「人文学は役に立つのか?」という問題について

「人文学は役に立つのか?」という問題について、KASUGA, Sho(@skasuga)さんと話し合いをTwitterでさせて頂いた時のまとめです。
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仲見満月(なかみ みづき)の日常@静養中 @naka3_3dsuki

@skasuga 哲学につきましては、門外漢であり、勉強中で、お恥ずかしながら、デリダの思想までたどり着けていません。ですが、一連の「問い直す」ということ自体が、既に私は「人文学に価値がある」ことの証左だと考えました。問い直す、疑問を呈することは、新たなものを生み出すことに繋がります。

2017-04-15 16:38:02
仲見満月(なかみ みづき)の日常@静養中 @naka3_3dsuki

@skasuga 私としては、新たなものを生み出す。そこには、人間次第で役に立つものがあるでしょう。その問いや疑問に答えを見つける活動である人文学の研究者について、現実的・即時的に、どう彼らを食べさせて、研究させていくか?、その社会制度の設計自体を扱うのが、まさに人文学だと思うのです。

2017-04-15 16:43:49
仲見満月(なかみ みづき)の日常@静養中 @naka3_3dsuki

@skasuga 私個人は、民間企業や公務員といったサラリーマンの方々が、業務規定に反しない範囲で、働きながら査読論文を増やされ、研究業績がしっかりしていれば、博士号がなくても、立派な研究者だと思うんです。でも、今は博士号が職業研究者の➡ twitter.com/naka3_3dsuki/s…

2017-04-15 16:50:36
仲見満月(なかみ みづき)の日常@静養中 @naka3_3dsuki

3月初旬の研究者とその周辺の「認識」に関する私のツイートまとめ~アカポス就職難・博士号の有無・行動の許容範囲ほか~ - 仲見満月の研究室 naka3-3dsuki.hatenablog.com/entry/2017/03/…

2017-04-15 16:46:08
仲見満月(なかみ みづき)の日常@静養中 @naka3_3dsuki

@skasuga 必須免許みたいなものとなっていますから、職業研究者の方の中には、修士号までしか取得していない、在野で研究活動をされている方々に「研究者ではない」と認識されている人もいるのでしょう。

2017-04-15 16:53:11
仲見満月(なかみ みづき)の日常@静養中 @naka3_3dsuki

@skasuga 今の日本は、職業研究者が減らされ、食べていけないところまで、近い未来に近づいているという危機感があるのです。このまま、職業研究者が減り続け、それを使う人が減れば、在野で研究する人の環境にも影響します。いずれ、人文学は消滅かもしれません。 「人文学は役に立つか」の問いは、➡

2017-04-15 16:57:20
仲見満月(なかみ みづき)の日常@静養中 @naka3_3dsuki

@skasuga 職業研究者とか、在野研究者ではなく、より広く研究分野自体が生き残るため、とりあえず、社会に役に立つという意味で分かりやすい答を出しておくべきだと私は思いました。国が博士号取得者を制限しようとしているなら、職業研究者の方々には、人文学の先細りを防ぐため、博士号なしの人にも➡

2017-04-15 17:01:27
仲見満月(なかみ みづき)の日常@静養中 @naka3_3dsuki

@skasuga 働きながらでも何とか研究を継続してくれる人を探して育てていき、研究水準を一定に保っていくことをする。あるいは、一橋大学から香港の大学へ移られた経済学の先生のように、海外に育てた人を送り出し、後継者を残しておく。そうでもしないと、ヤバイのではないか?と危機感を持っています。

2017-04-15 17:05:35

再びKASUGAさんのご意見

KASUGA, Sho @skasuga

@naka3_3dsuki おっしゃるようなことに全く反対というわけではありません。ただ、実践面でいうと「役に立つ」を強調するのは慎重に行わないと危険でもある、ということも意識する必要があると思います。普通は「役に立つ」は功利主義的に理解されているので、「役に立つなら自分に快をもたらすはずだ」と人は(続)

2017-04-15 19:24:29
KASUGA, Sho @skasuga

@naka3_3dsuki (承前)期待するわけです。しかし、人文学の「役に立つ」はその人が持っている前提や価値、偏見を顕在化させ、揺り動かし、場合によっては変容を迫る類のものです。そういう経験が「快である」ケースばかりではなく、多くの人がそれによって「人文学は役に立つと言っていたのに裏切られた」と(続)

2017-04-15 19:26:14
KASUGA, Sho @skasuga

@naka3_3dsuki (承前)感じるわけです。例えばSTSなんてのは典型例でして「専門家とシロウトをつなぐのに役に立ちます」という言い方をすると、専門家は「シロウトが科学的を尊重し、その見解に従った生活を粛々と送ってくれるようになる」と思うわけですし、シロウトの側は「副作用のない、完全な科学技術(続)

2017-04-15 19:27:58
KASUGA, Sho @skasuga

@naka3_3dsuki (承前)が提供されるようになる」と思ったりするわけです。しかしこれは完全に誤解で、STSが明らかにすることができるのは、適切な民主的コストを支払わない限り、技術は暴走し、コミュニケーションはすれ違う、ということだけなわけですが、それは専門家とシロウト双方に「役に立たねぇ〜」(続)

2017-04-15 19:29:23
KASUGA, Sho @skasuga

@naka3_3dsuki (承前)という感覚を喚起させるでしょう。また、歴史学なんかも、為政者はそれによって「我が国の歴史の連続性、一体性、稀少性が証明される」ことを望むわけですが、通常の歴史学というのは真逆のことを言い出すわけです。こう言ったことはもちろん「役にたってない」わけではなく、むしろそれ(続)

2017-04-15 19:30:39
KASUGA, Sho @skasuga

@naka3_3dsuki (承前)こそが人文学の価値の真髄ですが、一般に「役に立つ」と言った時に期待されるものとずれている、という認識も必要なのかと思います。で、多分20年ぐらい前に「役に立つ人文学」みたいな議論は一種のブームで、それが「空手形だった」と感じる政治家や官僚(あるいは理工系の偉い先生)

2017-04-15 19:32:10
KASUGA, Sho @skasuga

@naka3_3dsuki (承前)が多いが故に、昨今の「人文学系学部の削減」みたいな議論になっているのであり、そこでもう一度議論を仕切り直すにおは、それなりの仕掛けが必要である、ということは言えるのかと思います。

2017-04-15 19:33:18

再び仲見の意見およびKASUGAさんとの話し合い

仲見満月(なかみ みづき)の日常@静養中 @naka3_3dsuki

@skasuga 仰ること、確かにその通りの面があるのだと思います。主観に左右されるというのは、ある面で人文学の宿命であり、歴史学は「皇国史観」によって、戦争に協力するようになってしまったという反省が、戦後の歴史学にはあったと学びました。それだけに、できるだけ、政治的に中立的ながら➡

2017-04-15 19:39:20
仲見満月(なかみ みづき)の日常@静養中 @naka3_3dsuki

@skasuga 何かしら、エンタメ作品を作れるように持っていくようにしないと、難しいでしょうね、とは考えています。私は、人文学の運用に慎重になりながら、それでも、実用的な方向に持っていく必要があるかと。早くから慎重になっていれば、今のように、政府が人文学への予算を減らせ、という見解には賛成です。

2017-04-15 19:44:41
仲見満月(なかみ みづき)の日常@静養中 @naka3_3dsuki

@skasuga ※訂正:今のように、政府が人文学の予算を減らせ、とは言ってなかったと考えている、ことには賛成です。

2017-04-15 19:46:08
仲見満月(なかみ みづき)の日常@静養中 @naka3_3dsuki

@skasuga 物の見方を変容させる分野というのは、厄介であり、時に懐疑心を育てるということは、存じ上げています。文学論を学んだら、エンタメ作品を消費者として楽しめなくなったのが、その実例でしょう。ならば、その懐疑心を分析する力に置き換え、新たな「快」を 教えるほどのレベルの楽しみ方まで➡

2017-04-15 19:52:06
仲見満月(なかみ みづき)の日常@静養中 @naka3_3dsuki

@skasuga 提案するくらいのことをする。そこまで、人文学は来ているのかもしれません。ハードル、高くなっていますが。

2017-04-15 19:53:07
KASUGA, Sho @skasuga

@naka3_3dsuki 個別の分野でコンテンツに貢献するという努力は必要だと思いますが、「人文学」全体の救済には弱いと思います。基本的には、一般公衆やその代表たる政治家に「その存在が不快だからこそ必要だ」という見識を持ってもらうよう運動する、ということかと思います。

2017-04-16 10:17:11
仲見満月(なかみ みづき)の日常@静養中 @naka3_3dsuki

@skasuga 「不快だからこそ必要」というのは、批判をしていく部分でしょう。コンテンツ事業じゃなくても、書かなくても、別にいいとは思うんです。とにかく、各分野でできるレベルでやっていくしかないかと。専攻による差は、難しいとは思っています。

2017-04-16 10:56:50
仲見満月(なかみ みづき)の日常@静養中 @naka3_3dsuki

@skasuga 例えば、既にされている研究者の方々がおられますが、次のような例があります。webメディアの連載をブログに一部、転載されています。 twitter.com/naka3_3dsuki/s…

2017-04-16 11:03:44
仲見満月(なかみ みづき)の日常@静養中 @naka3_3dsuki

旅と生き方がテーマの、人文学やや映画の評論を入れた面白いブログです: aniram-czech.hatenablog.com

2017-04-16 10:59:24
KASUGA, Sho @skasuga

@naka3_3dsuki 難しいところなのですが「教養を楽しめる人に向けてコンテンツを提供する」モデルは、人文学が受け入れられる下地を作るという意義はあるかもしれませんが、一方で「じゃ、税金じゃなくて受益者負担でやっていってください」ということになる可能性があるわけです。

2017-04-16 20:31:13