続・「一般公衆の被曝限度の規制」について、高嶌英弘先生と菊池誠先生のお話

まとめ「「一般公衆の被曝限度の規制」について、高嶌英弘先生と菊池誠先生のお話」https://togetter.com/li/1070991 の続きを読みたくてまとめました。
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発端まとめ:このまとめをまだお読みでない方は、まずこちらを読んでから以下の本編に進んでいただいた方がわかりやすいと思います

第1部:高嶌先生への菊池誠先生のツイート

あ〜る菊池誠(反緊縮) @kikumaco

@TAKASHIMA724 1.ひとつ確認させてください。高嶌先生はICRP1990年勧告189節の「公衆被曝に対する線量限度の適用範囲を、行為の結果受ける線量に限る」の部分は日本の法律では考慮されていないと解釈されているようなのですが、それでよいでしょうか(続く)

2017-01-17 17:28:06
あ〜る菊池誠(反緊縮) @kikumaco

@TAKASHIMA724 2.勧告では、被曝限度に自然被曝が含まれない根拠がこの「適用範囲」にあると考えられます。実際、それはこの節に書かれており「唯一利用できる防護措置が介入のかたちをとるような状況で受ける線量は適用範囲から除外される」の例として自然被曝が挙げられています(続

2017-01-17 17:33:16
あ〜る菊池誠(反緊縮) @kikumaco

@TAKASHIMA724 3.すると高嶌先生の解釈では「年間1mSvの被曝限度」の中に自然被曝が含まれてしまうように思われるのですが、いかがでしょう。あるいは自然被曝が含まれないと考える別の根拠がどこかにあるでしょうか(続)

2017-01-17 17:35:09
あ〜る菊池誠(反緊縮) @kikumaco

@TAKASHIMA724 4. (1)線量限度に自然被曝が含まれないと考えるなら、その根拠は何か (2)自然被曝が含まれると考えるなら、自然被曝だけで年間1mSvを超える場所はどのように解釈されるのか。いずれか、ご教示いただけるとありがたいです(続

2017-01-17 17:37:26

(↑この質問に対する@TAKASHIMA724 先生の回答は次のセクションに収録します)

あ〜る菊池誠(反緊縮) @kikumaco

@TAKASHIMA724 5.僕は線量限度に自然被曝は含まれないと考えており、そのためにはICRP1990勧告に書かれた「線量限度の適用範囲を、行為の結果受ける線量に限る」という限定が日本の法律でも前提とされていなくてはならないのではないかと考えています(ここまで)

2017-01-17 17:40:03

第2部:菊池先生への高嶌先生のお返事

TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

菊池さん、良いご質問をありがとうございます。ちょうど、私もこの点をツイートしようと思っていたところです。@kikumaco

2017-01-18 04:54:31
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

このご質問に対する答えは、(1)です。すなわち、告示3条の線量限度に自然被曝は含まれません。これは、何度かご説明した法令の階層構造から、論理的に帰結される当然の結果です。 以下で分かりやすくご説明しましょう。@kikumaco

2017-01-18 04:57:24
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

先にツイートしたとおり、 線量限度を定める「実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則の規定に基づく線量限度等を定める告示」3条は、「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」に基づいて制定された下位の法令です。 @kikumaco

2017-01-18 04:58:36

この告示はこちら
https://www.taisei-shuppan.co.jp/support/code1487/1487/dat/data.files/00100.htm
法律はこちら
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S32/S32HO166.html
で読むことができます。
告示3条には
「実用炉規則第一条第二項第六号及び貯蔵規則第一条第二項第三号の経済産業大臣の定める線量限度は、次のとおりとする。」とありますが、実用炉規則
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S53/S53F03801000077.html
の第一条には項が1つしかなく、第二条第二項第六号には「「周辺監視区域」とは、管理区域の周辺の区域であって、当該区域の外側のいかなる場所においてもその場所における線量が原子力規制委員会の定める線量限度を超えるおそれのないものをいう。」とあります。また貯蔵規則
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H12/H12F03801000112.html
の第一条第二項第三号にも全く同じことが書いてあります。要は原子炉または使用済燃料貯蔵施設の「周辺監視区域」の外側に適用される線量限度として、ICRP勧告で決められた一般公衆の線量限度が使われるのです。

TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

従ってその内容が、本体である法律の範囲を超えたり、矛盾したりすることは許されません。 @kikumaco

2017-01-18 04:58:47
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

そこで「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」1条を見ますと、制定目的として「核原料物質、核燃料物質及び原子炉による災害を防止し…国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全…に資すること」が挙げられていますが、自然被曝は出てきません。 @kikumaco

2017-01-18 05:00:58
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

言い換えれば、「自然被曝」から国民の生命、健康、財産を保護することは、そもそもこの法律の目的ではないのです。すると、同法の下位法令である上記告示3条における「一年間…一ミリシーベルト」もまた、自然放射線を含まないことは当然の結果です。@kikumaco

2017-01-18 05:01:51
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

このように見ていくと、もうひとつのポイント、すなわち同告示3条が対象とする線量限度には、環境中に放出された放射性物質による被曝も含まれると解釈すべきであることもまた、おわかり頂けるでしょう。 @kikumaco

2017-01-18 05:02:27
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

なぜなら同法1条は「核原料物質、核燃料物質及び原子炉による災害を防止し…国民の生命、健康及び財産」を保護するとの目的を挙げており、環境に放出された放射性物質による被曝もここに挙げられた「核燃料物質…による災害」に含まれる以上、同様に扱うべきだからです。 @kikumaco

2017-01-18 05:03:43
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

なお、このように解釈する結果、一部の現行法には、ICRP1990が念頭に置いている放射線防護より高い水準が設定されていることになりますが、これは何らおかしいことではありません。@kikumaco

2017-01-18 05:04:21
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

なぜなら、ICRPが勧告する防護水準が被爆を防止するための基準である以上、それ以下なら問題はありますが、これを超える水準を定めるのは、費用対効果等の社会的負担を別とすれば、本来の目的からしてむしろ望ましいことだからです。@kikumaco

2017-01-18 05:05:12
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

そして、その後のICRP勧告を全体としてみれば、ICRP自体も現存被曝状況における目標基準を年1ミリシーベルトとしているのですから、上記のような解釈こそ、むしろICRPの理念に忠実だとい言えるでしょう。@kikumaco

2017-01-18 05:05:38
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

とりわけ日本の経済力や高い技術力に照らせば、被曝軽減作業は世界の一般水準よりも高度なレベルが期待できるのですから、このことを前提とした基準が現行法令に存在しているのは自然です。@kikumaco

2017-01-18 05:06:08
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

なお、私の以下の2つの質問はもしかすると的外れなのかもしれませんが、菊池さんのご見解を拝聴できればありがたいです。いかがでしょうか。 twitter.com/TAKASHIMA724/s… twitter.com/TAKASHIMA724/s… @kikumaco

2017-01-18 05:08:32
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

また、わが国の法令では、目の水晶体につき年15ミリ、皮膚につき任意の1平方センチ メートルに対し年50ミリの線量限度が規定されていたと思います。私はこれらも一般公衆の被曝限度を定めていると評価しますが、菊池さんのご見解ではこれらの規制はどのように位置づけられるのでしょうか。

2017-01-16 04:30:30
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

翻って考えてみますと、ICRP1990が一般公衆の被曝限度を示していることは明らかなのですから、これを参考にしたわが国の法令において、一般公衆の被曝限度の規制が存在しないというのはおかしくありませんか。

2017-01-16 04:31:30
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

ただ、私見では、先に見ましたように、告示3条の本体である「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」では、制定目的として「国民の生命、健康及び財産の保護」が挙げられており、あえてこれと無関係な解釈を行うのは無理があるように思います。

2017-01-16 04:29:02