編集部イチオシ

「読書が何の役に立つ?」→読解力UP!→年収までUP?!驚きのOECDの研究結果!!

※「読書が何の役に立つのか」というお話を、論文を提示しつつ解説するpodoronさんの連ツイをまとめました。しっかりした研究結果・論文を踏まえて丁寧に「読解力」を解きほぐして行きます。
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Podoro @podoron

親のSESが高い子、男子より女子、家に本が多い子、は熱中度・読解力共に高い傾向にありました。 しかし、SESよりも「読書の熱中度」と読解力の相関の方が強い。 SESの低い恵まれない家庭の子も、熱中度が高ければ読解力が非常に高い。 というのは、希望が持てる重要な研究結果ですね。

2017-02-19 00:39:18
Podoro @podoron

OECDは、 ・教育において、演算的な「読解スキル」を教えるだけでなく、「読書の熱中度」を上げてあげることが非常に重要。プラスαではなく、必須項目。 と、結論づけています。 OECD. “Reading for Change”:oecd.org/edu/school/pro…

2017-02-19 00:40:51
Podoro @podoron

【日本人生徒の読書量】 では日本の子供はどれだけ読書しているのか? 少々古いですが、2009年のPISA結果で、「“楽しみのための読書”をする生徒の割合」は、日本は、60位/66ヶ国というワーストレベルでした。 pic.twitter.com/UCzeuR0AWX

2017-02-19 00:54:24
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Podoro @podoron

また、日本は、2000~2009年間に「楽しみのために読書する生徒の割合」が大きく伸びた唯一の国でしたが、2000年ではダントツの最下位だったため、伸びた後も最下位グループでした。 2017年現在は分かりませんが、2009年時点でも元が極端に低いので、伸びしろは大きそうです。 pic.twitter.com/sYUmOQcfBQ

2017-02-19 01:05:16
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Podoro @podoron

ちなみに、2015年のPISA結果では、日本の読解力は31ヶ国中8位と高めですが、「日本の教育が優れている証左」と早合点せず、 「大半の生徒の母語が公用語と同じ」などの社会・経済的要因なども考慮する必要があるでしょう。

2017-02-19 01:14:43
Podoro @podoron

また、PISA結果は、あくまで「国平均」の順位なので、国内問題として重要なのは、他国との比較ではなく、「個々人の読解力」ですね。 OECDも、教育においては、「特に、『読書の熱中度』『読解力』が“低い”子たちの支援・教育が重要である」と強調しています。

2017-02-19 01:19:45
Podoro @podoron

「『読解力』が高い国ほど、『読書の熱中度』との相関が強い」という研究結果も出ています。 日本は、読解力は高いが、読書量が世界ワーストレベルであることから、読書は個人の大きなアドバンテージになりますし、教育においてもやれる事が多そうです。

2017-02-19 01:22:34
Podoro @podoron

【何故、読書と読解力が相関するか?】 では、なぜ「読書の熱中度」と「読解力」が強く相関するのでしょうか? その要因として、エビデンスがあるものは、読書による「語彙」「表現・文章構成」「想像力」などの発達が考えられています。

2017-02-19 10:18:26
Podoro @podoron

《語彙》 日常会話と本では語彙数が大きく異なります。 ある研究では、単語ランキングが、日常会話&TV:400~600、児童書:627、新聞:1690、科学論文:4389、でした。

2017-02-19 10:22:20
Podoro @podoron

つまり、会話とTVのみでは、児童書を読むのに必要な語彙数に足りていないという結果。 まったく読まない小学生と比べ、毎日25分ほど本を読んでいる子供は、1年間で200万語ほど多く読むことになります。 本を読むほどに、多くの単語に触れ、語彙を増やす機会に恵まれます。

2017-02-19 10:25:40
Podoro @podoron

《表現・文章構成》 書き言葉では、会話(やTV)にはない複雑な文法が使用され、表現や文章構造・構成が複雑であることが分かっています。 実際に、頻繁に読み聞かせを受けた幼児は、そうでない子に比べ、文学的な表現や、複雑な統語形式・言い回し・文法を使えるという研究結果が出ています。

2017-02-19 10:26:39
Podoro @podoron

また、頻繁に読書をする子は類推的な表現と思考法を覚えます。 絵本やお伽話には、頬をバラに喩えるなど、比較を要求する表現があり、子供はその構造を解き理解せねばなりません。 類推的な表現は日常会話ではめったに使われず、類推的な思考法と表現は読書を通じて身に付けられるものです。

2017-02-19 10:32:44
Podoro @podoron

《想像力》 PISAでは、小説でもノンフィクションでも本を読む子は読解力のスコアが高い傾向にありましたが、興味深いことに、小説の読者はノンフィクションの読者よりも更に読解力が高いという結果が出ています。

2017-02-19 10:33:58
Podoro @podoron

これは、小説はノンフィクションより想像力を必要とするため、小説の読者は想像力が発達したからだと推測されています。 PISAなどの読解力テストは、文章を読み、動機を聞いたり話の進行を予測させたりする質問が多いため、読書で鍛えられた想像力がスコアを伸ばしたと考えられています。

2017-02-19 10:38:53
Podoro @podoron

これら、「語彙」「表現・文章構成」「想像力」などの発達といった要因により、読書と読解力が強く相関するのだと考えられます。 詳細:日本語論文 (その他、読書心理学の研究結果なども) uchidoku.com/htdocs/?action…

2017-02-19 10:47:05
Podoro @podoron

【漫画】 漫画も読解力につながります。 PISAでも日本は漫画を読む子が多いという結果でした。 「漫画は読解力につながるか」も議論の的になりますが、OECDの「読書」には漫画や雑誌も含んでおり、研究では、「本はほとんど読まないが、漫画を中心によく読書する」は熱中度Lv3の評価

2017-02-20 12:09:03
Podoro @podoron

「ほぼ何も読まない」「たまに新聞/雑誌等読む程度」よりも、 「漫画中心だがよく読む」の方が「読書の熱中度」が高い≒読解力が高い、という研究結果でした。 「本の方がより良いのは確かだが、漫画も読解力につながる」は一つ朗報ですね。

2017-02-20 12:11:02
Podoro @podoron

【ネット・ラノベ】 近年は、SNSやインターネットサイト・記事で文章を読む割合が増えていますし、 日本の場合、「ラノベは読書か/読解力につながるのか」などもしばしば議論の的になります。

2017-02-19 10:50:24
Podoro @podoron

研究ではこれらには触れていませんが、 ・漫画などの短文より、小説など“長い文章”を読む子ほど読解力が高い、 ・読み聞かせで身に付くのは、「語彙数、複雑な表現・文法・文章構成」などである という研究結果を考えると、それぞれの位置づけは推測出来そうです。

2017-02-19 10:53:21
Podoro @podoron

【幼児には「読み聞かせ」】 幼児の場合は、「読み聞かせ」が非常に重要です。 「読み聞かせ」が、読解力を含め、言語能力の様々な側面の発達につながっている事が多数の研究結果から分っています。 レビュー論文:openaccess.leidenuniv.nl/bitstream/hand… pic.twitter.com/aDWOB2kiiH

2017-02-19 10:58:22
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Podoro @podoron

「就学前の『読み聞かせ』の量が、就学後の『学力』と相関する」という研究結果も出ており、 「幼児が絵本を見る」だけでは不十分で、親が声に出して「読み聞かせる」事が重要であるという結果でした。

2017-02-19 11:00:26
Podoro @podoron

PISA結果(15歳時)では、幼児期に週数回~毎日読み聞かせして貰った子は、めったになかった子と比べ、学力が高く、0.5学年分相当の差がありました。

2017-02-19 11:01:26
Podoro @podoron

国語科目に限らず、「どの科目でも、教科書や問題文を読み・理解するのに『読解力』が必要」である事は共通であることを考えると、 単に読解力だけでなく学力全体が上がるのも理解できますね。

2017-02-19 11:02:45
Podoro @podoron

幼児への「読み聞かせ」は、 1:親が全て読み聞かせてあげる 2:子供と一緒に音読する 3:子供が親に読み聞かせる という風にステップアップしていくのがお勧めされています。 幼いうちから本に親しめば読書好きになりやすいでしょうし、「読書の熱中度」は読解力と強く相関します。

2017-02-19 11:04:48
Podoro @podoron

二言語環境の子供、子供に第二言語を学ばせたい、場合は両言語で「読み聞かせ」してあげる事がお勧めされています。 ちなみに、「早期に二言語を学び始めると母語に悪影響」のような懸念を裏付ける実証研究は存在しません。知っているなら是非論文名を教えて下さい。(個人の主張体験見聞は不要)

2017-02-19 11:12:34