国語辞典編纂者、飯間浩明さんの「紅白歌合戦の国語的解説」が面白すぎた

飯間浩明 @IIMA_Hiroaki

登坂絵莉さん、西野カナさんの応援談話で「（オリンピック中も）曲を流して、一緒に歌って過ごさせていただきました」。単に「過ごしました」でないところが、たいそう謙虚な表現。

飯間浩明 @IIMA_Hiroaki

桐谷健太「海の声」の歌詞に「君のコロコロした　笑い声」。笑い声に「ころころ」を使うのはいつ頃からかと調べてみたら、江戸時代からあるんですね。樋口一葉「にごりえ」にも「ころころと笑ふ」とある。ただ「ころころした声」という語形は珍しいかもしれません。

飯間浩明 @IIMA_Hiroaki

欅坂46、乃木坂46、AKB48の歌詞の人称が、どれも「僕」「君」だったので、「最近のアイドルグループの歌はみんなこうなのか」と少し驚いた（詳しくないので）。他の歌詞を調べてみると、必ずしもそればかりではないですね。偶然でしょうけれど、でも「僕」「君」の歌詞は多いようですね。

飯間浩明 @IIMA_Hiroaki

井ノ原快彦さん、相葉雅紀さんの司会ぶりを本人から聞かれて「全然大丈夫だよ。トゥギャザーしてるじゃない」。ちょっと意味がよく分からない部分もありますが、とりあえず記録しておきます。

飯間浩明 @IIMA_Hiroaki

春風亭昇太さん、大河ドラマでは「今川義元公をやらさせていただきます」。先ほど述べた「さ入れ表現」（「やらせて」でない）はもはや普通になっているようです。

飯間浩明 @IIMA_Hiroaki

Perfumeの曲紹介で相葉さん「ダイナミックVRを生かした」ということばの意味が分からない、という設定。「バーチャルリアリティー」は、今年あたり「VR」の形で一般化したと認め、三省堂「今年の新語2016」でベストテン入りしました。bit.ly/2h3KhN8

飯間浩明 @IIMA_Hiroaki

星野源「恋」は、私のヘビロテの曲でもあるのですが、「指の混ざり　頬の香り　夫婦を超えてゆけ」のあたりは意味がわかりませんね。音の面白さで作っている部分もあるのかも。ノリノリなので、細かいことは何でもいいんです。

飯間浩明 @IIMA_Hiroaki

大竹しのぶさんの「愛の讃歌」の歌唱に松本潤さん「圧巻のステージでした」。「圧巻」は『三省堂国語辞典』では2つ意味があり、「いちばんの見もの・聞きもの」と「思わず圧倒される見もの・聞きもの」。紛らわしいが、ここでは後者ですね。辞書が役立つ局面です。

飯間浩明 @IIMA_Hiroaki

坂本冬美「夜桜お七」は歌人・林あまりさんが作詞ですが、日本的な情緒の歌詞に1か所だけ「口紅をつけて　ティッシュをくわえたら」と外来語が出てくるのが、初めて聞いたときに印象的でした。今聞いてもやはり新鮮です。

飯間浩明 @IIMA_Hiroaki

TOKIO「宙船（そらふね）」は中島みゆきさんの力強い名作ですが、「そら」を「宙」と書く用字も、辞書ではちゃんと捕捉しています。『三省堂国語辞典』の「そら(2)」の意味に「［：宇宙・▽宙］地球の そと。宇宙。」と出ておりますよ。

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松田聖子「薔薇のように咲いて桜のように散って」はYOSHIKIさんの作詞とのこと。「ルリラー　ルルリラー」というスキャットが出てきますが、聖子さんの「野ばらのエチュード」（松本隆作詞）にも「トゥルリラー」と出てくる。YOSHIKIさんが「本歌取り」を試みたのですね。

飯間浩明 @IIMA_Hiroaki

髙橋真梨子「ごめんね…」にもリズムに配慮したと思われる歌詞があります。「何処にあるの　悲しまない国」（紅白ではこの部分歌唱せず）。口頭ならば「悲しみのない国」などになりそう。前の部分に「別離（わかれ）のない国へ」とあるので、それと表現を変えているのかもしれません。

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THE YELLOW MONKEY「JAM」に出てくる当て字は「時代（とき）は裏切りも悲しみも」。「時代（とき）」は辞書にあっていい表記ですが、私たちの辞書にはまだ入れていませんね。

飯間浩明 @IIMA_Hiroaki

「夜桜お七」の作詞・作曲者の字幕に誤りがあった由で、おわびのアナウンス。「天城越え」の作詞・作曲者と混同していたようですね。