へるげえむアリス・ロンド『それぞれの視点』

はるか @Kurosu_Haruka

「桜……！」 　一際、大量に血を吐くと彼女は震え始めた。 「さ、寒い……」 「……血が足りないんだ。でも諦めるな……」 「もういいよ。わたしを殺して」 「貸しだけ作って逝くなんて……ずるいぞ……」 「なら二つだけお願い」 「なんでも聞く……」 #へるげえむアリスロンド

はるか @Kurosu_Haruka

「もし生まれ変われたら一緒にバスケやろう」 「バスケ……？　うん……やろう」 「華村花子って子に会ったらごめんねって伝えて」 「伝える……」 「それじゃ楽にしてもらえるかな……」 「……お願い三つじゃないか……」 #へるげえむアリスロンド

はるか @Kurosu_Haruka

殺せだって？　ボクは多分、初めて話したような他人のこいつと友達だと思ってる。初めての友達。破壊衝動だけで生きてきた自分に芽生えた守りたいという感情。 「それは……できない……」 「早く三人殺さないと。もう多分、時間ないよ」 「なんでわかる……」 #へるげえむアリスロンド

はるか @Kurosu_Haruka

「左手の甲。ほら」 　目を向けると『9:24』と数字が刻まれていた。それはすごい勢いで減っていっている。 「残り九分」 「十分前に制限時間が現れる仕組みか……」 　ボクの左手にも同じ数字が現れている。 「あと二人殺すのも嫌だし時間もないよ」 #へるげえむアリスロンド

はるか @Kurosu_Haruka

「でも……」 「だったらわたしの命、有意義に使って」 「でも……！」 「どうせなら誰かを救ってかっこよく死にたい」 「でも…………」 「お願い」 　ボクは彼女を抱き起こし、生まれて初めての涙を零した。胸が苦しい。こんな気持ち初めて知った。 #へるげえむアリスロンド

はるか @Kurosu_Haruka

【へるげえむアリス・ロンド『それぞれの視点』】終 #へるげえむアリスロンド

はるか @Kurosu_Haruka

それぞれの想いや狂気を胸に三階の難題をこえた生徒たち。二階に待つのは更なる難題だった。桜は。花子は。ゆりかは。それぞれの未来はどこへと繋がっているのか。次回、へるげえむアリス・ロンド！『楽しい楽しい！　からだアツメげえむ！』 人間は生きてこそだよ！ #へるげえむアリスロンド