編集部イチオシ

色の見え方 言語と脳の認識の関係

219
Podoro @podoron

『色の見え方 言語と脳の認識の関係』 過去30年で,日本人は「青/水色」を分けて認識するようになったという研究結果。しかし,古語の「青」は青と緑の両方を含んだ色だった。 では,言語(色名)は色認識に影響するのか?脳はどう認識しているか? 研究結果をいくつか簡単にまとめます。1/

2017-09-23 22:13:27
Podoro @podoron

研究では,日本人の実験参加者に330色の色票を色カテゴリに仕分けて貰った所,概ね19色に分ける事が分かった他,98%が「水色」を青とは別のカテゴリーとして使用した。30年前の同様の研究では77%が「青」に含めており,日本人の中で,ここ30年で青/水色が分離した事が分かります。2/ pic.twitter.com/fynViX59bw

2017-09-23 22:17:09
拡大
Podoro @podoron

古事記に出てくるのは「黒,白,赤,青」の4色のみですが,古語の「青」は水色どころか青と緑の両方を含んでいたと考えられています。 academist-cf.com/journal/?p=5004 では,例えば,虹の色数は言語によって違うが,言語の色カテゴリが違うと見ている色の認識も変わるのか?3/

2017-09-23 22:23:08
リンク academist Journal 脳のなかの色、言葉のなかの色 – 「青々とした緑」という言葉のウラにあるもの 脳のなかの色、言葉のなかの色 – 「青々とした緑」という言葉のウラにあるもの 4 users 95
Podoro @podoron

「人の思考は必ず言語を用いるのだから,思考は言語の影響を受ける。言語が人が認知する世界に影響,規定する」というのがサピア=ウォーフの仮説(言語相対論)。文化によって色の見え方が変わるという説。今年,映画『メッセージ』にも出てきましたが,1930年代に出て,一世を風靡した理論。4/

2017-09-23 22:29:53
Podoro @podoron

しかし, ・言語によって色の名前の数は違うが,増えていく色の順番が決まっている ・言語の色数が違っても,色名が2,3しかない言語話者でも,色カテゴリの中心として選ぶ色(e.g.赤銅色やピンクでなく「赤」)はほぼ同じ という研究結果(Berlin&Kay, 1967)が出され,5/

2017-09-23 22:33:52
Podoro @podoron

サピア=ウォーフの仮説は否定されました。 言語の違いにも関わらず共通の強い法則性があるのだから,色の見え方は文化として獲得するのではなく,自然に生まれつき決まっているという訳です。 色の増え方は,“白・黒⇒赤⇒緑/黄⇒青”で,例外もあるが,ほとんどの言語で強い法則性あり。6/

2017-09-23 22:41:19
Podoro @podoron

実際に,ホメロスの『イリアス』『オデュッセイア』,旧約聖書,古代インドのヴェーダ,コーランなどには,空などが何度となく描写されるにも関わらず,「青」の色名は全くないし数回しか出てきません。 ちなみに,白・黒(明るい暗い)の次に言語に現れる「赤」の語源は大半の言語で”血”。7/

2017-09-23 22:47:31
Podoro @podoron

原色の中で「青」が最も遅いのは,自然界に純粋な「青」色は少なく,赤とは逆に青の顔料の作成は非常に難しい事などが影響していると推測されています。 余談ですが,古語の「青」の影響か,日本語では現代でも「青信号」や「青々とした緑」の様に緑のことを「青」と呼びますが,実際に,8/

2017-09-23 22:54:41
Podoro @podoron

日本の青信号は米国のものより青く作られています。米国から信号機を取り入れた時は緑でしたが,言葉に現実の方を寄せたという例。 と言う訳で,「サピア=ウォーフの仮説は,魅力的だが否定された説」として知っている人も多いと思いますが,半世紀前に否定されてから更に研究は進んでいます。9/

2017-09-23 23:00:02
Podoro @podoron

例えば,青と水色は英語ではdarker blues/lighter bluesと同じblueの濃淡なのに対し,ロシア語ではsiniy/goluboyと別の色名がつきます。 これを利用し,図の左右のどちらが上と同じ色かを左右ボタンで選ぶ実験をロシア語話者&英語話者にさせた所,10/ pic.twitter.com/YjqbUXuLz0

2017-09-23 23:08:44
拡大
Podoro @podoron

青のスペクトラム上でロシア語話者がsiniy/goluboyに分けた所と,英語話者がdarker/lighter bluesに分けた所はほぼ同じにも関わらず, ロシア語話者は左右の色が同じ色名の範囲の時より,siniy/goluboyに分かれている時の答えるスピードが速い。11/ pic.twitter.com/e8Ew2Uxe53

2017-09-23 23:10:59
拡大
Podoro @podoron

英語話者ではその効果がない,という結果が出ました。言語の色カテゴリーの違いが,色の知覚に影響しているという研究結果です。 pnas.org/content/104/19… この他にも,色に限らず,様々な面で言語の違いが認知に影響するという研究結果が近年では多数出ています。12/

2017-09-23 23:13:18
Podoro @podoron

言語と認知の関係,言語相対論の研究は,文化で決まる⇒生まれつき決まってる⇒ときて,現在は「人の認知は大枠は生まれつき決まってるが,言語が影響する」という所。 ※ただし,影響は細かな部分で,「言語で論理性が決まる。英語を学ぶと論理的になる」の様な研究結果は今の所ありません。13/

2017-09-23 23:15:51
Podoro @podoron

言語相対論の現在の研究結果はAneta Pavlenkoの著作などを astro.temple.edu/~apavlenk/book… 色を中心に,言語相対論の現在までの歴史の科学読み物なら,『言語が違えば、世界も違って見えるわけ』などをどぞ。14/amazon.co.jp//dp/4772695338

2017-09-23 23:23:39
リンク www.amazon.co.jp Amazon | 言語が違えば、世界も違って見えるわけ | ガイ ドイッチャー, Guy Deutscher, 椋田 直子 通販 Amazon配送商品なら言語が違えば、世界も違って見えるわけが通常配送無料。更にAmazonならポイント還元本が多数。ガイ ドイッチャー, Guy Deutscher, 椋田 直子作品ほか、お急ぎ便対象商品は当日お届けも可能。 36
Podoro @podoron

ホメロスの詩は「葡萄色の海」「スミレ色の羊」など色彩感覚が変⇒盲目だった?⇒(色弱の発見)色弱だった?⇒他言語の古文書にも「青」ない⇒(進化論登場)人の視覚の進化?⇒(色数少ない言語発見)言語の発展⇒言語相対論 の流れですね。15/twitter.com/George_Ohashi/…

2017-09-24 22:43:27
大橋 穣二/『英文構造マンダラ(仮)』鋭意執筆中 @George_Ohashi

@podoron よさげですね。リンク先のレビューに「…伝承ではホメロスは盲目の詩人ということになっていたと思います。彼の叙事詩の色彩に関しては、ギリシア人云々ではなくホメロス個人に特有の問題だという可能性を、この本では簡単に除外出来ているのでしょうか。」というコメントがあって考えさせられました。

2017-09-23 23:53:39
Podoro @podoron

「言語と色」の考察、言語相対論の歴史の話の出発点がホメロスの詩にはなってますが、ホメロスないし当時のギリシャ語の色彩感覚を解き明かすことは主題ではなく、話の種に過ぎないので、ホメロス個人か否かの問題を指摘し云々する意義はほぼないかと。文学・古ギリシャ語研究なら話は別ですが。16/

2017-09-24 22:53:26
Podoro @podoron

興味深いやり取りですね。乳児の色認識の研究の様に認知の基盤がある、そこに言語が影響する。しかし、影響の程は理屈はいくらでもこねられるので、実際にどの様な影響があるか測る為に心理言語学系の研究が積み重ねられている、という所ですね。17/twitter.com/George_Ohashi/…

2017-09-24 23:28:30
大橋 穣二/『英文構造マンダラ(仮)』鋭意執筆中 @George_Ohashi

@podoron 今回の連ツイはとても楽しく読みました。前半は当事者の栗木さんによる FB での投稿も読んでいましたが、後半は私にとっては新しい情報でした。その栗木さんとは、こんな↓ことがキッカケでつながったのでした。何でも書いてみるものです(笑)。 dokomade.seesaa.net/article/433659…

2017-09-24 00:01:43
Podoro @podoron

『言語が違えば、~』の内容は色の研究中心ですが、言語相対論の研究では、例えば、”主語を明確にする言語の話者は、省略可能な言語話者より、動作主を覚えてる”といった研究結果が出てます。他の例はPavlenko本の書評あるのでどうぞ。18/google.co.jp/url?sa=t&rct=j…

2017-09-24 23:39:11
WIRED.jp @wired_jp

使う言語が「世界の見え方」を決めている:研究結果|WIRED.jp wired.jp/2015/05/18/lan… #アーカイヴ記事 pic.twitter.com/MgGi0Rufga

2016-05-17 18:35:08
拡大
リンク WIRED.jp 使う言語が「世界の見え方」を決めている:研究結果 「言語が変われば周りの世界も違って見える」ということが証明された。同じ人でも、そのときに使っている言語によって物事の捉え方が変わってくるのだという。 651 users 8868