百合ゾン・魔ッ茶ちゃん登場回

魔ッ茶ちゃんの登場回。今回はあの人物の意外な一面が……?
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はんちょ〜 @Hantipede

だが、とーふやはその笑みを遠目に見てただただ背筋を縮み上がらせるしかなかった。直感が告げていた。あれは、自分達には絶対に向けられることはないタイプの笑みだ。『オ゙ォ……オォ゙ゥオ゙!!』怪生物はひときわ強く身を捩る。まるで何かを必死に懇願しているかのような。そして。『オ゙ッ』

2017-12-03 01:37:27
はんちょ〜 @Hantipede

だぱっ。だぱぱっ…。全身真っ黒い体色のクソリプ怪生物の下半身から、そんな水音を立てて、真っ白な粘液塊が垂れ落ちてきた。はんちょ~はそれを眺めてますます口角を嗜虐に吊り上げる。「はァーい、上手にでまちたねー♡どォせ死ぬんですからァ、ぜェんぶ出し切っちゃいましょうねー♡」『オ゙ォ!』

2017-12-03 01:42:48
はんちょ〜 @Hantipede

だぱぱぱ…『オッ』どぽっ…『オッ オッ』とぷ…『オッ……』独特の臭いを放つ、白い粘液。彼女達百合ゾンとはまた異なる者、『それ』がまだ人間(ヒト)であった頃を如実に表す、最後に残った生物性(まともさ)の残滓。それが一滴残らず搾り出されると、『それ』はもうそれっきり、動かなくなった。

2017-12-03 01:49:46
はんちょ〜 @Hantipede

「アハァー……気持ち良すぎて脳神経が軒並み焼き切れちゃいましたかね。当然ですよねェ、血に取って代わるくらいの量、私の淫毒を注ぎ込んじゃったんですからァ♡………やっぱりクソリプ生物になるほどつまんないヤツは最期までつまんなかったですね。とーふやさんのカラダと比べるまでもないです」

2017-12-03 01:54:48
はんちょ〜 @Hantipede

「さよなら、どこの誰とも知らぬ公開オナニー野郎。ザーメン垂れ流しのモノぶら下げたままみっともなく三途を渡って、続きは閻魔様の御前ででもどうぞ?」バツンッ。その言葉を最後に、百足の顎肢が『それ』の首に突き刺さったまま、力を込められ、ねじ切られた。

2017-12-03 02:00:11
はんちょ〜 @Hantipede

……それから、はんちょ~は先ほどと同じように、今度は首と胴体の離れ離れになった『それ』を引き摺って、『東風屋』店内まで戻ってきた。「どくどくウールさァん。お願いします」はんちょ~が一言かけると、巨大ポリバケツの蓋がひとりでに開けられた。はんちょ~は『それ』を躊躇いなく中へ放る。

2017-12-03 02:03:27
はんちょ〜 @Hantipede

中のどくどくウールも彼女の意図を察してか、放り込まれたものを一瞬で溶かして終わらせてくれた。はんちょ~が百足の尻尾を再び仕舞ったのを見計らって、とーふやは魔ッ茶を解放してやった。「!……はんちょ~さん!」「はァい。私は大丈夫ですよォー」彼女はいつものようなニヤニヤ笑いで出迎えた。

2017-12-03 02:08:29
はんちょ〜 @Hantipede

「ったく、一時はどうなるかと思ったぞ」「いやあ申し訳ない。まさか魔ッ茶さんが狙いだったとは」そう言って笑うはんちょ~の額を、とーふやは中指で小突いた。「あいたァ」「あたしが言ってんのはお前のことだよ。ばぁーか。柄にもないことしやがって」「………」はんちょ~は暫しの間、硬直した。

2017-12-03 02:14:21
はんちょ〜 @Hantipede

「ぼふッッッッ」はんちょ~は突然胸の谷間を抑え、耳から白い煙を出した。「は、はんちょ~さんっ!?」「ええ、ええ。大丈夫です。いがしょうさんのような事にはなりませんとも。大丈夫です。ええ……ではこれにて失礼……」はんちょ~が出て行こうとすると、出入口の先にもまた何者かが立っていた。

2017-12-03 02:18:45
はんちょ〜 @Hantipede

「くくろさん」「はんちょ~さん……死体なんで片付けちゃったの……?ひどいよぉ……あたしの食い扶持……」しょぼくれるくくろを前に、はんちょ~は幾らかの紙幣を懐から取り出した。「で、ではこれでなんとか……」「いらない!!あたしお仕事してないもん!」ぷーっと膨れっ面でくくろは拗ねた。

2017-12-03 02:25:08
はんちょ〜 @Hantipede

「そんな子供みたいな拗ね方しないでください……あー、ではお仕事というなら。あれ、片付けてもらえます?」「あれ??」「あれです。死体から飛び散った……えーと、血やら何やら。それならいいでしょう?」「わかった!食い扶持!」くくろはぱぁっと顔を明るくすると、嬉しそうに紙幣を受け取った。

2017-12-03 02:29:13
はんちょ〜 @Hantipede

(怪生物の精液の片付けも押しつけやがったなあいつ……)後ろでずっと見ていたとーふやだけがはんちょ~の魂胆を見抜いていた。「ではとーふやさーん!また今夜にィーッ♡」自分に向かって熱烈な投げキッスを飛ばしてくるはんちょ~に追い返すようなジェスチャーをして、とーふやは店の扉を閉めた。

2017-12-03 02:33:48
はんちょ〜 @Hantipede

【後半に続く】◆明日◆

2017-12-03 02:34:13
はんちょ〜 @Hantipede

(これまでのゆりすじ:はんちょ~に連れられ、島に移住してきた百合ゾンの少女・魔ッ茶。彼女の特殊な事情からはんちょ~は自らの百足の尻尾を隠して衣食住の手続きをしてやり、彼女を送り出すも、魔ッ茶は日光下に弱く、街の中で倒れてしまう。発見した住人達が担ぎ込んだ先は、『東風屋』だった。)

2017-12-03 21:32:08
はんちょ〜 @Hantipede

(新居にもいなかった彼女を探し回っていたはんちょ~も『東風屋』に駆けつける。改めて魔ッ茶自身の今後について話をつけようとした矢先、『東風屋』にクソリプ怪生物が襲来。だが、今回襲い来たそれの狙いは店主とーふやではなく、新住人の魔ッ茶であった。二人は対処が遅れ、強襲を許してしまう)

2017-12-03 21:37:45
はんちょ〜 @Hantipede

(クソリプ生物と自らへの憤りに燃えるはんちょ~は『それ』を殴りつけ、『東風屋』の外へ引き摺り出したのち、百足の尻尾……その顎肢に含まれる淫毒をめいっぱいに注入することによる、脳神経を焼き切らんばかりの快楽を与えたのち、怪生物の首を膂力で切断せしめ終わらせた。そして、魔ッ茶は……)

2017-12-03 21:46:10
はんちょ〜 @Hantipede

「ではとーふやさーん!また今夜にィーッ♡」自分に向かって熱烈な投げキッスを飛ばしてくるはんちょ~に追い返すようなジェスチャーをして、とーふやは店の扉を閉めた。「さて。んじゃこれからあんたはどうする?家に戻るか?」「ぅ……」「……まだ駄目そうか。まぁあんな目に遭ったばっかだもんな」

2017-12-03 21:50:48
はんちょ〜 @Hantipede

「はい……ちょっと情けないですけど、まだ脚が震えてて……立つのも……」「いーよいーよ。椅子並べてベンチにして、横にでもなってな。今日はもう店じまいだし、誰も困んねーよ。ウールちゃん、後の世話、頼めっかー?」「ぼこぼこぶくぶく……了解でーす」ポリバケツからくぐもった女性の声。

2017-12-03 21:55:00
はんちょ〜 @Hantipede

「……ん」魔ッ茶は自然と目を覚ました。寝ていたのは、先ほどとーふやに言われた通りにした、椅子を複数個横並びにしたベンチ。どくどくウールが掛けてくれたのか、彼女は毛布まで被っていた。窓辺を見ると、すっかりもう日も落ちていた。「お世話になっちゃった……帰らなきゃ」魔ッ茶は立ち上がる。

2017-12-03 22:04:09
はんちょ〜 @Hantipede

「とーふやさんは……上かな」魔ッ茶は2階への階段の元へ行き、上を覗き込む。日が暮れたせいか、少し薄暗い。意を決して昇ろうとした、その瞬間……。「なんだってんだよ!!あたしにばっかりあんなんがさァッ!!」「ひっ!?」上から怒鳴り声が聞こえてきた。とーふやの声だ。「な、何だろう……」

2017-12-03 22:10:56
はんちょ〜 @Hantipede

やはり、自分は彼女に迷惑をかけてしまっていたのだろうか。考えてみれば当然だ。あの醜悪な化物は、自分の元に呼び寄せられたのだから。そう思うと無性に悲しくなった。だが……「それでも、お世話になったんだからお礼ぐらい言わないと」再び気を引き締め、魔ッ茶はなるべく音を立てぬよう上がる。

2017-12-03 22:15:50
はんちょ〜 @Hantipede

「クソッタレ共が!!朝はクソみてえなまとめにツイートが使われてて、昼になりゃ楽しみに観てた特撮のネタバレを、よりにもよってわざわざリプライで送り付けて来やがって!なんなんだよアイツらは!!あたしが何したってんだッ!!クソッ、クソがぁッ!ボケクソ共がぁ……」彼女の語尾が、消え入る。

2017-12-03 22:20:56
はんちょ〜 @Hantipede

「とーふやさん……」魔ッ茶は彼女の激情の発露を案じながらも、彼女を荒れさせているのが自分ではなかったことに深く安堵していた。そうして、2階への階段を昇りきると……「あ…ドア閉めきられてない……」とーふやの自室への扉は少し開けられて隙間があった。「道理で上からの声が響くわけだ……」

2017-12-03 22:25:56
はんちょ〜 @Hantipede

魔ッ茶は壁の裏に張りつき、ドアの隙間を覗けるくらいにそっと開けて中を覗いた。(あれは……)部屋の中に居たのはとーふやだけではなかった。「そうですか……それは大変でしたねぇ」「大変どころの次元じゃねえッつの…クソッ……あたしを何だと…」(はんちょ~さんだ、でも何でこの時間に……?)

2017-12-03 22:30:44
はんちょ〜 @Hantipede

2人は互いにベッドの上に楽な格好で座り込んでいる。とーふやは壁に凭れるはんちょ~の豊満に過ぎる胸元へ顔を埋めて肩を震わせており、対するはんちょ~はそんな彼女を抱きしめてやりながら、その手を取って自分の胸を気慰みに揉ませてやっている。誰がどう見ても、『ただの友達』の域を超している。

2017-12-03 22:37:49