Erotic Love ~ side T ~ 透・中学二年/後半

【R18】 小夜子との愛情を深めた夏休みも終わって二学期。二人きりの時間は減っても関係は深まってゆく。 女主人公、小夜子 視点の side S はこちら→ https://togetter.com/li/1177927
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夢乃 @iamdreamers

今まではこの辺りで小夜子さんが玄関を開けたものだけど、今日は出てこない。どうしたのかな。お手洗いかな。僕は大きな玄関ドアの前に立った。門を開けてもらったからといって、いきなり開けたら流石に失礼だろう。握り拳を作って軽くノックする。 #twnovels

2017-12-08 18:23:09
夢乃 @iamdreamers

すぐに、内側からドアが開かれた。そこにいたのは小夜子さんではなく澤名さん。 「お待ちしておりました。どうぞお入りください」 「あ、はい、ありがとうございます」 素敵な笑顔で丁寧にお辞儀してくれる澤名さんに答えて、僕は玄関のホールに入った。 #twnovels

2017-12-08 18:23:29
夢乃 @iamdreamers

ここにも小夜子さんはいない。どうしたんだろう?なんて思いながら靴を脱いで、用意されているスリッパに足を通し、澤名さんに案内されるようにして玄関ホールから大ホールへと入った。 「いらっしゃい、透君」 小夜子さんの声の方に視線を向けて・・・僕は目を見張った。 #twnovels

2017-12-08 18:24:16

T-32. 最高の誕生祝い

夢乃 @iamdreamers

広いホールの二階中央から、左右に弧を描くようにして降りている階段。その右側に降りてくる階段の下の方に、美しい大輪の真紅の花が咲いていた。真っ赤なドレスに身を包み、その顔に優しい微笑みを湛えた小夜子さんの優雅な姿。 #twnovels

2017-12-21 12:39:15
夢乃 @iamdreamers

小夜子さんのすらりとした肢体をぴったりと包んだドレスは絹を思わせる光沢に輝いている。実際、絹かもしれない。脚を隠すスカートも同じ色で、階段を下りる動作に合わせて美しい色合いを放つ。スカートの前は開いていて、脚を動かすたびに中の赤いセパレートストッキングが見える。 #twnovels

2017-12-21 12:39:32
夢乃 @iamdreamers

剥き出しの肩から伸びる細い腕を肘まで覆ったドレスと同じ色の手袋は、中指のリングだけで留められ、小夜子さんの白い手は明るい照明の下に輝いている。背中には大きなリボンを結んでいるらしく、身体の横からリボンが少し見えている。 #twnovels

2017-12-21 12:39:55
夢乃 @iamdreamers

今日は眼鏡をかけておらず、綺麗な顔を晒している。長い艶やかな髪は一つにまとめられ、頭の後ろで結わえられている。頭の左側で前髪を押さえているのは、小夜子さんの誕生日に僕から贈った髪留め。ここだけ、安っぽい・・・はずなんだけど、自然に小夜子さんに溶け込んでいる。 #twnovels

2017-12-21 12:40:16
夢乃 @iamdreamers

髪をあげて剥き出しになっている白く細い首が艶かしい。今まで見た中で、一番綺麗な小夜子さん。僕が見惚れている間に、小夜子さんは階段を下まで降り切って僕の目の前にまで来た。 「少し早いけれど、透君、お誕生日、おめでとう」 小夜子さんの綺麗な声。 #twnovels

2017-12-21 12:40:38
夢乃 @iamdreamers

「え、あ、ありがとう」 あまりに綺麗な小夜子さんを前にして、僕はどぎまぎしながら答えた。気付かれないように心の中で深呼吸して気持ちを落ち着けてから続ける。 「もしかして、今日はこのために呼んでくれたの?」 てっきり、一緒に勉強しよう、ってことだと思ってた。 #twnovels

2017-12-21 12:40:58
夢乃 @iamdreamers

「ええ。本当は誕生日当日が良いのだけれど、平日だから、一足早くお祝いしようと思って」 「どうもありがとう」 もっといろいろお礼の言葉を紡ぎたいけど、感極まってこれしか出てこない。もう、これだけで天にも昇るくらいに嬉しい。 #twnovels

2017-12-21 12:41:18
夢乃 @iamdreamers

嬉しくて嬉しくて、目の前の愛しい人をすぐにも抱き締めたい。でも、澤名さんがすぐそばにいるから我慢我慢。 「さあ、私の部屋に行きましょう。芙美香さん、お願いね」 「はい、かしこまりました」 澤名さんが、彼女も幸せそうな表情で、頭を下げてホールを出て行った。 #twnovels

2017-12-21 12:41:37
夢乃 @iamdreamers

僕は、差し出された小夜子さんの手を取って、一緒に階段を上って行く。 「小夜子さん、その、凄く綺麗」 「うふ、ありがとう」 「僕もきちんとした格好で来ればよかったかな。なんか、釣り合いが取れないね」 と言っても、今の僕には制服くらいしか、フォーマルな服はないけど。 #twnovels

2017-12-21 12:41:56
夢乃 @iamdreamers

「そんなことない。私が透君をおもてなししたいんだから、透君は普段通りでいいの」 そう言う小夜子さんは、いつも以上に素敵な笑顔。この笑顔のためなら何だってしてあげたい、っていう気になる。 「さあ、どうぞ」 部屋の前で手を離して、小夜子さんは開けた扉の中に僕を誘った。 #twnovels

2017-12-21 12:42:15
夢乃 @iamdreamers

部屋は、これまでに訪れたときと雰囲気が違う。特に飾り立てているというわけではないけれど。前に来た時からひと月くらい経っているから変わっていて当然だけど、それだけじゃない感じ。部屋の中央に背の高いテーブルと二つの椅子。テーブルの横にもう一つ小さいテーブル。 #twnovels

2017-12-21 12:42:33
夢乃 @iamdreamers

いつも勉強に使っていた背の低いテーブルやクッションはどこかに片付けられている。テーブルの上には燭台に立てられた一本の蝋燭と、小さいホールケーキ。ケーキに立っている蝋燭の数は十四本、なのかな、やっぱり。フォークとナイフとスプーンと、箸もあるのかな。皿も置いてある。 #twnovels

2017-12-21 12:42:52
夢乃 @iamdreamers

「透君、どうぞ入って」 僕はバッグをドアの傍に置いてスリッパを脱ぎ、小夜子さんに促されるままに部屋の中へと進んで椅子の一つに座った。小夜子さんは、椅子に座る前に燭台ごと蝋燭を持って、卓上ライターで火を灯した。その火を、ケーキの上の蝋燭に移していく。 #twnovels

2017-12-21 12:43:11
夢乃 @iamdreamers

十四本の蝋燭に火が灯ったところで小夜子さんは燭台をテーブルに戻し、掌を振ってその火を消してから僕の向かいに座った。 「それじゃ、改めて、透君、お誕生日、おめでとう」 「どうもありがとう」 「じゃ、ありきたりだけど、蝋燭の火を。・・・あ、ちょっと待って」 #twnovels

2017-12-21 12:43:29
夢乃 @iamdreamers

息を吸い込む僕を制して、小夜子さんは横の小テーブルに置いてあるスマホを操作した。と、南側と東側の窓のカーテンが閉まる。スマホで操作できるのか。凄い。ケーキを前にしてそんなことを考えてしまう。 外からの光が遮断され、蝋燭の火だけが揺れている。 #twnovels

2017-12-21 12:43:47
夢乃 @iamdreamers

そんな暗い光の中でも、小夜子さんの顔は輝いて見えた。 「この方が雰囲気出るよね。改めて、どうぞ」 僕は大きく息を吸い込んで、蝋燭に吹きかけた。円を描くように頭を軽く動かし、一息に吹き消す。ぱちぱちぱち。暗闇の中、小夜子さんの拍手が聞こえた。 #twnovels

2017-12-21 12:44:03
夢乃 @iamdreamers

カーテンが開き、外の光が入ってきた。 「透君、お誕生日、おめでとう」 今日、三回目のお祝いの言葉と同時に、小夜子さんはにこやかな笑顔で両手を僕に差し出した。その手には、綺麗に包装された薄い細長い箱。 「ありがとう」 僕は両手で押し抱くように受け取った。 #twnovels

2017-12-21 12:44:23
夢乃 @iamdreamers

「開けても良い?」 「うん、良いよ」 笑顔の小夜子さんに見つめられながら、僕はリボンを解き、包装紙を剥がした。中の箱を開ける。 「これは・・・ボールペン、じゃないね、シャーペンか」 「うん、一緒に勉強してて、シャーペンが傷んでるな、って思ったから」 #twnovels

2017-12-21 12:44:43
夢乃 @iamdreamers

小学校の時はシャーペン使用禁止だったけど、家では使ってたんだよね。中学に進学してからも新しいのを買わずに同じのをずっと使っていたから、いい加減くたびれてきていた。それを見ていてくれたなんて、それだけでも嬉しい。 「ありがとう。大切に使うよ」 #twnovels

2017-12-21 12:45:01
夢乃 @iamdreamers

「気に入ってくれた?」 「うん、今使ってるのより少し重くて使いやすそう」 左手に握って、軽く動かしてみる。 「うん、いい感じ」 「良かった。男の子に贈り物って初めてだから、悩んじゃって」 小夜子さんからの贈り物を、大切に仕舞ってテーブルに置く。 #twnovels

2017-12-21 12:45:19
夢乃 @iamdreamers

それを見計らったかのように、ドアがノックされた。 「はい、どうぞ」 「失礼します」 小夜子さんが返事すると、入って来たのは澤名さんだった。ワゴンを押している。入り口にワゴンを止めてお盆を取り、絨毯の敷かれた部屋の中に入って来てテーブルにお盆を置いた。 #twnovels

2017-12-21 12:45:37
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