山姥切国広と本作長義の画像を並べて

山姥切国広公開に寄せて、つるぎの屋さんが山姥切国広と本作長義とその鑑賞の上での違いについて、画像を添えて語りました。
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つるぎの屋@日本刀買取専門店 @tsuruginoya

・「山姥切国広」は刃長が2尺3寸2分(70.3cm)あります。 しかし、身幅が広く大鋒の堂々とした刀姿なので一見すると少し短くみえてしまいます。ただ、これは目の錯覚によるものです。

2017-03-04 01:39:59
つるぎの屋@日本刀買取専門店 @tsuruginoya

@tsuruginoya ・帽子や物打ち辺の焼きの高さをみると殆ど減っておらず、また、茎の鑢や銘字も鏨がしっかりしていて磨り減っておらずにとても健全であるように感じました。 ・地鉄は、杢が少し入って、総体には柾が目立って入っていて、強い鍛えをしていました。

2017-03-04 01:40:32
つるぎの屋@日本刀買取専門店 @tsuruginoya

@tsuruginoya ・鎺を外しての展示でしたが、水影は確認できませんでした。映りはそれらしきものがわずかにありそうでした。ただ、焼きが高く、飛焼がかかって皆焼状になっているので分かりづらいです。

2017-03-04 01:40:57
つるぎの屋@日本刀買取専門店 @tsuruginoya

@tsuruginoya ・刃文は、まず、刃区から4~5cmが焼出しのように焼きが低くなっています。これは室町時代の刀剣に多くみられ、刀身を鎺元から折られないように意識的に焼きを低くしているようでした。

2017-03-04 01:41:25
つるぎの屋@日本刀買取専門店 @tsuruginoya

@tsuruginoya 本歌の本作長義(山姥切長義)は大磨上なので鎺元も焼きが高いですが、国広は実用性をとったようです。 ・展示されている刀身の画像をみると表裏で刃文が異なっています。それだけ複雑に乱れているということでしょう。

2017-03-04 01:42:00
つるぎの屋@日本刀買取専門店 @tsuruginoya

@tsuruginoya ・全体に刃文と刃文の間の谷になる腰の開いた刃が角張っています。これは本歌の本作長義(山姥切長義)もそうなのでよく似ています。

2017-03-04 01:42:30
つるぎの屋@日本刀買取専門店 @tsuruginoya

@tsuruginoya ・6~8cmくらいの間隔で刃紋がまとまっていて、互の目に、小互の目・尖り刃・角張る刃・矢筈風の刃・腰の開いた刃など交じり、足・葉繁く入り、焼き高く複雑に乱れ、1つの大乱れを形成しています。この様々な刃が入り交じっている集合体となる様子を、

2017-03-04 01:42:54
つるぎの屋@日本刀買取専門店 @tsuruginoya

@tsuruginoya 多数の小さな花や額によって1つ大きな塊の花のように見える紫陽花(あじさい)の花に形容されます。これは備前長義にもある作風の1つです。 (研磨された研師の方もそのように解釈され、塊が分かりやすいように意識的に刃取りされたように見えました)

2017-03-04 01:43:42
つるぎの屋@日本刀買取専門店 @tsuruginoya

@tsuruginoya ・刃縁に小さな飛焼がさかんにかかって部分的に皆焼状となっています。鎬地にも飛焼がわずかにかかり、皆焼も展示ではよく見えませんでしたがありそうでした。

2017-03-04 01:43:59
つるぎの屋@日本刀買取専門店 @tsuruginoya

@tsuruginoya ・棒樋の中にも細かな飛焼がみえ、樋先近くに大きな飛焼がありました。これは樋のなかに焼刃があるということは棒樋を掻いてから焼入れを行ったことを物語っています。

2017-03-04 01:44:11
つるぎの屋@日本刀買取専門店 @tsuruginoya

「山姥切国広」は長義写しということもあり国広の天正打ちのなかでも他に類例のを見ない少し異風な作風に感じました。 弟子の阿波守在吉の慶長2年紀の刀以外では、天正17年に堀川国広が合作を行った陸奥守大道の子:越中守正俊の作品に少し似た複雑な乱刃をみることができます。

2017-03-04 02:39:58
つるぎの屋@日本刀買取専門店 @tsuruginoya

「山姥切国広」は堀川国広の備前長義を写した傑作です。 今回、その写し物「山姥切国広」を拝見して、 ・刀工:堀川国広の技量の高さ ・対象となる写し物への理解度、そして刀剣全般に対する造詣の深さ ・最後は感性やセンスが抜群に優れていることがよく分かりました。

2017-03-04 02:52:05
つるぎの屋@日本刀買取専門店 @tsuruginoya

@tsuruginoya (訂正) ○ 対象となる本歌(オリジナル)への理解度 × 対象となる写し物への理解度

2017-03-04 10:49:50

3/4 追記
鎺元

つるぎの屋@日本刀買取専門店 @tsuruginoya

@tsuruginoya ・堀川国広の刀の魅力は古刀のような匂口の深さと沸匂の幅にあります。 山姥切国広も鎺元を主として基本的には匂い勝ちに全体に小沸がついて、部分的は沸が厚くよくついています。

2017-03-04 19:51:06
つるぎの屋@日本刀買取専門店 @tsuruginoya

@tsuruginoya もっとも匂勝ちなのが鎺元で、沸が一段と強いのは物打ちや中程やや下などでしょうか。全体に沸と匂いが変化に富んでいるのが印象的でした。

2017-03-04 19:51:26
つるぎの屋@日本刀買取専門店 @tsuruginoya

@tsuruginoya ・刀(打刀)は指表の物打ちが最も華やかで良い刃文をしています。(太刀は佩表) 山姥切国広も指表の物打ちが一段と華やかになっているようでした。 今回の展示では刀掛の右側の受け手を挟んだ前後の物打ち周辺の刃文になります。

2017-03-04 19:52:42
つるぎの屋@日本刀買取専門店 @tsuruginoya

山姥切国広の茎と刃区からその少し上の部分の押形。 刀身全体では刃文は総じて焼きが高く場所によっては鎬筋にかかるほどです。 一方で押形のように下部の刃区付近では急に焼きが低くなっています。 刀剣の弱点である鎺元の焼きを低くして、鎺元から敵に刀を折られてしまうのを防ぐため処置です。 pic.twitter.com/rKGqgYTlya

2017-03-04 20:12:24
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つるぎの屋@日本刀買取専門店 @tsuruginoya

@tsuruginoya 焼きがあるということは、固いということです。 刃が固いのは物体を切断するにはよいですが、衝撃を受けた時には脆く折れやすくなります。 最下部の鎺元を折られてしまっては、刀として実用的ではありません。

2017-03-04 20:19:43
つるぎの屋@日本刀買取専門店 @tsuruginoya

@tsuruginoya 室町時代後期の刀は実用性から鎺元の焼きを低くして弱点を保護しています。 同時代の和泉守兼定(之定)などでも同様になっていて、之定は既に焼出し風です。 この、鎺元の焼きが低くなるのが変化して、新刀期に入ると長曽祢虎徹興里などにみられる焼出しになります。 pic.twitter.com/k1G9RXiB6c

2017-03-04 20:22:50
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(左) 山姥切国広 (右) 相州綱広 相州綱広も山姥切国広が製作されたのと同じ室町時代後期の刀工です。 刃文の構成は違いますが、焼きが高く出入りのある刃文を焼いています。 pic.twitter.com/NDPYZ8Gazo

2017-03-04 20:46:41
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@tsuruginoya (左) 山姥切国広 (右) 相州綱広 山姥切国広と相州綱広のどちらも上部の高い焼刃に比較して、刃区付近では極端に低く焼いています。 これは室町時代中~後期の刀剣には共通してみられる現象です。 戦乱の時代ですので刀として実用的にこのようにしています。 pic.twitter.com/vwLylUcx3V

2017-03-04 20:48:37
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山姥切国広 (刀表-全身) 刀身全体の高い焼刃に比較して、刃区付近では極端に焼きが低くなっていっています。。 (赤色でラインを引いてみました) pic.twitter.com/QlESY1npnn

2017-03-04 20:56:20
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(左) 山姥切国広 (右) 本作長義(山姥切長義) 山姥切国広は鎺元で下部にいくに従って徐々に刃文の高さが低くなっています。 一方で、本作長義(山姥切長義)は大磨上です。元来の大太刀に直せば中程~下半にかけての部分が現在の鎺元に相当します。刃文は他の箇所と同様に焼きが高いです pic.twitter.com/ZCwtPMPlKg

2017-03-04 21:53:59
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