ゴールデンカモイ #6

大佐と言ったな、アレは嘘だ 5:https://togetter.com/li/1132514 7:https://togetter.com/li/1133617
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劉度 @arther456

《WW2前の魔力通信機だから、オーパーツっていえばオーパーツだけど……》「意地でも手に入れたいものではない、ということですか」《勝手に動いてるのは不思議だけど……いや、待った》提督が何かに気付いた。《通信とは別に、何か言ってる》「何と言っているのですか?」23

2017-07-23 21:36:09
劉度 @arther456

《『七生報国・白虎隊・民族ノ防波堤タレ』……なんだこれ》「神威の言っていた言葉とは違いますね」アメリア・イアハートが助けを求める声などではない。《うーん、わかんないな。持って帰れそう?》「難しいです」不知火たちが乗ってきた船は、ロシア軍に抑えられている。24

2017-07-23 21:39:04
劉度 @arther456

《ロシアか。わかった、そっちは何とかしよう。……そろそろしんどくなってきたから、切るよ?》「了解」《気をつけてね、不知火》不知火の体がふっと軽くなった。提督が不知火から離れたようだ。「終わったのか?」杉坂は恐る恐ると言った様子で聞いてくる。「ええ。終わりました」25

2017-07-23 21:42:05
劉度 @arther456

提督が調べた内容を不知火が話すと、その場にいた全員が信じられないといったような顔をした。無理もない。謎の声に導かれて埋蔵金を探して、見つかったのが時代遅れの機械だとわかれば、失望するのが当然だった。「帰るか」「帰りましょう」満場一致で帰宅が決まった。26

2017-07-23 21:48:01
劉度 @arther456

《帰るついでに頼みたいことがあるんだけど》通信機から提督が言った。《そっちにほっぽちゃんの田舎の親戚の子、いる?》「いますよ。代わりますか?」《うん》不知火は護衛棲姫に通信機を渡した。「もしもし、ごーちゃんです」《こんにちは。ごーちゃん、お母さんが探してるよ?》27

2017-07-23 21:51:02
劉度 @arther456

「え?」《ええと、君のお母さんが幌筵泊地の近くまで探しに来てるんだ。それで、私たちも一緒にごーちゃんのことを探しててね。お母さん、凄い心配してたから、早く帰ってあげて?》「知らん」《え?》「お母さんってなにそれ……知らん……」《……え?》28

2017-07-23 21:54:08
劉度 @arther456

山に立てこもった日本軍は、ガングートの想像を遥かに超えた抵抗を見せていた。地形と塹壕を巧みに活かし、こちらを寄せ付けない。超人的なスピードで横腹を突いた別働隊の攻撃もあり、進軍はほとんど止まっていた。遅々として進まない作戦に、パイプの煙も濃くなってしまう。30

2017-07-23 21:57:05
劉度 @arther456

「隊長。日本海軍の提督から通信です」部下が通信機を持ってきた。「こちらガングート」《ガングートさん!?どこにいるんですか、早く戻ってきてください!幌筵の南東から深海棲艦の敵集団が接近中です!》焦った様子で話しているのは、横須賀の提督だ。31

2017-07-23 22:01:11
劉度 @arther456

「そうか。こちらも北で深海棲艦と交戦中だ。敵の戦力は中々多く、油断はできん」山岳陣地への砲撃を見つつ、ガングートは答える。《深海棲艦?そんなバカな!パトロールはしっかりやってるんですよ!?》「だが、いたぞ。白い服と髪の、子供みたいな深海棲艦が2匹いた」32

2017-07-23 22:03:15
劉度 @arther456

横須賀の提督の返事には、しばらくの間があった。《いや、それでもほぼ全軍を率いる必要は……》「仕方あるまい。遭遇戦だ。むしろこちらが援軍を回してほしいぐらいだぞ?」《そんな余裕はありません!》「だろう?まあ、ここは通さないさ。全力で南側に当たってくれ」33

2017-07-23 22:06:12
劉度 @arther456

《……なるべく早く戻ってきてください。そっちは別働隊ですから、追い払えれば十分ですからね!》捨てゼリフを吐いて、横須賀の提督は通信を切った。「やれやれ」『アメリアの柩』を手に入れるまで戻るつもりはないが、泊地を攻め取られるのもマズい。早く柩を確保する必要ができた。34

2017-07-23 22:10:08
劉度 @arther456

《こちらトレヴェルヤン。応答してください》別の通信が来た。ガングート直属の部下からだ。「こちらガングート。どうした?」《無人灯台方面で例の深海棲艦を発見。ただ、アイヌの巫女、艦娘2名、不明な民間人が2名が同行しています。それに……奴ら、柩らしきものを持っています》35

2017-07-23 22:12:05
劉度 @arther456

最後の言葉に、ガングートは思わず無線機を握りつぶしそうになった。「本当か!?」《ええ。魔力も感知できます。ひょっとしたら……》「私が行こう。どのみち、深海棲艦の相手は私でなければ務まらん」《隊長が……!?りょ、了解。こちらは引き続き追跡します》36

2017-07-23 22:15:06
劉度 @arther456

「ザスローン部隊、集合せよ」ガングートの掛け声で、20人ほどの兵士が集まってくる。周りの他のロシア兵よりも、動きが良い。「これから島の北西へ向かい、深海棲艦を討伐、柩らしき物体を確保する。ついてこい!」兵士たちは無言の敬礼で、命令に答えた。37

2017-07-23 22:18:03
劉度 @arther456

娘が見つかったので、北方水姫と提督は、直接会うことになった。幌筵泊地の南方に、時間通りに到着すると、白い強力な深海棲艦がそこで待ち構えていた。通信では何度かやりとりしていたが、会うのはこれが初めてだ。《娘が見つかったとは、本当かえ?早う会わせておくれ》39

2017-07-23 22:21:09
劉度 @arther456

「ええ。ただ、その前に聞いておきたいんですけど」《なんじゃ?》提督は、用意しておいた紙を取り出した。不知火が撮った、護衛棲姫が持っていた文書を印刷したものだ。「その、お子さんの深海棲艦が持ってたものなんですけどね?お手紙がありまして」《ほう》「ちょっと今から読みますね」40

2017-07-23 22:24:13
劉度 @arther456

「以上なんですけど」提督は北方水姫を見た。身長160cmぐらい、烏帽子めいた縦長の帽子、ふかふかのマント、ハイヒール、そして、水着とすら言えないよくわからない下着のようなもの。目撃情報通りの格好だ。「あの、言いづらいんですけど、この回覧板って……」42

2017-07-23 22:27:03
劉度 @arther456

《見られたからには死んでもらう!》突然、北方水姫が撃ってきた。「やっぱり!」蔵王はすぐさま回頭、砲弾を避ける。「ハープーン、発射!」「撃てぇーっ!」蔵王はミサイルを発射。北方水姫はこれを機銃掃射で撃ち落とす。煙が北方水姫の視界を遮り、主砲の狙いを乱す。43

2017-07-23 22:30:12
劉度 @arther456

その間に蔵王は進路を変え、幌筵泊地へ向け全速力で航行を始めた。《逃がすかあああっ!》北方水姫が追いかけてくる。更に、周りの海から次々と深海棲艦が姿を現した。最初から蔵王をだまし討ちにするつもりだったようだ。「前方に敵艦!」「なっちゃん、頼むよ!」「任せろ!那智戦隊、行くぞ!」44

2017-07-23 22:33:10
劉度 @arther456

あらかじめ出撃していた艦娘たちが先行、前を塞ごうとする深海棲艦に砲撃を与える。「主砲、良く狙って……撃てぇーっ!」古鷹の放った3号砲が重巡リ級に直撃、爆散せしめた。「進路確保!」「進め!」蔵王は深海棲艦による包囲の輪を抜けた。だが、後ろから北方水姫が猛追してくる。45

2017-07-23 22:36:08
劉度 @arther456

《貴様を倒し、ほっぽちゃんとごーちゃんをいただくのだ!》深海棲艦による堂々たる誘拐宣言だ!「ヤバい、本物だ……!」それなりに経験を積んだ提督といえども、ロリコンで露出狂で誘拐犯の深海棲艦に鬼気迫る表情で追われることには、流石に恐怖を覚えていた。46

2017-07-23 22:40:01
劉度 @arther456

北方水姫が再度、主砲を構える。その足元でいきなり爆発が起きた。「うおっ!?」雷撃だ。周りの僚艦たちも、奇襲を受け混乱、ダメージを負ったものもいる。「これは……!」その時、北方水姫は気付いた。提督を追う自分の部隊を横から挟み込む、海中の魔力反応に。47

2017-07-23 22:42:03