ある雨上がりの昼 一人、約束の場所で佇む一人の女性 金髪が印象的できっと誰もが一度は振り返るだろう 彼女の名前はマキ 親友のゆかりにきてほしいと頼まれて2時間ほど公園で座らずに立っていた
2017-05-24 11:42:39立っている理由は椅子が濡れているからもあるが ゆかりならすぐにきてくれると信じていたからだった だがその親友の姿は2時間をすぎた今もみえない マキは最初なぜ来ないのかとウロウロしながら携帯を見つめていた 雨が降っていたから来たくないのか それとも用事ができたのか
2017-05-24 12:06:39事故にでもあったのか 色々考えはしたが連絡がないことには全て憶測にしかならなかった 約束してきたのはあちらなのにと 時間が過ぎるにつれ不満が募る マキはゆかりの連絡先に一言のメッセージと 留守電を残した
2017-05-24 12:15:33マキは言った通りにその時間まで待ってみたものの 公園に訪れる子供や暇を持て余した大人が通るだけで 結局ゆかりは現れなかった マキは仕方がないと一人ため息をつきながらもイライラを抑えられずに小石を蹴り足早にその場を後にした
2017-05-24 12:39:32家に帰る間にどんどんイライラがおおきくなっていくと ゆかりと前日喧嘩したことを思い出していた すごくつまらないことでマキが一方的だった気もするし ゆかりが一方的だった気もするしとにかく怒った状態での記憶は曖昧だ そんな後でのドタキャンともくると きっと誰でも少しはイラつくと思う
2017-05-24 12:58:26家に帰りマキは宿題に手をつけないまま夕飯を食べ 嫌なことを洗い流し、眠る支度をして最後に ゆかりにメッセージを出した 「なんで何も連絡よこさないの?明日学校来るよね? 何があったか聞かせてよ」
2017-05-24 13:50:06次の日の朝 ゆかりの姿は学校にはなかった その時マキの頭のなかは何故ゆかりが居ないのかことと 昨日何をしたかったんだろうという考えが同居していた
2017-05-25 23:12:17その日一日中携帯を見張っていたが なんの連絡もなかった 流石にマキは頭も冷え切ってゆかりの安否を確認しに行くことにした ただただなぜ昨日家まで行かなかったのだろうと 胃を握りつぶされるような想いの中走っていった
2017-05-25 23:12:56ゆかりには 両親がいない 事故で二人とも失ったとマキは聞いていた 祖父、祖母も家においでとは言っていたがゆかりは一人で暮らすことをきめ一人暮らしをしていた 高校生なんだからそれくらいできると
2017-05-25 23:14:09叩いたドアの先からはなんの音もしない ドアが開いているはずがないとは思っていたが手をかけるとなんの引っかかりもなく開いてしまった 嫌な予感がする マキはいてもたってもいられず土足のまま家の中 ゆかりの姿を探した
2017-05-25 23:14:52部屋の中は 何もなかった そこに誰も住んでいなかったかのようになにも マキは口を押さえて不安で吐き出しそうな何かを抑えた 足が震え胸を何かがかきむしるような感覚に 彼女は一言「どうしよう」と零す
2017-05-25 23:15:49ゆかりをどうにかした犯人が、この現場を確認した私を閉じ込めたのだと よく見れば床は油まみれだった 床が熱く感じられて来るころ 煙が窓の外に見えはじめた この建物が燃えているのだ
2017-05-25 23:20:10ゆかりの部屋は二階 ここは一階に人が住んでいたはずだ 叫べば誰か助けてくれるかもしれないと窓を開け叫んだ 「誰かっ誰か助けて!」 その声は誰にも届いていない 近隣住民の気配が全く感じられないのだ
2017-05-25 23:20:38その異常さはマキをさらに恐怖へと突き落とす モタモタしていると煙でダメになると判断したマキは 窓から外へ出ることを決意した 隣の家にパイプを見つけ窓から身を乗り出す
2017-05-25 23:21:35色々なものが熱くなりマキの体に触れれば焼くような感覚がした 実際はまだそこまできていないのだが先入観により体が異常な反応をしているみたいだった マキはようやくパイプに届いた右手に力を込め残りの体は勢いに任せて飛びだした
2017-05-25 23:22:33いくら二階とはいえ普通に飛び降りたら怪我をする可能性があったし 下にちょうどいい感じにエアコンの排気の機械がなかったからそのような行動をとったのだが 映画みたいにあまり綺麗に出ることができず パイプにしがみついたまま下にズルズルと降りていく
2017-05-25 23:23:40途中引っ掛けて怪我をしたがそんなことを気にしている間に二階に火が回ったようで一気に燃え上がった 早く逃げなくてはとマキは狭い場所から飛び出した
2017-05-25 23:24:05飛び出したあとすぐに何か爆発する音が後方から聞こえその体を押し出した マキは爆風に当たったのだが幸い打ち付けられるようなほどではなくその場に少し倒れただけだった
2017-05-25 23:26:17誰もいない街でマキは頭でもおかしくなったのかと顔を抑えた すると額から血が出ていてその手を染める その瞬間風景がぐんにゃりとしてマキはそこで倒れてしまった
2017-05-25 23:27:29…… 金属の床に手で頭を押し付けられた一人の女の子がいた その子は裸体の色は生を感じられない 虚ろな目でどこかを見つめていた 「暴れさせるなよ、せっかく手に入れたんだあんな大掛かりなことをしてまで この子を探すのに、奪うのにどれだけ時間がかかったか…」
2017-05-25 23:28:20黒い服装をしたなんかの塊がはなしている(彼女にはそう見えている) 床に押し付けられている彼女の耳に届いているが 話の内容は溶け出したアイスのようにまとまらずつかみどころもなければ、なんの理解もできない
2017-05-25 23:29:29