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【お玉さんの読書マラソン2017 II】名作家博覧会 芦辺拓 vs 二階堂黎人
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最小の労力でそこそこ絶大な効果をあげている。という少し好意的な気にもなったが、トリックの強度に関しては初読時同様のモヤモヤも感じた。 ただ、仰々しい表現が目につくんだけど、そのクドさが読みの停滞に繋がることなく、むしろ加速を促しているように感じた。小説としての緩急の付け方は上手い
2017-05-20 02:19:37![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
これは『地獄の奇術師』だけに限らず二階堂黎人小説全般に感じることなんだけど、リーダビリティーがベラボーに高いんよ。(もしかして、オレだけカモ?) すいすい読めるの。 そして、盛り上げ方が半端なく、ガッカリラストが待ち構えてるのを知ってるのに、ワクワクが自然に醸造されちゃうの
2017-05-20 02:20:00![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
誰も言わないからオレが、このオレが言っちゃうせ。二階堂黎人は「小説は上手い」よ! (異論あると思うんですが、小説の腕だけだったら島田荘司以上では?) だからこそ、ネタ次第なんですよね。 題材次第なんですよ。 強いトリックと強い奇想。それらと遭遇し結びついた二階堂さんはとても強い
2017-05-20 02:21:14![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
あと思うんだけど、『地獄の奇術師』に関しては、これから二階堂蘭子という正義の名探偵をシリーズ展開するときに生じるであろう弊害、→例えば「現実社会からの乖離」「オカルトの導入」「物証の軽視」「怪人との対決」etc……、そんな問題のほぼ全てをこの作品で洗い出しているんだよね。
2017-05-20 02:21:40![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
以後のシリーズを円滑に進めるための世界観とルールの落とし込み、という点においては及第点以上の役割を果たしているのよね『地獄の奇術師』 あと、このスタイルのミステリなのに、気恥じることなく堂々とした立ち振る舞いなの。「書きたいモノを書く」という決意と勇気はそこらかしらから感じられる
2017-05-20 02:21:51![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
『地獄の奇術師』 ミステリとしては瑕疵はあるデビュー作品なんだけれど、ここから2000年くらいまでの長編作品に関しては二階堂さん、右肩上がりなんだよね♫ コレがあるからこその『悪霊の館』だし「人狼城」なのね
2017-05-20 02:22:13![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
というわけで『地獄の奇術師』でした。 二階堂蘭子という名探偵についても思うところがあるんだけど、コレは次回の『吸血の家』で取り上げるということで♫ ではでは〜 ( ´ ▽ ` )ノ
2017-05-20 02:22:29![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
『吸血の家』の作品感想が完成したけど、真夜中なので、明日へ回そう。読者マラソンのペースが上がらないナァ (´Д` )
2017-05-23 02:28:23![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
さて、「名作家博覧会 芦辺拓 対 二階堂黎人」でございます。 本日は1992年10月発売、二階堂黎人『吸血の家』をお送りしますよ。文庫本のカバーイラストが、……あまりにも意味不明 (´Д` ) pic.twitter.com/AXxIyydbO3
2017-05-24 02:16:47![](https://pbs.twimg.com/media/DAhwoXyW0AAmxWO.jpg:medium)
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物忘れが激しい気質でアムネジア状態で日々を過ごしているお玉さん。ストーリーラインや作品の雰囲気などの大まかな部分は記憶してたとしても、謎とかトリックとかの細けえトコなんかはすぐにフッ飛んじゃったりすることはしょっちゅう。 ……この本、もしかして前に読んだか? 晩御飯食べたか?
2017-05-24 02:18:01![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
そんな呪われた血脈の自分なのだけど、強烈な印象を脳裏に刻み付けてる作品たちは幾つかあり、その一つに二階堂黎人『吸血の家』があったりする。 あの二つの不可能犯罪。過去と現在で発生する二つの足跡が無い殺人現場のトリック。この二つは脳内で画像に変換されクッキリと焼き付いている。
2017-05-24 02:19:08![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
あのしょっぱい密室トリックに関しては、嗚呼、しょっぱい密室トリックが確かあったよなぁ……(´Д` ) そんな程度の微かな記憶だった。今回の再読でもやっぱり塩トリックだと思ったね。
2017-05-24 02:19:23![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
だが、足跡の無い犯行現場たちに関しては改めてムフッとなった。 テニスコートでの殺人は、伝記的な宿業を背負う家族、その血統の物語とはあまりにミスマッチに浮いた物理的で現実的な仕掛けがウレシいし、雪降り積もる庭での殺人の方は、シンプルなのに血の物語そのものを象徴する切れ味。堪らない♫
2017-05-24 02:20:48![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
そうなのだ。 第一回鮎川哲也賞佳作なのだ。だのに、黄金の13やらクライムクラブなどを展開するだけの実弾不足しているはずの東京創元社からは刊行されず、立風書房から出版されたのは地味に日常の謎。 というか、二階堂さんって東京創元社で作品発表をしたことないんじゃないのでは……??
2017-05-24 02:21:42![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
伏線芸ミステリとしては疑問符を抱かざるを得ない『地獄の奇術師』と違い、簡単なトリックたちなんだけど、それを支える細かな工夫に冴えが見られるのも『吸血の家』の特徴。脚注芸が有機的に機能し、箱庭的にキッチリとまとまっているのだ。本当はすごく派手だけど二階堂さんにしては地味な作風も良い
2017-05-24 02:22:06![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
とある家族の因業のお話ということで、『吸血の家』を説明するときなよく横溝正史が引き合いに出されるのだけど、その雰囲気の上澄みを上手に利用しているだけのように思えた。ナチュラルで生々しい手触りではないのよね。頭の中で捏ねくりまわした感が強い。理知的で理屈が通った悲劇。(褒めてます)
2017-05-24 02:22:37![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
生々しさや妖気が漂う横溝正史的な空気に引き摺られることなく、余韻はあるが余剰のないドラマがカッチリ繰り広げられる『吸血の家』 家族の血の悲劇にディフォルメ感を覚えるけど、これはディスではなく、むしろ感心すべき点。京極夏彦より先にコレをやってたんよなぁ〜。何故この路線を続けなんだ?
2017-05-24 02:23:02![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
ちなみに二階堂蘭子モノでは自分の一番は『悪霊の館』なんだけど、次に好きなのはこの『吸血の家』だったりします♫ こじんまりしてるんだけどヴィジュアルイメージを刺激するトリック! お話の起伏、盛り上げ方の巧さ! 二階堂作品なのに悲劇として落ちているオチ。バツグンの読みやすさ!
2017-05-24 02:23:27![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
そして、名探偵・二階堂蘭子♫ まるで下手っぴな翻訳家かオッさん社会派推理作家が書いたかのような若者言葉を口調として持つ二階堂蘭子は、キャラが立っていると言わざるを得ない。 「吸血」と「地獄」 様相の違う作品世界に放り込んでもその色に染まらず、独立した存在でいられる人物設計って強い
2017-05-24 02:23:46![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
芦辺さんの筆頭名探偵である森江春策が、その地味さが故にどのようなコンセプトの作品、どのような振り幅の作品でもミスマッチすることなく成立させてしまうのに対し、二階堂さんの二階堂蘭子は、どんな事件に対してもその性質に染まることなく、独立した一個の個で居続けられる強みがある
2017-05-24 02:24:09![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
不可能犯罪や殺人怪人と戦う名探偵という役割。その役割を分かりやすいカタチでの表現方法を(どこまで思いを至らせたのかは分からないけど)突き詰めた結果が、あの二階堂蘭子の特異性なんだと思う。二階堂蘭子という装置の優位性を発見してなければ、おそらく「人狼城」は書けなかったのでは?
2017-05-24 02:24:25![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
でもって、『吸血の家』の段階で、すでに二階堂蘭子が二階堂蘭子の特異性を見せていることには、ちょっと驚いた。 (まだ今作は多いほうだけど)少ない物証を空想で補う推理スタイルなのに、情報開示の順番の巧みさと揺るぎない断定の積み重ねで、妙な説得力を作り上げてしまってるのよねぇ
2017-05-24 02:25:08![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
というわけで、『吸血の家』でした。1992年はコレでおしまい。『地獄の奇術師』は点数低めですが、『吸血の家』の方は二階堂黎人小説巧者説の絶好のテキストだと思ってます。……まぁ、この年は芦辺さんの作品が発刊されてないので二階堂さんの不戦勝なんですけどね。 【A 1 ー N 1】
2017-05-24 02:25:28![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
そういうわけで、次回は1993年! 推理作家協会賞候補作『聖アウスラ修道院の惨劇』を取り上げちゃいますよぉ〜 ( ´ ▽ ` )ノ ではでは〜
2017-05-24 02:25:37