「『最悪』の医療の歴史」から考える偽医学的なものについて

末尾に感想つけまして本まとめはフィニッシュです。 今から考えれば恐ろしい「医療」の数々ですが、当時は真面目にこれが効くと思われていたわけで、「偽医学」とはちょっと違うかもしれませんが、現代のそれに通じるものもあるかも知れないということでタイトルはそのままにしておきます。 他の読書記録はこちら→ https://togetter.com/li/1144604
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波島想太 @ele_cat_namy

【本棚登録】『「最悪」の医療の歴史』ネイサン ベロフスキー booklog.jp/item/1/4562049… #booklog

2017-09-06 09:50:01
「最悪」の医療の歴史

ネイサン ベロフスキー

波島想太 @ele_cat_namy

(忘れる前に追記しておくと、本書は学術書ではなく、各エピソードの出典も細かく示されているわけではないので、この本自体の信憑性もそれなりであります。たぶんちゃんと掘り下げれば検証もできると思いますので、興味を持たれましたらチャレンジしてみてください。)

2017-09-06 21:11:39

はじめに

波島想太 @ele_cat_namy

「この本に取り上げたのは、新米や偽医者ではなく、多くの本物の医師が正しいと信じていた考え方や治療法であり」冒頭にあるこの言葉だけでもう悪い予感しかしない本だ。しかし読もう。

2017-09-06 09:56:58
波島想太 @ele_cat_namy

「古代ギリシア時代からリンカーンの頃まで、医療は人間に益より害を与えることの方が多く、助けるより痛めつけることの方が多かった」 20世紀になってやっと医療は前進を始めるが、それまでに思いつきでなされる「医療行為」はあまりに多かった。そうした「治療」の歴史を本書では取り上げている。

2017-09-06 10:02:53

古代の医療

波島想太 @ele_cat_namy

私たちが(少なくとも西洋医学の範囲で)真の医学と考えるものは、古代ギリシアのヒポクラテスに始まる。神頼みではなく、過去の知見に基づき治療を行うことで呪術から医学へと脱皮させたのである。だがヒポクラテスも完全だったわけではなく、病気は「四体液(血液、黒胆汁、黄胆汁、粘液)」の、

2017-09-06 10:07:22
波島想太 @ele_cat_namy

バランスが崩れることで起きると信じていて、この説は19世紀までのトンデモ治療に結び付いている。それでも医学は少しずつでも発展し、ヒポクラテスの数百年後、解剖学者ガレノスが登場する。人の解剖が禁じられていた当時、主に豚の解剖で生物の体内構造を明らかにした。

2017-09-06 10:10:35
波島想太 @ele_cat_namy

これからそんなヒポクラテス時代の「医療」を紹介するが、「いずれもやがて出現するもっと変な医療の先駆けと言える」と指摘する。

2017-09-06 10:14:05
波島想太 @ele_cat_namy

バビロニアにおいて、病人は広場に横たえられた。通行人はその病人から話を聞き、過去に自分が同じ症状があれば、その時に試したことを教えた。まあ役に立たない。バビロニアにはシャーマンも医師もいたが、シャーマンの方が重視されていた。シャーマンは患者の私生活を洗い出し、原因を探した。

2017-09-06 10:18:44
波島想太 @ele_cat_namy

「病気を追い払うため…革袋の中で薬草を混ぜ合わせもした。そこに黒い犬の毛や経血で汚れたぼろ布を入れることもあったらしい。豚の糞を首に巻くようにと書かれた粘土板や、歯ぎしりには人間の頭蓋骨を横に置いて七日間寝ること、その間一晩に七回頭蓋骨にキスし、なめるようにと記した粘土板もある」

2017-09-06 10:22:44
波島想太 @ele_cat_namy

古代エジプトでは、頭痛の治療にガチョウの脂身に雄ロバの肝臓を少し加えたものを目にすり込む。歯痛にはネズミの死体を喉に押し込む。 白内障には砕いて熱したガラスを目に注ぎ入れた(これは実際に効果があったと記録されている)。ライオンやカバなどの脂肪を混ぜ合わせたものは禿治療に使われた。

2017-09-06 10:26:12
波島想太 @ele_cat_namy

(古代エジプト人も「ハゲは恥ずかしいもの」と考えていたのだろうか。)

2017-09-06 10:27:27

※「ハゲ」についての認識について
以下の通り少なくともギリシア人はハゲを「治すべきもの」と考えていたようです。

藤村シシン🏛 @s_i_s_i_n

…碑文の続きに戻って、以下の症例ごとにアポロン神たちがどういう治療を施したかが書いてある。長大なので一部抜粋。 「患者1:5年間妊娠状態にある女性 2.3年間妊娠状態にある女性 3.指が動かない男性 4.片眼が見えない女性 5.声の出せない少年…(続) #神々のカルテを読む

2014-06-28 13:57:19
藤村シシン🏛 @s_i_s_i_n

(続) 7.医療費を横領するとどうなるか 8.医療費を減額したい場合 11.神の治療室を覗こうとするとどうなるか 12.槍が顎に刺さった男 13.飲み物にヒルを入れられた男 14.尿道結石 19.ハゲ ……「ハゲは病気!」という古代ギリシャ人、衝撃の見解。 #神々のカルテを読む

2014-06-28 14:01:15
まとめ 医神のカルテを読む~『アポロンとアスクレピオスの治療録』に見る古代ギリシャの尿道結石、薄毛の悩み エピダウロスの医療神殿に建つ『アポロンとアスクレピオス神による治療録』を実際に読み、そこから見えてくる古代ギリシャの医療事情を語っています。 (古代ギリシャ史、ギリシャ神話が専門の藤村氏による「#神々のカルテを読む」タグを纏めさせて頂きました。) 84408 pv 2120 9 users 55

↑挿入ここまで

波島想太 @ele_cat_namy

「治療」されるより素直に死んだ方がよさそうな古代エジプトの医療事情であるが、誰もが死後の世界は現世よりもよいものと信じており、それが何よりの治療であった。

2017-09-06 10:29:21
波島想太 @ele_cat_namy

古代ギリシアの話。「ソクレスはディオドロスの曲がった背中をまっすぐにすると約束し…硬い石板を三枚、曲がった背骨の上に積み重ねた。ディオドロスは押しつぶされて死んだが、定規のようにまっすぐになっていた(ギリシア詩文選 第11巻120)」暗黒一休さんのような有り様である。

2017-09-06 10:33:36
波島想太 @ele_cat_namy

「どういうわけかギリシア人は、痔についてたくさんそれも詳細に書き残している」とある。ヒポクラテスは患部を「熱した鉄片で焼く」「指でむしり取る」などとしている。殺す気か。 痔は失恋と関連があるとも考えられていて、ガレノスはうつ病を「痔を切開すれば治る」と宣言していた。

2017-09-06 10:37:10

※「ギリシア人が痔に詳しかった理由」が分かるかもしれないツイートがありましたので追加しておきます。

藤村シシン🏛 @s_i_s_i_n

古代人の他愛ない壁の落書きを読んでみたい、誤字まみれの冴えない言葉でもいい、生の古代人の声が聴きたい!と思って古代ギリシャ語を学び始めたけど、いざ落書きが読めるようになると「あの少年の股で素股したい」とか「あの男を犯すしかない…好き」とかろくでもない言葉で溢れている事に気づいた。

2014-04-27 23:07:35
藤村シシン🏛 @s_i_s_i_n

一番印象的だった古代ギリシャ人の落書きは、博物館に収蔵されてるすごい真面目な古代の壺に、「あの男のケツの穴はこの壺の口みたいにユルユルだったぜ!ヒャッハー!」みたいな事が殴り書きされてた奴。思わず笑いそうになった。

2014-04-27 23:38:32
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