百合ゾン・魔ッ茶ちゃん登場回

魔ッ茶ちゃんの登場回。今回はあの人物の意外な一面が……?
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はんちょ〜 @Hantipede

◆ついに魔ッ茶ちゃん登場回となります。実況タグはこちら→ #百合ゾン

2017-12-02 22:57:42
はんちょ〜 @Hantipede

『Show me your another face!She-She-She male!!』合成音声、熱波の収束。元の薄暗さを取り戻した研究室の中心には、やや色素の薄い小柄な少女が立っていた。「う……」「はァい。終わりましたよ魔ッ茶さん。後で住民票の方、お渡ししておきますのでェ」

2017-12-02 23:03:00
はんちょ〜 @Hantipede

それから先はあまり覚えていなかった。外への入口が開かれた瞬間に、私は一目散に駆け出し……私?あれ?私は『私』だったっけ。どうだったか……分からない。兎に角、森の木陰から街の石畳に足を踏み出した辺りから、やけに陽の光がやや肌に焼け付くようにきつかった。そうしているうちに、私は……。

2017-12-02 23:08:04
はんちょ〜 @Hantipede

「そんで、ウチに担ぎ込まれて来たってワケか」「はい…本当にご迷惑をおかけして……」魔ッ茶は現在、ベッドに寝かされていた。目の前には『東風屋』店主とーふや。数刻前、店内へ常連客達が運び込んで来たのだ。「ホントだよ。ウチは診療所じゃねえっつーのに…あれ?そういやこの街病院あったっけ」

2017-12-02 23:16:04
はんちょ〜 @Hantipede

「えっ、この街病院無いんですか」魔ッ茶は不安そうに問いかける。「……あんま出歩かねーけど、無かった気がする。あのスケベムシにあたしから文句言っとくよ。どうせ今日もまた来るだろうし……」「とーふやさーん?」「噂をすれば」苦々しく顔を歪めたとーふやは渋々と腰を上げ、1階に降りていく。

2017-12-02 23:23:49
はんちょ〜 @Hantipede

来客はやはり、異様な雰囲気を身に纏う美女・はんちょ~だった。「いやーこんにちはァとーふやさァん。本日もすンげぇーしゃぶりつきたくなるむちむちボディでェ」「うっせ。そういうのやめろ、むず痒いだろ」ぎろ、と淡く緑色に光る七つ眼が睨む。頬は赤く、実は満更でもないことを彼女は知っている。

2017-12-02 23:31:28
はんちょ〜 @Hantipede

「とまぁ、今は別にそういった事ではなくて……ちょっと人捜しをしてまして。新規入居者の方なんですが、事前にご用意させてもらったお宅に伺ってもいらっしゃらなくて……」「あぁ。そんなら今うちに居る奴かもしれない。ちょっと呼んでくる」とーふやはさらっと言い残すと、また2階へ上がっていく。

2017-12-02 23:44:15
はんちょ〜 @Hantipede

ギシ、ギシと木造の階段を昇りながら、「あいつがあんなに心配そうな顔すんの初めて見たな……」と、とーふやはそんなことを誰にも聞こえぬくらいの声で呟いた。そうして2階の部屋のドアを開けて、「やっぱりあの女だった。あんたを捜してるようだったけど」魔ッ茶はびく、と肩を小さく震わせた。

2017-12-02 23:49:56
はんちょ〜 @Hantipede

「あの……えと……」「あ?」「も、申し訳ないのですが……一緒に来ていただけると……あの人、ちょっと雰囲気が……怖くて……」「……あー。その気持ちは分かる。スゲー分かる。だけどまぁ安心しな。ハナからあたしも付いて降りる気だったし。……少なくとも今はあたしの身体に、夢中みたいだし…」

2017-12-02 23:55:14
はんちょ〜 @Hantipede

何やら複雑そうな表情を浮かべつつ、自分の豊満な胸にシャツの上から自信なさげに触れるとーふやの最後の言葉を、魔ッ茶は上手く聞き取れなかった。「えっ……?」「何でもねーよ。ほら早く」とーふやは手招きしてみせた。ぱたぱたと些か元気よく駆け寄った魔ッ茶と共にまた2階へ降りると…「んん?」

2017-12-03 00:02:09
はんちょ〜 @Hantipede

次に降りてきた時に、とーふやは何やら違和感を覚えた。はんちょ~の立ち姿に。その正体に、彼女はすぐに思い至った……あまり人様に言えそうにない記憶を理由に。「お前……あの尻尾はどうしたんだよ」「はいィ?さて何のことやら」「とぼけんなよ。お前のシンボルにも等しいあの百……んぶむッ!?」

2017-12-03 00:10:24
はんちょ〜 @Hantipede

言いかけたとーふやの口を、はんちょ~は大胆にも自らの唇で塞いで遮った。魔ッ茶の目の前で。「あ、あ、あわ、あわわわ……」真っ赤になって狼狽しきる魔ッ茶。その隙に、はんちょ~はとーふやの肩を掴んで引っ張り、魔ッ茶に背を向けるように向き直ってとーふやの耳元に顔を近付けた。

2017-12-03 00:15:41
はんちょ〜 @Hantipede

小声で耳打ちする。(ちょっと込み入った事情がありまして。大の虫嫌いなんですよ)(……誰が)(彼女ですよッ!!)はんちょ~は目線で指し示した。(本ッ当にもうとーふやさんは……肝が冷えましたよ!お仕置きが必要ですねっ)(……どんな)(種付けプレスですっ)(大体いつも通りじゃねーか!)

2017-12-03 00:20:22
はんちょ〜 @Hantipede

「あ、あのっ……えっと、お二人はどんなご関係でッ」魔ッ茶はしどろもどろに聞いてくる。慌てふためきったその様はまるで喚く小鳥。「えぇー?どんなってェ……他の方と変わらない、ただのお友達ですよォ」とーふやの腕に、はんちょ~が両腕を絡めた。不自然な大きさの乳房が押しつけられて潰される。

2017-12-03 00:31:28
はんちょ〜 @Hantipede

「ッ……まぁ、そんなとこだよ」「そォーそォー♡ちょっと他より懇意にしていただいてるだけでェ」やたらくっついてくるはんちょ~が不意に背中に手を回し、背骨のラインをつつ、となぞった。とーふやは彼女をギッと睨みつけ、仕返しとばかりにその不自然な乳房の片割れを、かなり強めに鷲掴んだ。

2017-12-03 00:40:53
はんちょ〜 @Hantipede

(完全に乳繰り合ってる……!絶対違う……!!)魔ッ茶は両手で顔を覆い隠しつつも、くっつき合いながら互いの身体にちょっかいを出し合う2人を指と指の隙間から覗くのをやめられなかった。「失礼!!」そんな時!『東風屋』のドアが開けられた。とーふやは彼女の乳首をつねるのを止め、向き直る。

2017-12-03 00:47:35
はんちょ〜 @Hantipede

「そういうことわざわざ言いながらウチに来るヤツは、大抵ロクなのじゃない」とーふやは敵意を隠すことなく、新たな来訪者を睨みつける。「用件は聞いてやる。一体何――」言い終わる前に、『それ』は動いた。目にも止まらぬ速さで、『それ』は……魔ッ茶に向かって飛びかかった。「魔ッ茶さんッ!!」

2017-12-03 00:56:55
はんちょ〜 @Hantipede

はんちょ~が飛び出すも、間に合わなかった。「う、がっ……!?」『それ』は百合ゾンではない。『東風屋』……厳密にはとーふやがその体質で度々招き寄せる、名状しがたきクソリプ生物であった。だが、今回の『それ』の狙う先は彼女ではなく、魔ッ茶だった。それがはんちょ~の対応を、一瞬遅らせた。

2017-12-03 01:02:32
はんちょ〜 @Hantipede

魔ッ茶は叩き付けられた壁に押さえつけられている。黒くうぞうぞと動く触手は、体表面の体液が気化しているのか、鼻が曲がりそうになる程の悪臭を放った。「あ……や、ひっ……」「ヴグフシュルシュルヒュル…キメセクキメセク…糞豚女…」血走った目で何事かを呪詛めいて呟きながら、締め付けてくる。

2017-12-03 01:07:39
はんちょ〜 @Hantipede

「や、だ……やだ……たすけっ……」恐怖に負け、魔ッ茶がぎゅっと目を固く瞑った、その時。『バギャゴッッ』クソリプ怪生物の触手が彼女から引き剥がされた。頭上から、凄まじく強い力でぶち殴られたのだ。黒い血を流しながら床に這いつくばるクソリプ生物を、掴み上げる者がいた。はんちょ~だった。

2017-12-03 01:10:46
はんちょ〜 @Hantipede

「…………」はんちょ~は押し黙ったままだ。無表情で。ちら、ととーふやを一瞥すると、彼女はクソリプ怪生物の首根っこを掴みながら無言のまま、店の出入口まで引き摺っていく。扉を開け放ち出て行ったところで、とーふやは急いで魔ッ茶の元に駆け寄った。「悪い。怪我はないか?」「は、はいっ……」

2017-12-03 01:15:24
はんちょ〜 @Hantipede

「っ、はんちょ~さんはっ……」辺りを見回そうとした魔ッ茶を、「見ない方がいい」とだけ言い、とーふやは胸の中に頭を抱き寄せた。それから、開け放たれた『東風屋』の扉、その先に立つ人外美女をただ見守っていた。人外美女は百足の尻尾を怪生物に巻き付け、持ち上げたのをじっと睨みつけていた。

2017-12-03 01:19:27
はんちょ〜 @Hantipede

「よくも私の目の前で……友人に狼藉をはたらいてくれましたね」『グガ……ギ……キメセク……』「キメセクですか。薬物で無理やり……というシチュは私も好きですよ。3次元の、実際に被害者が出るようなもの以外は」尻尾の顎肢は、既に首根っこに突き立てられていた。既に、『毒』が送られていた。

2017-12-03 01:25:05
はんちょ〜 @Hantipede

時間が経つごとに、次第にクソリプ怪生物は何やらもどかしげに呻き声を上げたり、身を捩ったりしていた。その頻度と呻きがどんどん大きくなる。「私は、性格上どうにも甘いようでしてね。貴方ような者も、最期くらいは気持ち良くしてあげようかなァと……♡」そう言ってから、彼女はやっと、笑った。

2017-12-03 01:31:46
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