- somali_bleu
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デビューして間もない頃、東野圭吾さんに「3年間いい小説をたくさん書きなさい。3年後から文庫化されるようになって経済的に安定するから」と言われた。実際そのとおりになった。でも今はその作家モデルは崩壊した。最初から文庫で出るものが多くなり、しかも部数は1/3近くまで減っている。
2017-09-17 18:11:25一方で新人賞の数は格段に増え、デビューするひとも増えた。だけど前述のような理由で安定した職業ではなくなり、デビュー作だけで消えていくひともかなりいる。作家そのものが生鮮食料品のようになってしまった。
2017-09-17 18:15:40こんな時代に作家であり続けようとするためには、それなりの戦術と努力が必要となる。最近若手の作家さんに長く続ける秘訣を訊かれると、いつも「作家は個人事業主。気持ちは中小企業の社長のつもりで仕事をするように」と言っている。生産だけでなく営業も福利厚生も自分でしなければならない。
2017-09-17 18:20:15最新刊『残心 凛の弦音』(光文社)発売中。 小説、ゲームシナリオ、漫画原作など、好き嫌いなくなんでも書きます。長文倉庫:blog.textt.net/abiko/
【RT】我々がデビューした頃でさえ、ひとつ前の世代の人からは「月刊誌連載があれば、原稿料と本が出たときの印税で食える」みたいな話があった。物価はあがったけれど、雑誌原稿料はあがらなかったのだ(相対的に昔の原稿料が高かった)。今では連載媒体自体減ってるしね……。
2017-09-17 19:17:48@makqui 「人と話したくないので自分ひとりでできる仕事を」という理由で物書きを目指すひともいるようですが、実際はかなりコミュニケーション能力を必要としますよね。
2017-09-17 21:15:45昨日「最初から文庫で出るものが多く」なったとツイートしたけど、その理由は単行本(ハードカバー&ソフトカバー)が絶望的に売れなくなったから。ノベルスは存在さえ消えかけている。
2017-09-18 11:23:02多くのひとは「〇〇万部突破!」という広告しか見ないからわかりにくいけど、売れているのはほんの一部。以前は裾野(そこそこ売れてるもの)があったけど、今は皆無。言ってみれば富士山ではなくスカイツリーみたいに売れてる本が際立っているだけ。
2017-09-18 11:25:40@tadashi_ohta 消費者側からすると文庫の方がスペースを取らず助かります。 服のポケットにも入りますから、持ち運びに便利なんです。
2017-09-18 11:34:34@dZYWrWnJodpAzEg 利便性とコストだけから言えば文庫がいいに決まってるんです。でも本というものはもともと「物」としても価値を持つものでした。見た目、手触り、ページをめくる感触、そして何よりも「その本を自分が手にしている実感」。それに価値を感じないひとが多くなった。
2017-09-18 11:45:05そもそも文庫というのは「本の廉価版」でしかなかった。気軽に持ち歩きして読んで捨てる。消費するものだった。でも今は本そのものに対する価値に重きを置かれなくなったため「文庫でいいじゃん」というひとが増えた。
2017-09-18 11:47:37それに文庫って消費品にしては耐久性がありすぎて、何十年も保ってしまう。だから今は古い文庫本そのものにも古本的価値が出てきた。ますます単行本の価値がわからなくなってしまった。
2017-09-18 11:49:21@magoi_overhead 日本の製本技術が優れているからなのか、誠実に作りすぎているからなのかわかりませんが、丈夫ですよね。
2017-09-18 11:54:0380年代末から現在にかけての少女小説、ファンタジー小説、BL、ラノベといった当時の新興市場の推移にこうした流れはすでに明確に現れていて、どうやら市場での選択肢が一定数を超えると、「みんなが読む本」と「誰かしか読まない本」に二極化して、二番手以降の売れ行きががくっと下がる。>RT
2017-09-18 14:30:25「誰かしか読まない本」は一定数で下げ止まるからニッチ市場として成立もしていたのだけれど、そこにさらに参入(細分化)して結局、選択肢が増えすぎて売れなくなっていくという流れではないかと思っている。
2017-09-18 14:32:47文芸書の不振以上に落ち込みが激しいノベルスは、おそらくは09年に団塊世代が大量に定年退職してしまったことが影響しているのだと思う。ノベルスは通勤時にあの世代の人たちが読んでいた部数がかなりあるはずだし、書籍というものは哀しいかな、多くは世代とともに消えていくものだと思っている。
2017-09-18 14:36:01昨日今日とツイートした出版業界の話、最初から文庫でデビューしてきたひとや最近の読者には「何のことやら」みたいだったようだ。なんかバブル時代の自慢話をするおじさんみたいになってしまった。でも僕がデビューする前はもっとすごかったらしい。新聞連載できたら家が建つ、とか。
2017-09-18 16:41:4460年生まれ。94年日本推理作家協会賞受賞。鈴木輝一郎小説講座は乱歩賞・横溝賞など全国屈指のデビュー実績。新刊「何がなんでも長編小説が書きたい!」発売中。紙書籍のみの発売なので数に限りがあります。購入はお早めに。amazonは> amzn.to/3DY5PFN