
「読書が何の役に立つ?」→読解力UP!→年収までUP?!驚きのOECDの研究結果!!
◆主な内容◆
・読書と読解力の関係
-読書と読解力、読解力と年収等、が相関関係にある-
・「読解力」とは何か
-読解力を構成する四つの能力-
・読書と読解力 -読書の熱中度と読解力の相関関係
・親の社会経済的地位ど読解力の相関関係
・親の社会経済的地位と、読書熱中度、どちらが強い影響があるか
・日本人生徒の読書量
・何故、読書と読解力が相関するか?
・幼児には「読み聞かせ」が威力を発揮する!
・子供の読解力不足が見逃される理由
-「日常的な言語能力」と「学習に必要な言語能力」習得のズレ-
◆巻末ふろく◆
・OECD研究 【恵まれた/恵まれない子供ではインターネットの使い方が違う】

【読書と読解力の関係】 -読書と読解力、読解力と年収等、が相関関係にある- 「読書は何の役に立つのか」はしばしば議論の的になりますが、その根拠・主張は主観的なものが多いですね。読書がなぜ重要か、統計データ等を基にきちんとした研究結果・論文として出ているものをまとめてみます。 pic.twitter.com/cmdAtOBjI4
2017-02-18 22:54:46

以下の研究結果を解説していきます 1:読解力と就職・年収が相関する 2:PISAでの「読解力」の定義 3:読書量・質などを合わせた【読書の熱中度】と「読解力」が強く相関する 4:幼児期の「読み聞かせ」が就学後の学力に影響する 5:読解力不足がなぜ見逃されるか、言語能力理論より
2017-02-18 22:55:16
【「読解力」が何の役に立つのか】 OECDの研究では、成人を読解力のテスト結果で5段階に分けると ・1~2レベルの人は、3~5レベルの人に比べ、無職である割合が2倍 ・レベル1の3/4が、無職か低賃金の職業 ・レベル1で成人向け教育・訓練を受けている割合はレベル5の1/4以下
2017-02-18 22:55:51
つまり、「『読解力』が就職・年収に影響する」だけでなく、「その差が広がっていく」のです。 「読解力」は単に国語の点数の問題ではなく、人生を通して重要なものである事が分かりますね。
2017-02-18 22:57:42
【「読解力」とは何か】 では、そもそも「読解力」とは何でしょうか? OECDの研究は、国際学習到達度調査PISA(15歳時の国際共通テスト)や、国際成人力調査PIAACなどのデータを元にしていますが、
2017-02-18 23:02:58
PISAでは「読解力」を、テキストを理解して情報を取り出す「読む」力だけでなく、テキスト・情報を評価する、活用する、意見を述べる、など社会生活で必要な力全体を包括する広い概念、として定義しています。
2017-02-18 23:04:08
故に、物語や記事・手紙など以外にも、図表や統計データもテストのテキストとして含まれており、 「読解力」は、以下の4つの能力に分けて評価されています。
2017-02-18 23:06:04
・『テキストから情報を読み取る力』 明示的に書かれている情報を読み取り、主にテキスト内の言葉をそのまま、答える能力 例)Q:OECDが定義する「読書の熱中度」とは何か? A:(後述します) pic.twitter.com/XKIEdgX6wr
2017-02-18 23:07:06


・『テキストを解釈する力』 テキストの全体・広い範囲の内容を理解する力 「主題は何か?」など、複数箇所の内容を統合して答える問題などで計る。 例)Q:読書、読解力はなぜ重要なのか? A:(解説します)
2017-02-18 23:09:59
・『テキスト内容について熟考する、評価する力』 テキスト内容を常識や自分の考えに結びつけて、考察、評価する力 内容について考える 例)Q:物語の主人公の行動について考えを述べる A:主人公の、優しさ、非情さ、片方のみに拘った意見ならレベル2、両面に言及できたらレベル3の評価 pic.twitter.com/D2xeMyNXYh
2017-02-18 23:20:26

テキストを評価する 例)Q:画像のどちらの文章がよく書けているか?その主張ではなく、書き方について述べよ。 A:テキストの内容・主張への同意・不同意を書くのではなく、文体・構成などを評価出来たらレベル4 (良い文章とは何か、という知識に結びつける) pic.twitter.com/VpcaOE5gE1
2017-02-18 23:29:01


・『様々なテキストを読む力』 いわゆる「文章」だけでなく、図表や統計データなど、社会生活に必要な様々な形式のテキストを読む力 例)Q:夫婦は、犬を飼っているが子供はおらず、年収は800万。夫の出身地青森市に3万円寄付した。税額はいくら軽減されるか? A:¥25,000 pic.twitter.com/a59IFtYy90
2017-02-18 23:53:18

PISAでは、『読解力』を、これら「情報を読み取る力」「解釈する力」「熟考・評価する力」「様々な形式を読む力」の4つの能力に分けて評価しています。
2017-02-18 23:54:47
【読書と読解力の関係】 OECDは、「1読書頻度+2読書好き度+3読書内容、を合わせた【読書の熱中度(Engagement in Reading)】と『読解力』に、強い相関がある」という研究結果を発表しています。 PISA学力調査&読書調査の統計データから導かれた研究結果です
2017-02-18 23:58:33
一口に「読書」と言っても、漫画から小説までその中身、そして好きでか嫌々かその読書態度、は様々です。 1:“楽しみのための読書”の時間・頻度 2:読書態度 3:読書内容(漫画・雑誌・新聞・本、何を読んでいるか) の3つを合わせたものが、OECDが定義する【読書の熱中度】です。
2017-02-18 23:59:41
調査結果から、 1:ほぼ何も読まず、たまに漫画を読む程度 2:少々の読書習慣、雑誌・新聞などで本は読まない 3:様々な物を読むが、漫画など短い文章が中心。本は極一部 4:本を中心に、長い文章も様々よく読む の熱中度4クラスタが、それぞれ読解力と強く相関することが分かりました。
2017-02-19 00:01:01
【本を読む子は、読解力が高い】 小説またはノンフィクションの本を月数回~週数回読む子は、PISA「読解力」テストで高成績を得る率が高く、その差は平均して1.5学年分ほどになるという結果が出ています。
2017-02-19 00:04:20
また、男子より女子の方が熱中度・読解力ともに平均して高く、男子は「情報の読み取り」は出来るが、より多く本を読む女子に比べ、「内容を熟考・評価する力」が特に弱い、という事も分かりました。
2017-02-19 00:05:46
日本では、漫画を中心に読む子がほとんどだが、極一部の“本を読む”子達は“特に読解力が高い”という結果でした。 日本で本を読む子は、レベル1未満~レベル5の6段階で、平均でレベル4の読解力がありました。 pic.twitter.com/H7ZFBnK5yj
2017-02-19 00:09:07

【相関/因果関係どちらかは不明】 注意すべきは、相関関係か因果関係かは分からないという事 読書の熱中度が高い→読解力が高くなる関係か、読解力が高い→熱中度が高くなる関係なのか、「どちらが原因・結果かは分からない」という点です。 相乗効果の関係にあるのでは、と考えられています。
2017-02-19 00:14:21
【社会経済的地位】 また、親の学歴や職業などの「社会経済的地位/Socio-Economic Status: SES」は子供の学力などに強い影響がある事が分かっています。 日本でも、例えば、東大生の親・子供二人大学に通わせている親、の年収分布は図の通り。 pic.twitter.com/EdcOuJFxYd
2017-02-19 00:20:33


PISAにおいても、親のSESが高い子は、「読書の熱中度」「読解力」ともに高い傾向にありました。 親のSESと子の学力の関係 シドノス解説記事:synodos.jp/education/15429
2017-02-19 00:31:20
【SESよりも「読書の熱中度」】 しかし、「読書の熱中度」は、その親のSESよりも、「読解力」と“強い相関関係がある”事が分かりました。 図は、PISA読解力テスト結果を横軸に、親の職業的地位ごとに3つに分け、その中で熱中度での点数分布を表したものです。 (OECD諸国平均) pic.twitter.com/Gp8UwY9H9A
2017-02-19 00:33:30

親の職業的地位が低いグループでも、「読書の熱中度」が高ければ「読解力」も非常に高く、SESは高いが熱中度の低い子達の読解力を大幅に上回っています。 「読解力」との統計的な相関は、「読書の熱中度」がSESの2倍以上。
2017-02-19 00:35:59