へるげえむアリス・ロンド『それぞれの視点』

はるか @Kurosu_Haruka

「男の子って女の子とヤルことしか考えてないよね」 「ごひゅ……げふ」 「でも──」 　私は彼の喉を貫いた剣を引き抜き首を傾げる。 「私は殺ることしか考えてないんだ」 　　男の首から吹き出す返り血を浴び、私は不快に眉をひそめる。 　 #へるげえむアリスロンド

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「血を浴びるのはさ〜。嫌いじゃないんだけどぉ」 　顔を制服の袖で拭いながら、私は男の死体を見下ろし微笑む。 「目に入るのツライ」 【へるげえむアリス・ロンド『それぞれの視点』】 『星川きらりのばあい』 #へるげえむアリスロンド

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「アニメや漫画はなにもかんがえないで楽しめるのが一番だろ」 「そうだね〜」 「きらりもそう思うか？」 　放課後の教室、私は友人の男子生徒とオタク話に興じていた。受験もなく学校生活にも慣れてきた気楽な中学二年生。少なくても私はそう思い日々を楽しんでいた。 #へるげえむアリスロンド

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「私もそういうアニメ好きだよ。和やかな作品が好き」 「だよな。女の子がいがみ合ってギスギスしてる作品は見てて辛いもんな」 「なんで？」 「え？」 「男同士がいがみ合ってギスギスしてる作品はいいのに女の子同士がギスギスしてるのはだめなの？」 #へるげえむアリスロンド

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「だめってことはないけど、可愛い女の子には醜い争いは──」 「はぁ？　可愛くない女の子は醜い争いしていいわけ？」 「いや、そうじゃなくて」 「女の子はあなたの理想を叶えるためにいるわけじゃないんだよ？」 「おまえ何言ってんの……？」 #へるげえむアリスロンド

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私は彼の机を叩き、立ち上がる。 「そもそも男の子ってさ、女の子をヤれるかヤれないかでしか考えてないよね」 「い、いや、きらり、落ち着けって」 「友達って関係はないの？　バカなの？　死ねば？」 「な、なんなんだよ！　言わせておけば、てめぇ……！」 #へるげえむアリスロンド

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そんな日々。私はクラスでも浮いていた。どこそこの女の子とヤっただの、そんなアホな猿男子共の会話を耳にする度に不快でしかならなかった。まあ他人事だからどうでもいいけど。 　でも私の男性不信は毎日高まっていく。 　あいつらは男が格上で女は道具と思っている #へるげえむアリスロンド

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──そんなバカどもを殺せる力を得られて本当に本当に。 「あああ、なんて楽しいんだろう！！！」 　教室で揉めた彼。名前なんてったっけ？ 　その彼は今、私の足下で首を失い転がっている。 「ああ。女は自分より弱いって思ってるバカを力で殺すの気持ちいい……」 #へるげえむアリスロンド

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「ほ、星川さん」 「なんだ、川島さんじゃん」 　私は満面の笑みを浮かべ、彼女に近づく。クラスメートの仲良しだった女の子だ。 「な、なんで小林くんを殺し…………ごひゅっ！？」 　首を剣で貫かれた彼女は苦悶の表情で膝をつき 、喉を抑える。 #へるげえむアリスロンド

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「小林くんっていうんだ？　こいつ」 「ご……ごえ……っ」 「理由かぁ。楽しいからかな」 　白目をむき、痙攣しながら弛緩した川島から私は勢いよく剣を引き抜く。黒板へと血しぶきがへばりついた。 「えへへ、楽しいなぁ〜」 #へるげえむアリスロンド

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床に倒れ痙攣している姿が滑稽で、私はつい笑いを漏らす。 「可愛い女の子が苦痛の表情に代わる瞬間」 　死体の背中に何度も剣を刺しながら、私は微笑む。 「悪くないね、超可愛いよぉ〜」 　気が済むまで彼女をめった刺しにし、私は教室を後にした。 #へるげえむアリスロンド

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「あっと、ひっとり〜」 　手の甲には『2』の数字。夕方までに三人殺せば階下へ降りれるらしい。私は最後の獲物を求めて奇妙に入り組んだ廊下を歩く。角を曲がると、そこには座り込んだ男子生徒の姿が見えた。 「あ、哀れな犠牲者ハッケーン。……およ？」 #へるげえむアリスロンド

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見ると彼は半裸の女生徒の前で制服のズボンを降ろそうとしているところだった。 「男の子ってさ〜。ほんとヤルことしか頭に──」 　ないんだからさ！！！　そう叫び、私は剣を構えて走り出す。突然、迫る女に驚いたものの、彼も冷静に剣のようなものを作り出した。 #へるげえむアリスロンド

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私の剣を受けとめ、彼は怒りの表情を浮かべる。 「な、なんだお前！」 「星川きらり、十四歳でーすっ！」 「殺る気か、クソ……！」 「あなたはヤル気だったみたいだけどぉ！」 　私は彼の腹部に蹴りを放ち、怯んだ瞬間に素早く斬りつける。 #へるげえむアリスロンド

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「ぎ……！？」 　男は股間を抑え座り込み、喉の奥から絞り出したような絶叫を上げた。 「あはは。服ごと、あなたの大切なオモチャ斬り取っちゃったぁ」 「ふざ……痛でええええええええ……！」 「テメェの汚いもの、テメェに食らわしてあげるよぉ」 #へるげえむアリスロンド

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「や、やめ……」 「エロ同人とかで、むりやり口にねじ込まれる女の子の気分わかったぁ？」 「やめてくれえええええええええ！！！」 　私は彼の下顎を斬り落とし、喉へ腕ごと彼の極部を捩じ込む。 「ごぇ……！！！」 「楽しいいいいいいいいいい」 #へるげえむアリスロンド

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男は痙攣し、倒れ込んだ。そして同時に彼に襲われていた女生徒の悲鳴が響く。 「大丈夫。女の子にはなんにもしないから」 　後ずさる彼女に私は優しく微笑む。 「ほ、ほんと？」 「うーそっ！」 　剣をふたふり。彼女の両足を切断する。 「ぎいいいいい……！？」 #へるげえむアリスロンド

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「その表情。悪くないね、超可愛いよぉ〜」 　両腕も斬り落とされ、絶望に染まった彼女の顔を見ていると興奮してくる。 「そろそろ楽にし──」 　誰かを気配を感じ、私はとっさに飛び退く。するといたぶっていたオモチャの顔に丸いノコギリのような円盤が食い込んだ。 #へるげえむアリスロンド

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「ちっ！　外した！」 　声の方へ視線と剣を向けると、そこには二人の男子生徒の姿がある。一人は先程の円盤を手にしていた。 「俺が行く、援護しろ佐藤！」 「頼んだぜ、加藤！」 　佐藤くんに加藤くんねぇ。 「テメェらに食事の邪魔された気分だにゃあ」 #へるげえむアリスロンド

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加藤は小太刀のようなものを手に突っ込んでくる。私は余裕で彼の攻撃を剣で受け流し、反撃に── 「……にゃっ！？」 　反撃は叶わず、私は顔めがけて飛んできた円盤を弾く。 「どうだ！　俺と佐藤のコンビネーションは！」 　加藤の隙を佐藤のノコギリ円盤が補う。 #へるげえむアリスロンド

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「まあ悪くないけど〜」 「ん……？　なんだ、これ」 　加藤佐藤コンビと戦いながら、私は廊下を輝く霧で覆う。 「相手が悪かったね」 「……え？」 　加藤は目標を失ったかのように慌てて周囲を見回す。 「どこに消えた！！！！　出てこいよ！」 #へるげえむアリスロンド

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加藤の叫びを無視し、私はノコギリ円盤を構えてる佐藤の背後へと向かう。 「こっちだよ」 「おまえ……いつの間……きっ！？」 　振り返った彼の頭蓋へ、剣を滑り込ませるように貫く。 「と、透明になれんの──」 　言葉を言い切る前に彼の頭は溶解した。 #へるげえむアリスロンド

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「あと、口から毒液飛ばせるの」 　数メートル先にいた彼の頭を溶かしたのは、その力だ。 「二人いたら勝てると思った？」 　加藤と佐藤の死体を見下ろし、私は微笑む。 「甘かったね。加糖と砂糖だけに」 　自分のつまらないギャグが照れくさく頬が赤くなってきた 　 #へるげえむアリスロンド

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「あ、手の数字が『4』になった！」 　小林に川島。加藤と佐藤を手にかけたので、チャレンジミッションはクリアーできたようだ。 「よし、制限時間ギリまで、へるげえむを楽しもっか！」 　えいえいおー！　と叫び、私は鼻歌交じりに歩き出した。 #へるげえむアリスロンド

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《星川きらり》 十四歳。夢桜学園二年生。 剣と霧を作り出す力に加えて、霧の中での透明化、口から毒液を飛ばす。 へるげえむを楽しみ、積極的に他の生徒に危害を加える。 #へるげえむアリスロンド