Erotic Love 〜 case F 〜 芙美香・父と二人の小学生時代

【R18】 Erotic Love 〜 side T / S 〜 からのスピンオフ。 時司家家政婦・澤名芙美香の過去。 続きを読む
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夢乃 @iamdreamers

おじさまは続けます。 「芙美香ちゃんの生活にかかったお金は将来返してくれればいい。だから今は気にしないこと。いいね?」 「・・・はい、解りました」 不安はありましたが、私は頷きました。どちらにしろ、おじさまは今私が払えるものを受け取ってくれそうにありません。 #twnovels

2017-07-25 12:42:14
夢乃 @iamdreamers

「さあ、解ったらパンツとズボンを履いて、自分の部屋で寝なさい。もう遅いんだし」 「はい」 私がショーツを履きかけたところで、部屋のドアが開きました。ノックもなしに開いたということは・・・ 「いい湯だった。・・・あら? 芙美香ちゃん? そんな格好で何してるの?」 #twnovels

2017-07-25 12:42:46
夢乃 @iamdreamers

入ってきたのは、バスローブに身を包み、頭にバスタオルを巻いたおばさまでした。 「・・・あなた、芙美香ちゃんにヘンなことしていたんじゃないでしょうね?」 おばさまがちょっと怖い目でおじさまを睨め付けます。私は急に恥ずかしくなって、急いで寝間着を身に付けました。 #twnovels

2017-07-25 12:43:13
夢乃 @iamdreamers

「あ、あの、おじさま、おばさま、お休みなさいっ」 私は二人にお辞儀をすると急いで部屋から立ち去りました。 「落ち着いてくれよ。ちゃんと説明するから・・・」 ドアを閉める直前、おじさまの声が聞こえました。 #twnovels

2017-07-25 12:43:38
夢乃 @iamdreamers

悪いことをしてしまったのかもしれません。これで、おじさまとおばさまが喧嘩したりしなければ良いのですが。お二方に心の中で謝り、そして感謝しながら、その日は眠りにつきました。 #twnovels

2017-07-25 12:44:00

F-12. 季節は巡って

夢乃 @iamdreamers

おじさまのお屋敷でお世話になるようになってから暫く経ちました。学校は夏休みに入っていました。そんなある日、呼ばれて伺ったお部屋で、おじさまが躊躇いがちに言いました。 「芙美香ちゃん、明後日、お父さんの四十九日の法要だけれど・・・出られるかな?」 #twnovels

2017-07-28 12:18:01
夢乃 @iamdreamers

びくっ、と身体が反応しました。思えば、私は父の葬儀にも出ていません。いえ、もしかしたら出ていたのかもしれませんが、覚えていません。父の死を受け止め切れなかったその時の私は、半ば意識のない状態でしたから。それで、おじさまも歯切れが悪いのでしょう。 #twnovels

2017-07-28 12:18:53
夢乃 @iamdreamers

でも、ひと月経って、私も落ち着いていました。父の最後の言葉を思い出したあの時から。私は父の分も、それに母の分も含めて、幸せになる義務があるのですから。立ち止まってはいられません。 「はい。勿論、出席します」 私ははっきりと言いました。 #twnovels

2017-07-28 12:19:33
夢乃 @iamdreamers

「芙美香ちゃん」同席していたおばさまが言いました。「無理することはないのよ。いなくても、おばさんたちで責任を持って納骨させていただくから」 私は首を横に振りました。 「おばさま、ありがとうございます。でも、私の父のことですから、私がやらないと。おじさま」 #twnovels

2017-07-28 12:20:15
夢乃 @iamdreamers

私はおじさまに向き直りました。 「法要の手配とか、して戴いているんですよね。本当なら私がしなくちゃいけないのに。ありがとうございます」 私はおじさまと、それからおばさまに、深く頭を下げました。 「気にしなくていいよ。こういうのは大人の仕事なんだから」 #twnovels

2017-07-28 12:21:02
夢乃 @iamdreamers

おじさまはにこやかに言ってくれます。それから、私は今日まで気付かなかったこと ー気付きたくなかったこと、かもしれませんー を尋ねてみました。 「あの・・・父の位牌やお骨は、今、どちらに・・・」 「今は、芙美香ちゃんがお父さんと暮らしていたアパートにあるよ」 #twnovels

2017-07-28 12:21:34
夢乃 @iamdreamers

おばさまが後を引き継ぎます。 「毎日、おばさんか家政婦の誰かが行って、お線香を焚いているのよ」 「え、そんなことまでして戴いているんですか。すみません」 私がすっかり忘れていた、というより思い出さなかったことにも、気を配って戴いていたなんて・・・ #twnovels

2017-07-28 12:22:18
夢乃 @iamdreamers

本当に、おじさまとおばさまが居て下さらなかったら、どうなっていたことでしょう。お二人にはずっと感謝の念が絶えませんが、それがまた、さらに深くなりました。 「気にすることはないのよ。芙美香ちゃんはもう、うちの家族なんだから」 #twnovels

2017-07-28 12:22:48
夢乃 @iamdreamers

「それで、芙美香ちゃん」 おじさまの口調が変わった気がしました。 「はい」 私も改めて背筋を伸ばします。 「ちょっと言いにくいんだけど、あのアパートもいつまでも借りたままというわけにもいかない。四十九日を過ぎたら引き払った方がいいと思うけれど、構わないかな?」 #twnovels

2017-07-28 12:23:20
夢乃 @iamdreamers

そうでした。父と私が住んでいたアパートが、その後どうなったのか、まったく意識に昇りませんでした。必要なものは、私が気付いたときには身の回りにありましたから。きっと、おばさまか家政婦の方がアパートから持ってきてくれていたのでしょう。 #twnovels

2017-07-28 12:23:51
夢乃 @iamdreamers

「芙美香ちゃん、芙美香ちゃんがあのまま借りておきたいなら、そう言ってね。二年くらいとは言っても、芙美香ちゃんにとってはお父さんとの思い出の場所でしょうし」 おばさまが優しく言ってくれます。 #twnovels

2017-07-28 12:24:34
夢乃 @iamdreamers

それに対して何も言わないおじさまも、先程はは『借りたままというわけにはいかない』と言ったものの、同じ気持ちなのでしょう。けれど、そこまでおじさま方にご迷惑をおかけするわけにもいきません。ここに置いて戴いているだけでも大変な負担でしょうし。 #twnovels

2017-07-28 12:25:10
夢乃 @iamdreamers

それに、住んだ期間で言えば家族三人で暮らしたマンションでの生活の方がずっと長かったのです。 私はおばさまに首を振りました。 「いえ、引き払ってもらって構いません。お父さんと、それにお母さんの思い出は、ここにありますから」 私は胸に手を当てました。 #twnovels

2017-07-28 12:25:37
夢乃 @iamdreamers

「芙美香ちゃん・・・」 「それより、今までずっと、アパートの部屋まで管理してくれて、ありがとうございます。わたし、そんなこと忘れてたのに」 おじさまは笑いました。 「これも大人の務めだからね。子供のうちは、面倒なことは大人に任せておけばいいんだよ」 #twnovels

2017-07-28 12:26:06
夢乃 @iamdreamers

「それでも、ありがとうございます。このご恩はいつか必ずお返しします」 私は深く頭を下げました。 「そこまで気にしなくていいのよ。・・・それじゃ、後で芙美香ちゃんもアパートの片付けを手伝ってくれる? 持ってくるものや処分するものを分けないといけないから」 #twnovels

2017-07-28 12:26:43
夢乃 @iamdreamers

「はい、もちろんです。って言うより、わたしからお願いしないといけないですよね。アパートを引き払うための整理が一人じゃ大変なので、お手伝いしてください。お願いします」 また私は、頭を下げます。 「いいのよ。一緒にやりましょう」 「はい」 #twnovels

2017-07-28 12:27:27
夢乃 @iamdreamers

そして、父の四十九日を迎え、納骨も終わりが、アパートを引き払って、必要最小限の荷物だけをお屋敷に持ち込みました。この時が、私が本当に このお屋敷に住むことを、住んでいて良いということを、実感した時なのかもしれません。 #twnovels

2017-07-28 12:28:37

夢乃 @iamdreamers

初めのうちは時間を持て余し気味だったお屋敷の生活にも、徐々に慣れてきました。おじさまおばさまは勿論、おじいさま、おばあさまとも少しずつ会話を楽しむ時間が増えてきました。執事や家政婦の方々から『お嬢様』と呼ばれることには慣れそうにありませんでしたが。 #twnovels

2017-07-28 12:29:37
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