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2017年9月25日

色の見え方 言語と脳の認識の関係

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Podoro @podoron

『色の見え方 言語と脳の認識の関係』 過去30年で,日本人は「青/水色」を分けて認識するようになったという研究結果。しかし,古語の「青」は青と緑の両方を含んだ色だった。 では,言語(色名)は色認識に影響するのか?脳はどう認識しているか? 研究結果をいくつか簡単にまとめます。1/

2017-09-23 22:13:27
Podoro @podoron

研究では,日本人の実験参加者に330色の色票を色カテゴリに仕分けて貰った所,概ね19色に分ける事が分かった他,98%が「水色」を青とは別のカテゴリーとして使用した。30年前の同様の研究では77%が「青」に含めており,日本人の中で,ここ30年で青/水色が分離した事が分かります。2/ pic.twitter.com/fynViX59bw

2017-09-23 22:17:09
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Podoro @podoron

古事記に出てくるのは「黒,白,赤,青」の4色のみですが,古語の「青」は水色どころか青と緑の両方を含んでいたと考えられています。 academist-cf.com/journal/?p=5004 では,例えば,虹の色数は言語によって違うが,言語の色カテゴリが違うと見ている色の認識も変わるのか?3/

2017-09-23 22:23:08
リンク academist Journal 脳のなかの色、言葉のなかの色 – 「青々とした緑」という言葉のウラにあるもの 脳のなかの色、言葉のなかの色 – 「青々とした緑」という言葉のウラにあるもの 4 users 95
Podoro @podoron

「人の思考は必ず言語を用いるのだから,思考は言語の影響を受ける。言語が人が認知する世界に影響,規定する」というのがサピア=ウォーフの仮説(言語相対論)。文化によって色の見え方が変わるという説。今年,映画『メッセージ』にも出てきましたが,1930年代に出て,一世を風靡した理論。4/

2017-09-23 22:29:53
Podoro @podoron

しかし, ・言語によって色の名前の数は違うが,増えていく色の順番が決まっている ・言語の色数が違っても,色名が2,3しかない言語話者でも,色カテゴリの中心として選ぶ色(e.g.赤銅色やピンクでなく「赤」)はほぼ同じ という研究結果(Berlin&Kay, 1967)が出され,5/

2017-09-23 22:33:52
Podoro @podoron

サピア=ウォーフの仮説は否定されました。 言語の違いにも関わらず共通の強い法則性があるのだから,色の見え方は文化として獲得するのではなく,自然に生まれつき決まっているという訳です。 色の増え方は,“白・黒⇒赤⇒緑/黄⇒青”で,例外もあるが,ほとんどの言語で強い法則性あり。6/

2017-09-23 22:41:19
Podoro @podoron

実際に,ホメロスの『イリアス』『オデュッセイア』,旧約聖書,古代インドのヴェーダ,コーランなどには,空などが何度となく描写されるにも関わらず,「青」の色名は全くないし数回しか出てきません。 ちなみに,白・黒(明るい暗い)の次に言語に現れる「赤」の語源は大半の言語で”血”。7/

2017-09-23 22:47:31
Podoro @podoron

原色の中で「青」が最も遅いのは,自然界に純粋な「青」色は少なく,赤とは逆に青の顔料の作成は非常に難しい事などが影響していると推測されています。 余談ですが,古語の「青」の影響か,日本語では現代でも「青信号」や「青々とした緑」の様に緑のことを「青」と呼びますが,実際に,8/

2017-09-23 22:54:41
Podoro @podoron

日本の青信号は米国のものより青く作られています。米国から信号機を取り入れた時は緑でしたが,言葉に現実の方を寄せたという例。 と言う訳で,「サピア=ウォーフの仮説は,魅力的だが否定された説」として知っている人も多いと思いますが,半世紀前に否定されてから更に研究は進んでいます。9/

2017-09-23 23:00:02
Podoro @podoron

例えば,青と水色は英語ではdarker blues/lighter bluesと同じblueの濃淡なのに対し,ロシア語ではsiniy/goluboyと別の色名がつきます。 これを利用し,図の左右のどちらが上と同じ色かを左右ボタンで選ぶ実験をロシア語話者&英語話者にさせた所,10/ pic.twitter.com/YjqbUXuLz0

2017-09-23 23:08:44
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Podoro @podoron

青のスペクトラム上でロシア語話者がsiniy/goluboyに分けた所と,英語話者がdarker/lighter bluesに分けた所はほぼ同じにも関わらず, ロシア語話者は左右の色が同じ色名の範囲の時より,siniy/goluboyに分かれている時の答えるスピードが速い。11/ pic.twitter.com/e8Ew2Uxe53

2017-09-23 23:10:59
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Podoro @podoron

英語話者ではその効果がない,という結果が出ました。言語の色カテゴリーの違いが,色の知覚に影響しているという研究結果です。 pnas.org/content/104/19… この他にも,色に限らず,様々な面で言語の違いが認知に影響するという研究結果が近年では多数出ています。12/

2017-09-23 23:13:18
Podoro @podoron

言語と認知の関係,言語相対論の研究は,文化で決まる⇒生まれつき決まってる⇒ときて,現在は「人の認知は大枠は生まれつき決まってるが,言語が影響する」という所。 ※ただし,影響は細かな部分で,「言語で論理性が決まる。英語を学ぶと論理的になる」の様な研究結果は今の所ありません。13/

2017-09-23 23:15:51
Podoro @podoron

言語相対論の現在の研究結果はAneta Pavlenkoの著作などを astro.temple.edu/~apavlenk/book… 色を中心に,言語相対論の現在までの歴史の科学読み物なら,『言語が違えば、世界も違って見えるわけ』などをどぞ。14/amazon.co.jp//dp/4772695338

2017-09-23 23:23:39
リンク www.amazon.co.jp Amazon | 言語が違えば、世界も違って見えるわけ | ガイ ドイッチャー, Guy Deutscher, 椋田 直子 通販 Amazon配送商品なら言語が違えば、世界も違って見えるわけが通常配送無料。更にAmazonならポイント還元本が多数。ガイ ドイッチャー, Guy Deutscher, 椋田 直子作品ほか、お急ぎ便対象商品は当日お届けも可能。 36
Podoro @podoron

ホメロスの詩は「葡萄色の海」「スミレ色の羊」など色彩感覚が変⇒盲目だった?⇒(色弱の発見)色弱だった?⇒他言語の古文書にも「青」ない⇒(進化論登場)人の視覚の進化?⇒(色数少ない言語発見)言語の発展⇒言語相対論 の流れですね。15/twitter.com/George_Ohashi/…

2017-09-24 22:43:27
Podoro @podoron

「言語と色」の考察、言語相対論の歴史の話の出発点がホメロスの詩にはなってますが、ホメロスないし当時のギリシャ語の色彩感覚を解き明かすことは主題ではなく、話の種に過ぎないので、ホメロス個人か否かの問題を指摘し云々する意義はほぼないかと。文学・古ギリシャ語研究なら話は別ですが。16/

2017-09-24 22:53:26
Podoro @podoron

興味深いやり取りですね。乳児の色認識の研究の様に認知の基盤がある、そこに言語が影響する。しかし、影響の程は理屈はいくらでもこねられるので、実際にどの様な影響があるか測る為に心理言語学系の研究が積み重ねられている、という所ですね。17/twitter.com/George_Ohashi/…

2017-09-24 23:28:30
Podoro @podoron

『言語が違えば、~』の内容は色の研究中心ですが、言語相対論の研究では、例えば、”主語を明確にする言語の話者は、省略可能な言語話者より、動作主を覚えてる”といった研究結果が出てます。他の例はPavlenko本の書評あるのでどうぞ。18/google.co.jp/url?sa=t&rct=j…

2017-09-24 23:39:11
WIRED.jp @wired_jp

使う言語が「世界の見え方」を決めている:研究結果|WIRED.jp wired.jp/2015/05/18/lan… #アーカイヴ記事 pic.twitter.com/MgGi0Rufga

2016-05-17 18:35:08
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リンク WIRED.jp 使う言語が「世界の見え方」を決めている:研究結果 「言語が変われば周りの世界も違って見える」ということが証明された。同じ人でも、そのときに使っている言語によって物事の捉え方が変わってくるのだという。 651 users 8868

コメント

島村鰐 @wani_shima 2017年9月26日
『”主語を明確にする言語の話者は、省略可能な言語話者より、動作主を覚えてる”といった研究結果が出てます』ほう
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サディア・ラボン(DQXのヒエロサロメ、アスカローナ、プクヒルデ) @taddy_frog 2017年9月26日
ニュートンは、虹の色を、7という数字にこだわって、 青を無理やり、青と藍に分けたんでしょうか。
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文里💉💉 @wenly_m 2017年9月26日
日本語には色の名詞が多いけど、それを他の言語で認識しているかどうかの比較研究があれば教えて欲しいかも(緩募
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石部統久 @mototchen 2017年9月26日
taddy_frog 「ニュートンは赤橙黄緑青藍菫といわれる七色の中で藍(indigo)を確認できたわけではなく、眼の良い弟子が確認したことになっている。それは明らかに西洋音階の七音がまず頭の中にあって、無理やり見えない色を見出したと言ってよい。もちろん、色はグラデーションであるので、その境界線は厳密には民族や人によって違うのであるが、概ね6色がはっきり見える境界線」http://shadowtimes.hatenablog.com/entry/2015/10/07/215513
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落伍者@オッサンだもの @Lacu_GO 2017年9月26日
これ、子供の頃に色数の増えたクレヨン・色鉛筆・絵の具などで、分類の増えた色に馴染んだ世代が大人になった頃からという可能性が……
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毘藍 山風蠱(元16TONS) @moonintears16t 2017年9月26日
この11 色が特にカテゴリカルカラーと呼ばれているらしい( 白・赤・緑・黄・青・茶・オレンジ・紫・ピンク・灰・黒)
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旧屋草一 @togetter_yo_aco 2017年9月26日
ギリシャの「ワイン色の海、緑色の血」は色相表層的なものではなく象徴的な意味での引用だから不適切(古代ギリシャは色相よりも明度と彩度の違いを色として認識していたけど)
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Yu Yamaguchi @Yu_Yamaguchi_ 2017年9月26日
色彩は、色相・彩度・明度から成りますが、古代の我が国では、白黒は明度、赤青は彩度の大小を示していた、と言われていますね。つまり色相(一般に言われる可視光の周波数の違いによる色の違い)の違いを示す語ではなかったと。http://metalogue.jugem.jp/?eid=2492
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ㇶ ㇱ゛ㇼ @hijirhy 2017年9月26日
「日本の青信号は米国のものより青く作られています…言葉に現実の方を寄せたという例」って書いてあるけど、信号が青っぽくなったのは色覚異常への対応だって聞いたけど、違ったのかな?
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岡一輝 @okaikki 2017年9月26日
赤いはアカるい、青いはアワい?
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石部統久 @mototchen 2017年9月26日
「ギリシャ神話に限ったことではなかった。イスラム教の聖典「コーラン」にも、古代中国の物語にも、ヘブライ語版の「聖書」にも“ブルー”は出てこないと、ドイツの文献学者、ラザルス・ゲイナー氏は主張」 古代人は“ブルー”が見えなかった!? ~青色の認識でわかる、色と言語の不思議~ http://tocana.jp/2015/03/post_5958.html @tocanalandさんから
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moti @gomakich 2017年9月27日
これはちょっと違うかなあ。 無学な一般人が暖色をあか、寒色をあおと総称していただけでシアンブルーを認識していない訳じゃないと思う 水色という言葉以前から浅葱色という言葉があったように中国から茶葉が伝来する前から茶色のタンニン染めはあったし北ヨーロッパもオレンジ伝来前からオレンジ色を使っていた むしろプロの世界だけで行われていた色彩用語の細分化が戦後の美術教育によって一般化しただけだと
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nekodaisuke @nekodaisuke1 2017年9月27日
いやいやいや、言葉がないから区別できないってことはないんじゃ?説明に苦労するってだけの話で。白黒赤青は明示的に色のことだからしろい、あかい、あおい、あかいと、四色は「い」がつくがほかは無理(きいろいとか変則的なのはあるけど)。ほかは物から持ってきてるわけで。緑だって本来は色の名前ではなかった。
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ゆゆ @yuyu_news 2017年9月27日
緑の葉っぱは「あお」。黒い毛は馬なら「あお」、人間なら「みどりなす黒髪」。赤ちゃんは「みどりご」。漢語だけど「紅顔の美少年」。基本色は「若い」「成熟した」「血の気がある」とかの状態を示すものだったりする。細分化した色の名前は染料由来が多いので、色の名称固定は染色技術との絡みが大きいと思う。
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sokuoku @sokuoku 2017年9月27日
大昔は青と緑の区別無い(「緑」という言葉が無い)かもだけど、藍染めが発達してきた江戸時代からは青がかなり細かく分けられているハズhttps://irocore.com/category/blue/
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akiko tsubakita @ATsubakita 2017年9月28日
脳の中での青の色(20色あるうちで)は色の知覚として全ての色の違いは認識できるが、表現するときは自分の知っている言語でしか伝えられない。言語の発展も関係あるし、表現能力とも関係し、日本人でしか伝えられない色感覚もあり、また外国人でしか伝えられない色もあり、色は「魔術」です。
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石部統久 @mototchen 2017年9月28日
色覚個人差がすごいのです。 1億以上の色を知覚できる「スーパービジョン」を持つ女性が12%もいる可能性 https://www.google.co.jp/amp/gigazine.net/amp/20120625-super-human-vision-tetrachromats
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nob_asahi @nob_asahi 2017年9月28日
日本語には色名が少なく、色を表す単語の殆どが「例え」である訳だが、それでも色彩感覚に差違は生じていないのだろうか。日本語分化圏内でも違いが生まれている可能性はないだろうか。なかなか興味深い。
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Podoro @podoron 2017年9月28日
nekodaisuke1 解説の中にありますが、「言葉がないから区別できない」は、Berlin&Kay, 1967で否定されています。1つ目のリンクの『脳のなかの色、言葉のなかの色』の記事にも、まだ言葉を持たぬ乳児が青と緑を区別してる事が脳スキャンで分かったという研究があります。  【知覚・区別は生まれつき出来る、しかし、認識の仕方には言語の影響を受ける】というのが解説後半の話です。
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Podoro @podoron 2017年9月28日
古事記(712年)では「白、黒、赤、青」のみだったのが、万葉集(759年)では色数がぐんと増えてるそうなので、その50年ほどでも日本語の色名は大きく変わったようです。  あくまでサピア=ウォーフの仮説/言語相対論の題材として色認識の話でまとめただけなので、日本語の色名の変化の詳しい事はこれ以上は知らないのでご容赦を。
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Bauer @WorldLeaf 2017年9月28日
ああ、最近流行りのやつだよ。虹の色の数は国によって違うとか。現実が言語に従う、というトリックというか仕組みで異能力や魔法の説明に使うの。好き
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▲noby▲ @WataruNRT 2017年9月28日
こういうのこそ、ちゃんとまとまった状態で見たいわ。誰か本にして。
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Podoro @podoron 2017年10月8日
あと、「その言語に“色名”が存在する」と、「一般大衆がその“色名”を認識・意識している」かは別の問題なのでご注意を。“撫子色”など和色の色名は存在していても、ほとんどの人は聞いた事もないといった具合に。  1つ目の研究で調べたのは、「一般の認識」の方ですね。
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UFO教授 (藤木文彦 Fumihiko Fujiki) @UFOprofessor 2017年10月14日
2005年ころに、「画像の19色圧縮技法の研究」という卒業論文を書かせたことを思い出した。もちろん、色彩理論や、アニメの配色理論など、各種の理論的な裏付けがあってのもので、これにより、サムネイル程度であれば、256色圧縮よりはるかに効率的に圧縮できることを示したのだけれど、記憶装置が安くなっちゃって今では意味なくなってしまった。
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king-biscuit @kingbiscuitSIU 2018年4月11日
素朴なギモン。空は概ねどの地域でもああいう色だと思うんだが、その色を認知する言葉がある時代まで出てこなかったというのは、なんでなんやろ。
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