国語辞典編纂者、飯間浩明さんの「紅白歌合戦の国語的解説」が面白すぎた

大変勉強になったので、曲順付きでまとめてみました。 面白いなーと思いつつ、途中途中に差し挟まれた『シン・ゴジラ』にまつわる小ネタやタモリさん&マツコデラックスさんのコントにはいっさい反応していないあたり、非常に飯間さんの個性が出ているなとも思いました。
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飯間浩明 @IIMA_Hiroaki

「向かい風」の反対は「追い風」かと思っていたら、天童よしみ「あんたの花道」では「送り風より 向かい風」。ある場合には「送り風」と言うらしい。これは、今のところ大きな国語辞典にも載っていないようです。

2016-12-31 19:59:11
飯間浩明 @IIMA_Hiroaki

ドラマでの東北方言を披露した有村架純さんに対し、相葉雅紀さん「ごちそうさまでした。ありがとうございます」。何かを披露してもらったときに「ごちそうさまでした」という言い方があるようです。使えそうですね。

2016-12-31 20:02:27

11.【白】SEKAI NO OWARI 「Hey Ho from RPG」
12.【紅】市川由紀乃 「心かさねて」
13.【白】三代目 J Soul Brothers 「Welcome to TOKYO」
14.【紅】香西かおり 「すき~真田丸スペシャル Ver.~」

飯間浩明 @IIMA_Hiroaki

草刈正雄さん、香西かおりさんへのメッセージを言うにあたり「立ちでよろしいでしょうか」。この「立ち」はテレビ用語でしょうか。もちろん、単純に、立ったまま話すということです。

2016-12-31 20:15:04

15.【紅】椎名林檎 「青春の瞬き −FROM NEO TOKYO 2016−」

飯間浩明 @IIMA_Hiroaki

椎名林檎「青春の瞬き」で「僕らはたった独りでいるよりも有りの侭になる」。この「侭」は「まま」と読むのですが、辞書では「儘」と出ていて、書物でも「儘」と表記します。歌詞と書物の活字との違いがここに。

2016-12-31 20:20:36

16.【白】福田こうへい 「東京五輪音頭」
17.【紅】絢香 「三日月」
18.【白】郷ひろみ 「言えないよ」

飯間浩明 @IIMA_Hiroaki

郷ひろみ「言えないよ」は、康珍化さんのレトリックを駆使した詞が光る名曲ですね。「くちびるがほら空回り」(ことばが言えない)、「瞳がきみのこと抱きしめる」(目の前に姿が浮かぶ)など、詩的表現が連続します。

2016-12-31 20:37:16

19.【白】V6 「Smile!メドレー」

飯間浩明 @IIMA_Hiroaki

V6「WAになっておどろう」は誰知らぬ人のない名曲で、「うじゃけた顔してどしたの」で始まる。ところが、この「うじゃける」が『三省堂国語辞典』などの辞書にない。項目として入れたいところですが、意味がいまいちよく分からないんです。

2016-12-31 20:39:28

20.【紅】水森かおり 「越後水原~白鳥飛翔~」

飯間浩明 @IIMA_Hiroaki

水森かおり「越後水原~白鳥飛翔~」に「たたずむ白鳥(とり)よ」と当て字。今年はまだ当て字があまり出てきませんね。歌詞に当て字をするのが流行している時期とそうでない時期があるのかもしれません。

2016-12-31 20:43:27

21.【紅】いきものがかり 「SAKURA」
22.【白】ゆず 「見上げてごらん夜の星を ~ぼくらのうた~」

飯間浩明 @IIMA_Hiroaki

当て字のことを言っていたら、いきものがかり「SAKURA」で、「故郷(まち)」「明日(みらい)」という当て字が出てきました。

2016-12-31 20:47:08
飯間浩明 @IIMA_Hiroaki

「紅白」はここから第2部です。この後も引き続き用例採集を続けます。

2016-12-31 21:00:11

企画「紅白HALFTIME SHOW」渡辺直美・ピコ太郎

23.【白】RADWIMPS 「前前前世 [original ver.]」

飯間浩明 @IIMA_Hiroaki

RADWIMPS「前前前世」の歌詞「やれるだけ飛ばしてきたんだよ」は「できるだけ速く走ってきたんだよ」ということでしょう。つまり「できるだけ」のことを「やれるだけ」とも言うのかも。「できるだけ」には「無理をせずに」という意味もあるから、それと区別して言っているのかな。

2016-12-31 21:04:39
飯間浩明 @IIMA_Hiroaki

RADWIMPS「前前前世」で「君も知らぬ君とジャレて 戯れたいよ」。「じゃれる」と「戯れる」には、どういう意味の違いがあるのだろう。考えると何十分でも考えられそうです。

2016-12-31 21:07:15

24.【紅】乃木坂 46 「サヨナラの意味」

飯間浩明 @IIMA_Hiroaki

乃木坂46「サヨナラの意味」の歌詞では、「躊躇してた間に陽は沈む」。歌詞で「ためらう」の当て字として「躊躇」を使うことはあると思うんですが、そのままチュウチョと発音しちゃうのはすごい。当て字としては「歳月(とき)の流れは」もありましたね。

2016-12-31 21:13:49

25.【白】福山雅治 「2016 スペシャルメドレー」

飯間浩明 @IIMA_Hiroaki

福山雅治「少年」で、「あとどれくらい泣いたのなら強くなれる?」。日常会話ならば「あとどれくらい泣いたら」、少し気取って「泣いたなら」と言うところ。「泣いたのなら」は、拍数を考えて「の」を1文字入れたのでしょう。こんなふうに、リズムにあわせた表現というのが、歌にはありますね。

2016-12-31 21:20:32

26.【紅】島津亜矢 「川の流れのように」

飯間浩明 @IIMA_Hiroaki

「川の流れのように」は平易な歌詞ですが、同じ美空ひばりが歌った「愛燦々」は歌詞が難しい。「雨 潸々(さんさん)と この身に落ちて」と始まるのですが、この名曲に「潸々」があるからというのが主な理由で、項目に立てた辞書は複数あると思う。かくいう『三省堂国語辞典』もそうでした。

2016-12-31 21:26:48