恐竜の日特別セミナー「恐竜の巨大化」講師:関谷 透さん2017年4月16日/ 須田葦也さんの福井県立恐竜博物館(FPDM)紀行
4/16恐竜の日記念特別セミナーとして福井県立恐竜博物館で開かれた「恐竜の巨大化」について再録してみます。講師は関谷透先生。先日完成したDVD映像を大画面・高画質で視聴した後、補足講義の形で進みました。 pic.twitter.com/pl5SGxMkha
2017-04-23 10:43:57映像資料「竜脚類 巨大化の秘密」
https://www.dinosaur.pref.fukui.jp/museum/press/20170328.html
恐竜の巨大化、今回は竜脚類の巨大化としての話。 竜脚類は恐竜博物館でもブラキオサウルス・カマラサウルス等が展示されている特に体の大きくなる種類。 ・カマラサウルス(竜脚類/ジュラ紀後期)…15m ・ヘスペロサウルス(剣竜/ジュラ紀後期)…6m 竜脚類のマメンチサウルスは20m超! pic.twitter.com/bEqRIWxAdC
2017-04-23 11:08:01エオラプトル(三畳紀後期)…1.5m ジュラ紀後期になると マメンチサウルス・ブラキオサウルス等の竜脚類…20m超え 白亜紀後期の竜脚類では ルーフェンゴサウルス…38m! 因みに同じ竜脚類のフクイティタンは10m
2017-04-23 11:14:14巨大化について、マーティン・サンダー博士(独・ボン大学)によれば、 1.食べ方 2.呼吸の方法 3.成長の早さ 4.小さな卵をたくさん産んだ ことが考えられる。
2017-04-23 11:21:301.食べ方 歯の化石から鳥脚類であるエドモントサウルスは草を細かく刻んで食べていたとみられる。 一方、竜脚類の歯は細かく刻むような形にはなってない→かまずに飲み込む→餌を次々にとることで大量の栄養をとる また、嚙む力がいらないので小さい頭ですみ、長い首で動かず広範囲の餌をとれる。 pic.twitter.com/0JI1oAbdZm
2017-04-23 11:29:37植物食恐竜の餌となる恐竜時代の植物で、現生のものとしてトクサ、イチョウ、ナンヨウスギがあるが、これらを刻み発酵させ、其々の持つ熱量を調べたところ、1.トクサ 2.ナンヨウスギ 3.イチョウの順。 これらを1日500kg~1tとかまずに大量に食べ、大量のエネルギーをとっていた。 pic.twitter.com/256vnXQhWh
2017-04-23 11:35:53マーティン・サンダー博士はアジア恐竜国際シンポジウム福井2014でお会いした方。サインもらった!折り紙見てもらった!渡した!(←ミーハー)
2017-04-23 11:38:31それでは福井県立恐竜博物館4/16恐竜の日記念特別セミナー「恐竜の巨大化」、続きます。 pic.twitter.com/rUxCBF0wRp
2017-04-23 17:05:462.呼吸の仕方 竜脚類は原生鳥類と同じように気嚢を持っていたと考えられる。 ・骨格化石に気嚢がついていたと思われるくぼみがある ・アパトサウルスの子供の骨格・・・ダチョウより大きな気嚢を持っていたと考えられる
2017-04-23 17:08:41気嚢を持つことにより、肺には常に新鮮な空気が送り込まれる。 たくさんの気嚢により、 →骨格が軽い →多くのエネルギーを生み出し大きく成長できる pic.twitter.com/ggdTMJnaMk
2017-04-23 17:12:013.成長の早さ 骨の化石を輪切りにして顕微鏡で成長線(年輪のようなもの)を見てみると、 ・ティラノサウルス・・・成長線がはっきりしている→成長が止まる時期がある ・竜脚類・・・成長線が見えにくい→常に成長を続けている 同じ年齢のティラノサウルスより大きくなることができる。 pic.twitter.com/9e5u1uFsYh
2017-04-23 17:16:274.小さな卵をたくさん産む 竜脚類は、巨大な身体と思えないほど小さな卵をたくさん産む。 →災害などで死んでも生き残る可能性が高い →絶滅する可能性が低くなる →進化を繰り返し、大きくなることができる pic.twitter.com/dN3enVUS8s
2017-04-23 17:28:36「食べ方」「呼吸」→大量のエネルギーを生み出す→成長に使う→常に成長→たくさんの卵を産む ↓ 「生き残り戦略としての巨大化」 恐竜の研究は、また、哺乳類がどういう生物であったかわかる手助けにもなる。
2017-04-23 17:35:13[DVD補足] 4つのキーワード 1.食べ方 (1)かまずに飲み込む ・歯の違い ・顎の骨の違い…鳥脚類には頬があったと考えられる 鳥脚類ーよく噛んで食べる 竜脚類―かまずに飲み込む→たくさん食べる↓ 頭を小さくできる、長い首を持てる↓ 歩き回らずたくさん食べられる
2017-04-23 17:45:48(2)植物によるエネルギーの違い 実験では、植物を細かくし発酵させ、発生するガスの量で比較 >栄養の多い植物 1.トクサ…小さい時の餌 2.ナンヨウスギ…大きくなってからの餌 3.イチョウ… 〃 その他にも草やいろんな種類の植物を食べていたと思われる
2017-04-23 17:50:122.鳥のような呼吸方法 ・ヒトの呼吸…吸う時と吐く時で新鮮な空気と古い空気がやや混じる ・トリの呼吸…気嚢を持つ→吸う時も吐く時も新鮮な酸素が取り込める→多くのエネルギーが生み出せる アパトサウルスは気嚢が発達していたと思われる
2017-04-23 17:54:593.成長が早い 成長線がはっきりしない→常に成長 (大きくなると上の方に成長線が見られる) 4.小卵たくさん 直接成長に関係することではないが、絶滅の可能性が低くなり、進化としての巨大化につながる
2017-04-23 17:58:33Q1-1.恐竜とキリンの首の長さの関係は? A1-1.爬虫類と哺乳類と異なるが、首が長い方が生き残りに有利。原始的なキリンや竜脚類は首が短い。
2017-04-23 18:28:19Q1-2.ガス交換はどのように行っていた? A1-2.肺胞の化石は今のところ見つかっていない。気嚢自体には取込機能はない。鳥の肺には伸び縮みする機能がないため、気嚢がボンプとしてはたらき空気を取り込む
2017-04-23 18:37:42