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叫ぶと同時に俺も右脚を一振りでまとめて叩き斬り、振り抜いた勢いで剣をそのまま遠くに放る。蝶は動きを止めている。触覚を切られて平気な虫はいねぇ。必ず異常行動を取る。具体的にどうなるかは賭けだったが、暴れずに止まってくれたのはやりやすい。乃愛を抱き抱えて蝶の腹を跳び離れる。 40
2017-02-20 02:01:01「久浦!」 「ああ!」 ワイヤーを離した久浦は俺の逆から乃愛を支えると、共に蛸の上へと落下する。俺は乃愛を上に向け、久浦は、乃愛を潰さねぇように途中で横ヘ退いた。 「おぶっ…!!?」 俺の顔面が何か柔らかいもんで塞がった。いや違う。わざとじゃねぇ。信じてくれ。俺は無実だ。 41
2017-02-20 02:05:31俺は乃愛を持ち上げて、乃愛のよりは柔らかくねぇクッションの上にそっと置く。乃愛は疲労からか衝撃からか気絶しているが取り敢えず命は大丈夫そうだ。何せ心音もしっかり確認したからな。いや違ぇ…止めろ。許せ新司。 「こっちは大丈夫だ!」 兄ちゃんが俺達と逆の角から大声で叫ぶ。 42
2017-02-20 02:10:19「こっちもだ!!」 俺も叫び返す。兄ちゃんはそれを聞いて真横に信号弾を撃つ。鱗粉を浴びまくったせいで通信は安定しねぇからな。俺は床に座って足を伸ばす。そしてノゾム達が俺の肩に降りてきた。俺は真上を見る。触覚の片方を失った奴はぐるぐると迷走している。 43
2017-02-20 02:15:27「来るぞ!!」 俺は叫んだ。まずいな。俺達が邪魔で狙撃班は撃ちにくい筈だ。魔力弾なら自由な軌道で攻撃できるが、鱗粉で俺達に跳ね返るかも知れねぇからこれもダメだ。兄ちゃんは蛸の上に乗って迎撃準備をしている。蛸で直接迎撃すれば瞬殺だが、反動でクッションが落ちるかも知れねぇ。 45
2017-02-20 02:19:38※訂正・46-50まで 郡田→立森 となります
森の奥の郡田隊は。作戦終了の信号弾が上がったと連絡を受け、雛を処分しようと動き出した。だが既に小形兄妹は既に動いていた。 「兄さん、死にそうだけど急げば間に合う感じに加減するのよ」 「ひどい話だ…」 黒音は兄に物騒な指示を出しながら、展開済みのワイヤーガンを右手で握った。 46
2017-02-20 02:21:05兄の磐司は逆の手で同じようにする。 「お、おい。爆弾を使う予定だろ?」 郡田が困惑しながら止めに来るが、その時、本部から緊急連絡が届く。蝶が餌を取り戻しに動いたという内容だった。郡田は次の指示を出そうとして、その必要が無いことに気付いた。兄妹が空いた手を握る。 47
2017-02-20 02:24:06俺達を襲おうとしていた蝶は急に直角に北へと曲がった。まともに動かねぇ筈の左羽も無理に動かし、久浦のワイヤーを引きずり俺の剣も刺さったまま強引に全速で飛んだ。時速二百キロは出てる。 『ヘイ?大丈夫?はるはる?』 「その人を女児向けアニメに出てきそうな名前で呼ぶのは黒音さん!」 48
2017-02-20 02:29:11『黒姉さんよ』 「やったのか…さっきのえげつねぇ作戦…」 『感謝しなくていいから祟られないように後で手伝ってちょうだい』 「…おう」 動きが単調になった姑獲蝶の頭が狙撃で吹き飛ぶ。落ちていくその体を極太の魔力砲が消し飛ばした。 49
2017-02-20 02:32:41その直後黒音さんが雛を始末し終えると、恵里達が相手をしていた方も終わったらしい。3人の目の間でいきなり灰になったらしい。訳が分からねぇ。分からねぇが、ともかく姑獲蝶の事件は、発生から約30分で集結した。 50
2017-02-20 02:34:52「フォビドゥンフォレスト3話「蝶舞の町内」 #16「救出劇②」終わり #17 「作戦案」(エピローグ) に続く
2017-02-20 02:36:13