれほど大きくない、とレヴィ=ストロースは論じている。呪術と科学は対立させるのではなく、両者を併置したほうがいいだろう。両者は知的操作の性質自体が異なるのではなく、適用される対象が違うだけである。適用されるタイプに応じて変えていい。(続く

2016-12-12 23:09:45
未発育都市 @mihatsuikutoshi

続き)ケプラーは占星術師だった、その知識に基づいて重要な法則を発見した。ニュートンも錬金術と占星術に熱中した。科学的思考が正しく呪術的思考は遅れていると考えられているが、現代の科学が用いている道具と思考は、呪術的思考に準備されている。つまり、我々の文明の基層をなしているのである。

2016-12-12 23:13:20
未発育都市 @mihatsuikutoshi

続き)「ブリコラージュ」のように野生的知財を集めて体系化する作業は1万2千年前の新石器時代に組織化された。科学的思考は農業革命から産まれた。それによって人口が増大して、社会の構造が破綻し始めた。近代に入ると、科学的思考によらなければ人間社会を繋いでいくことができなくなった。(続く

2016-12-12 23:18:41
未発育都市 @mihatsuikutoshi

続き)現代は科学的思考オンリーの世界へと進んでいるが、このまま行けるのだろうか。「野生の思考」の要素を社会の中に取り込んで行かなければならない。これからは「野生の思考」を意識化していく必要がある。来週は第3回「神話の論理へ」です。(メモ終わり #名著 #Eテレ

2016-12-12 23:22:15
未発育都市 @mihatsuikutoshi

NHKテキストの中沢新一著『レヴィ=ストロース『野生の思考』』 の第3回「神話の論理へ」を読んだ。レヴィ=ストロースによるオーストラリアやアメリカの先住民の膨大な調査とその分析を初心者向けのテキストに無理やりまとめているせいか、牽強付会かなという感じはした。とは言え勉強になった。

2016-12-16 17:37:10
未発育都市 @mihatsuikutoshi

テキストから少し引用(メモ)しておくと、レヴィ=ストロースは『野生の思考』で「神話は、人類最初の哲学である」と語っている。「神話思考は、この世界が矛盾として成り立っているという認識に立ちます。分類することにより文化はつくられるけれども、それによって自然の全体性は否定され、…(続く

2016-12-16 17:41:22
未発育都市 @mihatsuikutoshi

続き)その矛盾を思考によって乗り越えるものとして神話は生まれました」。要するに神話思考とは「弁証法的理性」に他ならないとレヴィ=ストロースは語っているのです。サルトルは『弁証法的理性批判』の中で未開社会とは「惰性態」であり、西欧近代の「弁証法的理性」はないと論じたのだけど、(続く

2016-12-16 17:44:42
未発育都市 @mihatsuikutoshi

続き)レヴィ=ストロースはそれに真っ向から反論したのですね。またレヴィ=ストロースはクリスマス論も書いている。ヨーロッパのクリスマス祭は「古代ローマやケルトの異教の祭がベースになっている」、その異教の祭を「キリスト教会は上手に「キリスト生誕祭」であるクリスマスに組み込んだ」(続く

2016-12-16 17:50:49
未発育都市 @mihatsuikutoshi

続き)とのことです。更に20世紀に入ると、「そこに目をつけたのが、近代の資本主義でした。…クリスマスは盛大な「商戦」のくりひろげられる祭の時期へと変貌した」のですw。ここで重要なのは、クリスマスではプレゼントを交換し合うけど、これは実は未開社会の「贈与」と同じなのですね。(続く

2016-12-16 17:55:57
未発育都市 @mihatsuikutoshi

続き)テキストから再び引用すると、「レヴィ=ストロースはこの論文の中で、…「野生の思考」の産物が、現代の資本主義文化の深層部でしたたかな活動を続けている様子を、あきらかにしています」「現代の経済システムですら、新石器時代以来の普遍的思考法を土台にしている…」。

2016-12-16 17:59:57
未発育都市 @mihatsuikutoshi

あと、テキストの第3回「神話の論理へ」の最後で筆者(中沢新一)は「未来の野生の思考」について書いている。少し引用(メモ)しておくと、「人類の思考は、最初から完成されていました。人類が人類となったそのときにつくられた脳の構造を、私たち現代人もいまだに使って思考しているのです」(続く

2016-12-16 18:03:53
未発育都市 @mihatsuikutoshi

続き)「こうなると、ますますあの「ブリコラージュ」という考え方の重要さが、大きく見えてきます」「生命は自分の手持ちの材料とプログラムだけを用いて、それらの組み合わせを新しくつくりかえることだけによって、進化をなしとげてきました。つまり、生命進化も知性の進化も、すべては(続く

2016-12-16 18:08:15
未発育都市 @mihatsuikutoshi

続き)「ブリコラージュ」によっているわけです」「分子生物学者のフランソワ・ジャコブが指摘しているように、進化は不器用な日曜大工(ブリコルール)であり、手持ちの遺伝子をそのときどきに、少しずつ様式を変えながら、繰り返し再利用しているだけである」とのことです。

2016-12-16 18:12:23
未発育都市 @mihatsuikutoshi

また、今日の高度情報化時代について筆者は「レヴィ=ストロース自身、『野生の思考』の中でこんなことを書いています。電子計算機の発達によって情報の検索システムがおおいに発展することになるだろうが、そのとき「野生の思考の法則が再び支配する情報の世界の発見」がおこるにちがいないと」(続く

2016-12-16 18:16:14
未発育都市 @mihatsuikutoshi

続き)「コンピュータ化されていく世界に、サルトルのような知識人たちは反発しましたが、レヴィ=ストロースは彼らとはまったく逆のことを考えていました。人類がこの先も生き延びることがあるとしたら、それはコンピュータという思考機械を着装しながら、(続く

2016-12-16 18:18:42
未発育都市 @mihatsuikutoshi

続き)人間の中にいまも生き続けている「野生の思考」を活用し、世界を運営していくための新しい方法を考える以外には、ほかに道はないのではないか」と書いている。というわけで、第3回の予習は終わり。最後の第4回「「野生の思考」は日本に生きている」は来週、読みます。(

2016-12-16 18:23:15
未発育都市 @mihatsuikutoshi

NHKテキストの中沢新一著『レヴィ=ストロース『野生の思考』』の第4回「「野生の思考」は日本に生きている」を読んだ。今回は書物から離れてレヴィ=ストロースと日本の深い関わりについて書かれている。前回の第3回はやや難解であったのだが、今回は非常に面白く目から鱗の話がいくつもあった。

2016-12-24 13:27:19
未発育都市 @mihatsuikutoshi

レヴィ=ストロースは1977年に初来日している。以後1988年まで5回も来日している。筆者(中沢新一)によると「レヴィ=ストロースが日本に注いでいた関心と愛情には格別なものがありました」とのこと。その理由はまず第一にレヴィ=ストロースは幼少期の頃、日本の浮世絵に熱中していた(続く

2016-12-24 13:31:03
未発育都市 @mihatsuikutoshi

続き)から。そして第二に日本には「野生の思考」が生きているからである。余談だが、『表徴の帝国』という日本論を書いたフランスの哲学者のロラン・バルトは1960年代に3回来日している。また、『空間の日本文化』を書いた同じくフランスの地理学者のオギュスタン・ベルクは1969年に(続く

2016-12-24 13:34:10
未発育都市 @mihatsuikutoshi

続き)初来日して以降、通算で10年以上も日本に滞在している。一応、『表徴の帝国』と『空間の日本文化』について詳しくはここにまとめている。→【定期】空間の日本文化――サンダル履きで歩ける都市をめざして(2) - Togetterまとめ togetter.com/li/966570

2016-12-24 13:36:50
未発育都市 @mihatsuikutoshi

ちなみに、レヴィ=ストロースが日本について書いた文章はこの本にまとめられているらしい。メモメモ。/ クロード・レヴィ=ストロース著『月の裏側――日本文化への視角』 amazon.co.jp/dp/4120044246 「原書は2011年にフランスで刊行」 2014/7/9発売。

2016-12-24 13:39:33
未発育都市 @mihatsuikutoshi

NHKテキストの話に戻ると、レヴィ=ストロースが来日した目的には実はもう一つあった。それは当時レヴィ=ストロースは共同研究で「労働の概念」について調べていたからである。1970年代はまだマルクス主義者の研究者が多かったのだが、マルクス的な「労働」の概念ではもはや不十分である(続く

2016-12-24 13:42:37
未発育都市 @mihatsuikutoshi

続き)と考えられるようになっていた。マルクスが対象にしていたのは「西欧資本主義社会における労働」にすぎないので、本来の人間の「労働」とは何かを調べてみよう、西欧的な「労働」の概念を相対化しようと考えられるようになっていた。そこで日本もその調査対象となったというわけです。

2016-12-24 13:44:21
未発育都市 @mihatsuikutoshi

少し引用すると、「フランス語で「労働」を意味する言葉 travail には「労苦」という意味もあり…西欧の労働概念には、神によって科せられた「罰」という、ユダヤ=キリスト教特有の考え方が影響しているようです」。一方、レヴィ=ストロースの同僚の古代ギリシャの歴史家・研究家の(続く

2016-12-24 13:47:27