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原発知識の啓蒙  ~ 福島第1原発を材料に Part1

水素爆発後の福島第1原発1,3号機を材料に、 元物理学者の音楽家、伊東乾@itokenstein氏が原子力発電所に関する知識を啓蒙する メデイアに流れる情報がいかに不正確か 続きを読む
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Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

この反応に際して運動エネルギーが放出されます。熱が出る、お湯が沸かせるということですね。この核分裂の連鎖反応を、非常にゆっくり進行するようにコントロールするのに成功したのが原子炉です。また、瞬時にこれが進行して、莫大なエネルギーを一挙に放出するのが原子爆弾ということになります。

2011-03-13 12:14:35
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

原爆と原子炉の違いはなにか?本質的な違いはこの「濃度」つまり放射性物質が空間的にどれくらい集中しているかという「密度」の違いに過ぎません。これってちょっと判りにくいですよね?テレビなんかで話してもピンと来ない。ここでは「七味唐辛子は濃いと辛いけど薄めると辛くない」とお話しています

2011-03-13 12:16:27
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

ざっくりお話すれば、原爆をつくるためには高濃度核燃料が必要です。原子炉は低濃度の核燃料を、さらに空間的に距離をおいて行儀良くならべ、これを「制御棒」という仕切りを間に差し込むことで「連鎖反応」をコントロールしているわけです。原子炉の停止とは間仕切りで燃料を区切った状態をいいます。

2011-03-13 12:20:21
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

途中ですが、今回の地震のマグニチュードが8.8から9.0に変更されたと報じられました。宮城の観測装置は、実はゆれが強すぎて壊れてしまい、直後は使い物になるデータがなかったらしいです。それで、他の地点のデータから推定して、2回のマグニチュードの変更になったという経緯でしょう。

2011-03-13 12:25:19
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

核分裂の反応は、自然界に存在するものです。「中性子」は宇宙から日常的に降り注いでおり、太陽からもやってきます。これがたまたま地上のウラン235にぶつかれば反応が起きます。しかしその「確率」を考えてみてください。隣のビルからダーツの的を当てるより、はるかに確率が小さい。殆ど起きない

2011-03-13 12:27:47
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

さっきから「濃度」とか「密度」とか、判りにくかったかもしれませんが、実は人間がコントロールしているのは、核反応の起きる「確率」なんですね。自然界には「高濃度ウラン燃料」のようなものは決して存在しません。さまざまな化学プロセスで生成してこれを作る。吟醸酒みたいなものと思ってください

2011-03-13 12:30:06
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

フルーツジュースを冷蔵庫でほっといたらちょっとイイ匂いがしてきちゃった、という程度の発酵は自然界にもあるでしょう。でも貴腐ワインとか純米吟醸酒は勝手に出てきません。アフリカ・コンゴのジャングルの山奥にはウラン鉱がありますが、自然界には決して核燃料は勝手に出来ない。同じ道理です。

2011-03-13 12:33:22
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

風呂の湯に「バスクリン」(入浴剤)を溶かしたら広がって一様になりますね。でも勝手にバスクリンだけ集まって精製されたりしない。自然界では一般に物質は乱雑に散らかる一方です。僕の部屋はとっちらかってますが決して勝手に整理整頓されたりしない。ウラン燃料の精製はハイテク純度競争の産物です

2011-03-13 12:36:16
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

半導体チップなんかと同様に、ハイテク純度競争で精製の粋を極めた「低濃度核燃料」の燃料棒は(具体的な事は知りませんが、原理として)先ほどの『核分裂連鎖反応」が、極めてゆっくりと、しかも人間が「スタート」「ストップ」なんてコントロールできるように作られた、精巧な技術の産物です。

2011-03-13 12:40:36
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

半導体チップなんかと同様に、ハイテク純度競争で精製の粋を極めた「低濃度核燃料」の燃料棒は(具体的な事は知りませんが、原理として)先ほどの『核分裂連鎖反応」が、極めてゆっくりと、しかも人間が「スタート」「ストップ」なんてコントロールできるように作られた、精巧な技術で作られています。

2011-03-13 12:41:11
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

今回の「原発への注水」については「半導体チップの故障と補修」と思えばよい。故障したから純水で洗う、というのと、故障したので海水で、というのでは全然結果が違いますね? 結論先取りすれば、第一号炉は廃炉の覚悟で、熱容量実質無限大の海水で放熱の吸収に当てるという国家判断でしょう。お釈迦

2011-03-13 12:45:46
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

さて本論に戻りましょう。メインは「いかにして最悪の事態を回避するか」「そのために何を今現場で頑張っているか」を被災地の皆さんも含め、みんなで等身大で理解して、ご自分の安全確保の力にも役立てて頂きたいという部分です。核燃料は原子炉の中に整列して収まっていれば行儀がよいとお話しました

2011-03-13 12:48:46
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

原子炉の炉心は金属製のサヤに収まった核燃料ペレットが整列して並べられ、その間に「制御棒」という間仕切りがあって、連鎖反応を継続させる中性子を、この間仕切りが吸収してくれる間は「停止」しています。逆にいえば、この制御棒を取ってしまえば再び「運転」し始めてしまいます。ここOKですか?

2011-03-13 12:52:29
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

原子炉は、今でも、この制御棒さえ抜いてしまえば、また運転できます。また、不用意に抜けちゃったら「運転しちゃいます」。今回の原発事故、ないし故障への対策は原則発電機が再び運転できるよう保存的に対策しているので大変なのです。一基何千億円か知りませんが、間違いなく原子炉も国民の財産です

2011-03-13 12:55:32
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

福島第一の一号機に「なぜもっと早く海水投入しなかったか」と書くものを見ましたが、どこかの会社で、創業以来今日まで稼動していた大コンピュータが故障したとき、即座に廃棄の判断は普通出来ませんよね?水素爆発まで事態が悪化して、日本国はあの原子炉の廃炉前提の措置を決断した。当然ながら

2011-03-13 12:57:44
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

安全な廃炉にあたっては莫大なお金がかかりますから、補正予算など国の裏づけがなければ絶対にできない、東電一社では不可能な決断、各省庁の担当諸兄姉も走り回ってあの5時間の間に決断したものに違いありません。原発賛成反対以前に、巨額の税金を使って製造運転しているのを思い出す必要があります

2011-03-13 13:00:51
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

科学技術というか理科に慣れた方は、どうか早野さんのツイートをご参考に東電その他の公開情報をご検討ください。僕は数式や術語を使わない、お茶の間で普通の視聴者が見て判る日本語で書くということにしています。「熱力学の第二法則」すら言わずに、喩えで話しますのでまどろこしい方にはすみません

2011-03-13 13:04:31
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

さて、福島の原発、炉心(原子炉の心臓部)は今でも、制御棒を抜けば「核分裂連鎖反応」がおきます。逆にいえば、不用意に抜けちゃったら連鎖反応が進んでしまいます。ではもし、この炉心が制御不能になったら? 炉心溶融というのは、そういうレベルで考えると、かなりシリアスな問題と判ります。

2011-03-13 13:08:24
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

僕は「メルトダウン」という言葉をニュースで使うのに、とても批判的です。特に、内容を僕のような素人程度にも理解しない報道人が、スクープ感覚でメルトダウンなどというのは、百害あって一利なしと思います。みんなが冷静に考えられるよう、公開情報から現在と今後を合理的に検討するのが大切です。

2011-03-13 13:10:19
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

昨日の午後、爆発の直後にNHKの生放送で関村直人さん(原子力工学教授)がいっていた「核燃料の大半は、今でも炉の中におさまっています」というのは、制御棒できちんと間仕切りされて、連鎖反応が勝手に進まないよう 核物質が行儀良くしている、という事を説明していた訳です。制御可能性が大切。

2011-03-13 13:14:08
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

今福島第一で多分起きているのは、冷却水の循環が上手くゆかず上の方で水面から出タ部分が過熱してしまし、核燃料の一部が「溶けて」行儀良く間仕切りするコントロールのシステムが利かなくなってしまった状態だと思います。どれくらいの規模で溶融が起きてるかわかりませんが部分的なものでしょう。

2011-03-13 13:18:36
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

「夏場のチョコレート」と言いましょう。いまの福島第一の核燃料は、板チョコの一部が日に当たって過熱して、柔らかくなっちゃった、という程度の状態と思います。すでに十分、値段をつけて売れる代物ではありません。しかしどろどろに溶けて、形がなくなってしまった訳ではない。ここ、ポイントです。

2011-03-13 13:20:23
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

今の福島第一一号機は、自家発熱で先っちょのほうが柔らかくなってしまった「困った板チョコ」である核燃料を、ほどんど無尽蔵にすぐ傍にある海水で冷やして、もとの形のままに留めよう、という努力をしているところです。イメージとしては、溶けて柔らかくなっちゃったチョコを冷凍庫で凍らす感じ。

2011-03-13 13:22:52
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

いま炉心を海水まで投入して冷却しているというのは、いったん柔らかくなってしまったチョコレート=核燃料を、これ以上制御不能の形にならぬよう、かたちを温存しながら、安全確保したまま、廃炉の手順に入ってゆく準備だろう、と原子炉の素人ながら物理をやった一個人として僕は理解しています。

2011-03-13 13:28:16
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

もし大きく違っていたら、どうか専門家の方にご指摘頂ければ幸いです。

2011-03-13 13:28:36
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