MHDエピソードゼロ

MHDのssです。
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gori@創作 @gorryyyyyy

昨日の酒場に居た看板娘だ。 真剣な眼差しで、キノコ納品クエストの依頼書に目を通している。 これにはファルトも、思わず目を丸くした。

2017-08-17 18:10:54
gori@創作 @gorryyyyyy

目線が外れ、此方に気付きあっ、と声を漏らす娘。 手を振り、小さく跳ねるその目線の先にいるファルトに、男ハンター達の冷たい視線が突き刺さる。 ああ、もう勘弁してくれ。

2017-08-17 18:11:34
gori@創作 @gorryyyyyy

どうやら二日続けて振り回される日のようだ、とファルトは諦め、急ぎ足で娘の元へ駆け付けた。

2017-08-17 18:12:23
gori@創作 @gorryyyyyy

携帯食料の干し肉を片手に、密林をのんびり歩く。揺れる後ろ髪を見守りながら。

2017-08-17 18:13:15
gori@創作 @gorryyyyyy

「あ!ここにもアオキノコ!」 両手にアオキノコを取り、ポーチへしまう。 溜め息を吐くファルト。大した金も稼げない上に、この女は初心者とはいえ、余りにも周囲を警戒していない。

2017-08-17 18:14:03
gori@創作 @gorryyyyyy

今日のメシは、さっき弓を教えるがてら仕留めたアプトノスの肉だけになりそうだ。 此方の気も知らず、草木を分けてどんどん奥へと進んでいくのを、ファルトは末恐ろしく思いながらついていく。

2017-08-17 18:14:42
gori@創作 @gorryyyyyy

「そういやアンタ」 「ん?」 「酒場の給料じゃ安かったかい」

2017-08-17 18:15:17
gori@創作 @gorryyyyyy

随分と遠回しな言い回しになってしまった、と僅かに反省した。 「何故ハンターになったか」と聞く事自体が、凡そ気持ちの良くない事態を招くからだ。 特に、こういう妙に明るい奴、ましてや女に関しては。

2017-08-17 18:15:52
gori@創作 @gorryyyyyy

それに対し、女は大きく笑い飛ばした。 「あはははは!なによそれ!いいわ、変に気を使わなくて。」

2017-08-17 18:18:13
gori@創作 @gorryyyyyy

頭を搔いて、内心舌打ちをしたくなる気持ちを抑えた。 その女は後ろ姿を向けたまま、端的に答える。

2017-08-17 18:19:17
gori@創作 @gorryyyyyy

「昔からの憧れだったの。ただそれだけよ。」 それっきり、二人共口を開くことは無かった。

2017-08-17 18:19:45
gori@創作 @gorryyyyyy

「ふー……アオキノコもここまで集まれば問題ないわね。」 夕暮れがベースキャンプのイカダへ差し込む。

2017-08-17 18:24:52
gori@創作 @gorryyyyyy

そこに集められた20個程のアオキノコ。 確かに初心者からすれば、体力もつく上地形も覚えられる良い訓練だとファルトは感心していた。

2017-08-17 18:25:52
gori@創作 @gorryyyyyy

ポーチの中身を整理整頓した女は、火を起こすファルトを見てすっと立ち上がる。 「さて、大分遅くなっちゃったけど、ご飯にしましょ。私が料理するわ。」 その言葉の最後に、ファルトは眉をひそめる。 「……料理?」

2017-08-17 18:26:33
gori@創作 @gorryyyyyy

腰に手を当て、ファルトを見下ろす。 「あら失礼ね。これでも酒場で結構な間働いてるのよ。任せて、素材は探索中に大体揃ったわ。それに、今日一日護衛してくれたお礼よ。」

2017-08-17 18:27:12
gori@創作 @gorryyyyyy

そこからは、ファルトは目の前で起きている事に追いつけないまま、ただそれを見つめていた。 皮を剥かれた芋が茹でられ、アプトノスの肉と野菜が炒められ、水が足され、みるみるうちにスープになっていく。

2017-08-17 18:28:23
gori@創作 @gorryyyyyy

それは、狩猟場でただ携帯食料を貪り、肉を焼いて食うのが贅沢であった彼からすれば、信じられない光景だったのだろう。

2017-08-17 18:28:46
gori@創作 @gorryyyyyy

「味付けは塩だけだけど、勘弁してよね。この調理器具とパンを持って来るので手一杯だったんだから。」 なんとパンまで持って来てるときた。

2017-08-17 18:29:39
gori@創作 @gorryyyyyy

ファルトはただ黙っていてもいけないと思い、なんとか口を開く。 「この……調理器具はどうしたんだ?」 「ああ、酒場のマスターがくれたのよ。ハンターへの転職祝いだって。」 「……転職!?」

2017-08-17 18:30:25
gori@創作 @gorryyyyyy

なんとか話を振ってみたが、だめだ、更に理解が追い付かない。 何故酒場の看板娘が、わざわざ危険なハンターに職を移すのか。そして何故昨日今日会ったばかりの俺と、仲良く飯を食おうとしてるのか。 何故、何故……。

2017-08-17 18:31:09
gori@創作 @gorryyyyyy

そうこう考えている内に、ファルトの目の前には木の器に注がれた具沢山のスープと、厚切りのパンがランプに照らされていた。

2017-08-17 18:31:57
gori@創作 @gorryyyyyy

出来上がったスープと、女を交互に見遣る。彼女は意地悪な笑みを浮かべていた。 「嫌いなモノでも入ってた?」 いや、と小さく情けない返事をし、スープをひと口啜る。

2017-08-17 18:32:32
gori@創作 @gorryyyyyy

動きが止まり、余りの美味さに仰天したファルトの表情を見て、女は肩を上げて微笑む。

2017-08-17 18:32:55
gori@創作 @gorryyyyyy

「———Lamia。」 「え?」

2017-08-17 18:33:20
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