「とある新人漫画家~」とそれに対する「ねとらぼ編集部の見解」を読んだ1読者の感想

セルフまとめです
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はじめに

このまとめは
『とある新人漫画家に、本当に起こったコワイ話』(佐倉色)
に対する
「漫画『とある新人漫画家に、本当に起こったコワイ話』について、編集部の見解」
を読んだ
(1)作者側とねとらぼ側に対し、書籍・記事の読者以上の関係者ではなく 
(2)法律(知財)・文章・書籍・出版の分野の専門家ではなく 
(3)実名公開していない
(4)6月12日以降に作成されたアカウント
による2017年のねとらぼの記事に対する疑問点をまとめたものとなる
飛鳥新社側の6月23日見解にて

「なお、今回のお尋ねがありましたので改めて著者にも確認しましたが、事実を記載したという回答であったことを念のためお知らせいたします。」

とあるので、画像についての作者側の認識は変わらず「2P分」としている
とある新人宣伝アカウント@単行本発売中 @toaru_shinjin

『とある新人漫画家に、本当に起こったコワイ話』の発売が開始されました。皆様、どうぞよろしくお願い致します(佐倉色) 作品紹介ページ [ asukashinsha.co.jp/book/b287337.h… ] pic.twitter.com/tvBexWvlGK

2017-06-09 01:06:57
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ねとらぼ @itm_nlab

【編集部よりお知らせ】漫画『とある新人漫画家に、本当に起こったコワイ話』について、編集部の見解 - ねとらぼ nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/17… @itm_nlab

2017-06-12 17:30:06

現在までの開示情報より第3者が否定できない点

□1 はがき応募総数が1600枚以上であり、作者が相当数色紙を描いたこと
□2 2017/06/12時点で角川側が名誉毀損等により作者を訴える姿勢を見せていないこと
□3 InternetArchiveに現存する2016/03/04 110112時点のデータでは記事のすぐ見える部分に
   漫画の画像キャプチャ(1部分)が存在していたこと(以降これをrmfig34-41.jpgと呼称する)
□4 InternetArchiveに現存する2016/03/04 110112時点のデータには
   キャプチャ画像のリンク先データ(以降これをl_rmfig34-41.jpgと呼称する)は存在していないこと

□1□2についての詳細は省略する

□3□4について

InternetArchiveに現存する2016/03/04 110112時点のデータのHTML部分では
「<a href="~~/1603/04/l_rmfig34-41.jpg">」
と
「<img src="~~/1603/04/rmfig34-41.jpg"~~」
として表記されていることが確認できる
(InternetExplorerでは画像右クリック→ソースの表示
 GoogleChromeでは画像右クリック→検証、にてHTMLを表示可能)
(画像部分モザイク加工有)
また他の記事とそのHTMLでは、記事本文での表示画像と
リンク先でのl付き版の画像が異なる事例も存在する

情報参考・参照・引用元(関連まとめコメントの情報より)
(記事)
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1603/23/news031.html 
(記事内で見えている画像)
http://image.itmedia.co.jp/nl/articles/1603/23/kk1603_gon.jpg 
(記事では見えなかった部分が存在する画像)
http://image.itmedia.co.jp/l/im/nl/articles/1603/23/l_kk1603_gon.jpg 


著作権法について

①著作権法では
 「第二章 著作者の権利 第三節 第五款 著作権の制限」において
 「時事の事件の報道のための利用(第四十一条)」「引用(第三十二条)」
 の場合には著作権の制限が認められている
②同款において
 「著作者人格権との関係
  (第五十条 この款の規定は、著作者人格権に影響を及ぼすものと解釈してはならない)」
  との記載がある
③また同款において
 「翻訳、翻案等による利用(第四十三条 次の各号に掲げる規定に
   より著作物を利用することができる場合には、
  当該各号に掲げる方法により、当該著作物を当該各号に掲げる規定に従つて利用することができる)
     一 第三十条第一項、第三十三条第一項(同条第四項において準用する場合を含む。)、
      第三十四条第一項又は第三十五条 翻訳、編曲、変形又は翻案
     二 第三十一条第一項第一号若しくは第三項後段、第三十二条、第三十六条、
      第三十七条第一項若しくは第二項、第三十九条第一項、
      第四十条第二項、第四十一条又は第四十二条 翻訳
     三 第三十三条の二第一項 変形又は翻案
     四 第三十七条第三項 翻訳、変形又は翻案
     五 第三十七条の二 翻訳又は翻案 」
 との記載がある
④「第二章  著作者の権利 第三節 第二款 著作者人格権」には
  「公表権(第十八条)」「氏名表示権(第十九条)」
  「同一性保持権(第二十条 著作者は、その著作物及びその題号の同一性を保持する権利を有し、
  その意に反してこれらの変更、切除その他の改変を受けないものとする。)」
 との記載がある

このうち同一性保持権についてはいくつか例外が存在するが、
本件にて議論となりうるのは同条2四号
「前三号に掲げるもののほか、著作物の性質並びにその利用の目的及び態様に照らしやむを得ないと認められる改変 」
の部分である

情報参考・参照・引用元
http://www.cric.or.jp/db/domestic/a1_index.html

③と①より、
 『「時事の事件の報道のための利用(第四十一条)」と「引用(第三十二条)」の場合に
 認められるのは『翻訳』のみであって『翻案』は認められていない』
②と④より、
 『「時事の事件の報道のための利用(第四十一条)」と「引用(第三十二条)」は
 著作者人格権に影響を及ぼすものと解釈してはならない』
のではないかと考えることができる

書籍とねとらぼ見解の、画像に対する認識の齟齬部分について

ねとらぼの新記事 より
『佐倉氏がブログに掲載した「お礼漫画」の中に、作者と編集者の関係を示唆する表現があったことから、引用元を明示したうえで、ブログの一部を撮影したスクリーンショットを掲載していました。作中では「漫画は全2ページでどちらもそのままきっちり2ページ掲載されていた」「事前報告なく全ページ使用した」との表現がありますが、使用していたのはあくまで一部であり、「きっちり2ページ掲載」「全ページ使用」といった事実はありません。』

ねとらぼ新記事引用元
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1706/10/news018.html

この2P分の掲載ではないとの主張は文脈よりInternetArchiveの情報を基にしていると考えられる
(1)rmfig34-41.jpgはInternetArchiveに存在しており、
  「記事のすぐに見える部分にはITmedia名義の2P分漫画が存在しなかったこと」
  は確定である
(2)ねとらぼ側が
  「記事内からたどれる部分にITmedia名義の2P分漫画が存在しなかったこと」
  を証明をする場合は(不在の証明は困難であるが最低でも)
  「l_rmfig34-41.jpgは2P分漫画の画像ではない」
  ことを証明する必要がある
  (これはInternetArchive以外の情報元を利用可能である)
(3)作者側が
  「l_rmfig34-41.jpgは漫画2P分の画像である」
  ことを証明できる場合、
  作者側はねとらぼ側に新記事の訂正を要求することができる

  またねとらぼ側が
  「l_rmfig34-41.jpgは漫画2P分の画像ではない」
  ことを証明でき、他に該当の画像が存在しない場合、ねとらぼ側は書籍の訂正や注釈を要求できる
(4)作者側が
  「l_rmfig34-41.jpgはrmfig34-41.jpgは漫画2P分の画像である」
  ことを証明できない、かつ
  ねとらぼ側が
  「l_rmfig34-41.jpgはrmfig34-41.jpgは漫画2P分の画像ではない」
  ことを証明できない場合、作者側とねとらぼ側の条件は同等である
  (その場合は、この部分の情報は両者とも不確定であることが注釈にあると望ましい)

ねとらぼ見解にて記載が足りないのではないか、と考えられる点

①旧記事について、作者の著作権が制限される場合
 「時事の事件の報道のための利用」
 「引用(画像・文章それぞれについて)」
 どちらであると考えているのか
 (もしくは別の制限によるものであると考えているのか) 

 特に「文章は編集部側で新たに書き起こしています」(新記事)とあるが
 「要約による引用」ではないのか
 (ブログを参考にしておりブログを見ずともある程度内容を把握できる文章ではないのか)

 また「要約による引用」ならば、本人に異議がある場合著作権的に問題が発生するのではないか
文化庁著作権Q&A より
「Q.最新のベストセラー小説のあらすじを書いて、ホームページに掲載することは、著作権者に断りなく行えますか。
 A.どの程度のあらすじかによります。ダイジェスト(要約)のようにそれを読めば作品のあらましが分かるというようなものは、著作権者の二次的著作物を創作する権利(翻案権、第27条)が働くので、要約の作成について著作権者の了解が必要です。また、作成された要約をホームページに掲載し送信する行為(複製、公衆送信)も元の作品の著作権者の二次的著作物を利用する権利(第28条)が働くので、要約の作成と同時に当該著作権者の了解を得ておく必要があります。一方、2~3行程度の極く短い内容紹介や「夭折の画家の美しくも哀しい愛の物語」などのキャッチコピー程度のものであれば、著作権が働く利用とは言えず、著作権者の了解の必要ありません。 」
②「著作権の制限」と「著作人格権(同一性保持権)」は
 どちらが優先されるべきであると考えているのか
 (第五十条以上に有力な根拠や判例を元として記事の法的正当性を主張しているのか)
③仮に旧記事(画像・文章)が引用との認識である場合、「引用」の定義にあてはまると考えているのか
 特に
 (1)画像を引用する「必然性」はどこにあったのか
 (2)文章の主(記事側)と従(ブログ側)の情報量は記事内でそれぞれ何割程度であると認識しており、
  また何割以上主側の情報量があれば引用の用件を満たすこととなると考えているのか 
 (3)作者の主張P103「そのほとんどが私のブログの文章で構成されており」とあるが、
  仮にブログの内容を全て排除した場合、どの程度文章が残ると考えているのか
 新記事中における
 「画像について引用の範囲を超えている可能性があったことと、佐倉氏が記事の削除を強く望まれていたことを考慮し、記事の削除を決定いたしました。」
 とは、どの点についてそのように考えて削除したのか
 (キャプチャ部分のみであっても画像について無断転載となっていた可能性が存在するのではないか)