Erotic Love ~ side T ~ 透・中学二年/後半

【R18】 小夜子との愛情を深めた夏休みも終わって二学期。二人きりの時間は減っても関係は深まってゆく。 女主人公、小夜子 視点の side S はこちら→ https://togetter.com/li/1177927
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夢乃 @iamdreamers

特に頻繁に来てくれるのは、部長だった白河先輩と、それに、小夜子さん。二学期に入ってからは、家まで送ることはあっても訪ねたことはまだないけど、週に三、四日は放課後一緒にいる。この時が、今は一番幸せ。部活の間は他の子の手前、べたべたしたりはできないけど。 #twnovels

2017-12-08 18:09:55
夢乃 @iamdreamers

この日は、小夜子さんが部活動に顔を見せていた。ぬいぐるみは小夜子さんとみんなに任せて、僕は粕川さんと二人で動物園の設計・・・というほど大袈裟なものではないけど、狭いテーブルの上をどうやって広大なフィールドに見せれば良いか、試行錯誤の繰り返し。 #twnovels

2017-12-08 18:10:25
夢乃 @iamdreamers

「固定テーブル二つの間にテーブル置いて、全体を緑の布で覆ったらいいかな」 「でもそれだと、真ん中へんの飾り付け大変ですよ。お客さんからも見えにくいですし」 「そっか。うーん、じゃ、どうする?」 「えーと、固定テーブルの真ん中にだけテーブル置いて、H字にすれば」 #twnovels

2017-12-08 18:11:02
夢乃 @iamdreamers

「あ、なるほど。こんな感じね」 ノートに図を描いてみる。 「これなら、どこでも近くから見えるね」 「ですよね。テーブルの間も広いから、移動も問題ないですし」 「うん。それに、テーブルを覆う布を別にしてもいいかな。緑と黄色で草原と砂漠とか」 #twnovel

2017-12-08 18:11:48
夢乃 @iamdreamers

「あたしもそれ思いました。緑一色だと変化に乏しいな、って思ってたから」 「それから、二箇所くらい下に何か置いて丘を作るといいかな」 他の部員の邪魔にならないように声を抑えながら、決めたことをノートに書き込んでいく。さらに、簡単に俯瞰した絵を描きこんで。 #twnovels

2017-12-08 18:12:24
夢乃 @iamdreamers

「ざっとこんな感じかな。後でみんなにも意見聞いて纏めよう」 「・・・先輩、絵、上手ですね」 粕川さんが僕の描いたイラストをまじまじと見ながら言う。 「いや、そんなでもないって。僕の美術の成績、散々だよ?」 「えー、そうは見えませんよー」 #twnovels

2017-12-08 18:12:54
夢乃 @iamdreamers

「これ細かいところ描いてないからさ、誤魔化されてそう見えるだけだって。それに、色彩感覚が壊滅的だから、色塗るともう、見せられたもんじゃないよ」 「そんなことないと思いますけどねぇ」 「それより、向こうは終わったかな。もう良い時間だし」 #twnovels

2017-12-08 18:13:26
夢乃 @iamdreamers

まだ陽は沈んでいないけど、もう五時になる。一時間もしないうちに沈むだろう。 「みんな、キリの良いところで終わって。暗くなる前にそろそろ帰らないと」 はーい、と言う一年生たちの声。みんな素直でよろしい、なんてね。 #twnovels

2017-12-08 18:13:54
夢乃 @iamdreamers

「明後日は最初に、粕川さんと僕で考えた展示のレイアウトをみんなに見てもらうから、そのつもりでね」 「どんな感じですか?」 「明後日のお楽しみ。さ、今日はもう帰る」 みんな、わいわいと道具を仕舞って帰り支度。開けてないけど一応窓の鍵も確認して、僕を最後に家庭科室を出た。 #twnovels

2017-12-08 18:14:25
夢乃 @iamdreamers

昇降口に向かうみんなと別れて、僕は職員室に鍵を返してから外に出た。自転車を転がして、いつも使う東門でなく、西門に向かう。当たり前のように。西門には、これまた当たり前のように小夜子さんが待っていた。 「お待たせ」 「ううん、そんな待ってないよ。行こ」 #twnovels

2017-12-08 18:15:03
夢乃 @iamdreamers

毎日ではないけど、放課後を一緒に過ごした後は小夜子さんを家まで送っている。今や、それが当前になっていて、何も言わなくても小夜子さんは待っていてくれる。短いけれど、二人だけの時間。そうは言っても、往来だから本当の二人きりじゃないけど。それでも、大切な時間。 #twnovels

2017-12-08 18:15:43
夢乃 @iamdreamers

「二学期の初めから文化祭の準備を始めたのって、最初から動物園にするつもりだったから?」 僕の隣を歩きながら、小夜子さんが問いかけてきた。 「動物園にするつもりだったってことはないけど、これにするなら早くからやらないと、とは思ってたよ」 #twnovels

2017-12-08 18:16:09
夢乃 @iamdreamers

「動物園じゃなくても良かったってこと?」 「うん、僕一人の希望を押し通すより、みんなのモチベーションを高めないと活動自体が危ないから。だから、反対が多ければ引っ込めようと思ってた」 「ふうん」 なんだか、意味ありげな小夜子の視線。 #twnovels

2017-12-08 18:16:38
夢乃 @iamdreamers

「ん? どうかした?」 「どうって言うわけじゃないんだけれど、透君、格好良いね」 いきなりそんなことを言われたら、恥ずかしくなってしまう。 「いや、別に、普通でしょ。部長だし」 「うんと、白河さんが透君を部長に指名したときにね、何て言うか・・・」 #twnovels

2017-12-08 18:17:08
夢乃 @iamdreamers

言い淀む小夜子さん。 「僕には荷が重いと思った?」 僕の方からからそう言う。 「まあ、そう。透君には悪いけれど」 「別に悪くないよ。自分でもそう思ってたし。今だってきちんとできてるか不安で不安で」 今のところは上手く回ってるけど、今後もこのまま行けるかどうか。 #twnovels

2017-12-08 18:17:37
夢乃 @iamdreamers

「大丈夫よ。しっかりやってるじゃない。白河さんと与志水先生も前に同じこと言っていたし」 「それでもなぁ、僕に合ってるとは思えなくて。まあ、来年の夏休みまでのことだから、なんとかやってみるよ。やるしかないし」 「しっかりね、部長」 #twnovels

2017-12-08 18:18:05
夢乃 @iamdreamers

笑顔で僕の肩を軽く叩く小夜子さん。 「応援よろしく」 僕も笑って答えた。 #twnovels

2017-12-08 18:18:24

夢乃 @iamdreamers

陽が沈んで間もなく、まだ暗くなる前に小夜子さんの家に着いた。敷地内の電灯の灯りの下、門の前で抱き合って、キスをした。いつものように。 「透君」 「ん、なあに」 別れを告げようとした僕の唇は、小夜子さんの台詞に遮られた。 #twnovels

2017-12-08 18:19:27
夢乃 @iamdreamers

「今度の日曜か月曜、時間ある? お墓詣りとかあるのかな?」 お墓詣り? ああ、次の日曜は秋分の日だっけ。 「ううん、今はどっちも空いてる」 「良かった。それじゃ、日曜、家に来て欲しい、な」 少し頬を染めて言う小夜子さん。 #twnovels

2017-12-08 18:19:58
夢乃 @iamdreamers

そう言えば、最後にお邪魔してからひと月くらい経つのか。小夜子さんのお宅にお邪魔したときはいつも・・・ 「うん、いいよ。前と同じで午後一時でいい?」 「できれば、午前中、十一時くらいに来て欲しい、な」 少し恥ずかしそうな仕草だけど、眼鏡の奥の綺麗な瞳は輝いている。 #twnovels

2017-12-08 18:20:49
夢乃 @iamdreamers

小夜子さんも僕と同じことを考えているのかな。 「解った。十一時ね、ちょっと待って」 僕はスマホに予定を入力した。入れなくても、小夜子さんとの約束なら忘れることはないけど。 「それじゃ、今度の日曜、十一時に来るね」 「うん。待ってる」 #twnovels

2017-12-08 18:21:21
夢乃 @iamdreamers

とは言っても、日曜日が来る前に学校で会うだろうし、またこうして送って来ることもあるだろうけど。まあ、それはそれ、これはこれ。 僕は、小夜子さんともう一度軽く口付けを交わしてから、別れを告げた。 #twnovels

2017-12-08 18:21:44

夢乃 @iamdreamers

日曜日、午前十一時。僕は久しぶりに小夜子さんの家の呼鈴を押した。インターホンから聞こえる家政婦の澤名さんに名前を告げると、小門がかちりと開く。開いた門から中に入り、これまでのように玄関ポーチ脇に自転車を停め、カゴのディバッグを肩に掛けた。 #twnovels

2017-12-08 18:22:35
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