ススリンのことかーーーっ!!! (続・実数TL)

一応この前の稠密 TL (http://togetter.com/li/117775)の続き。 今度も実数のお話で、 Suslin Hypothesis についてです。
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くるる @kururu_goedel

スルーされたけど、重複しているからいいか。http://bit.ly/i8Tx8W

2011-03-31 11:17:51
Tomoki UDA @t_uda

@kururu_goedel えっ ごめんなさい。昨日の朝はちゃんと TL 見てなかったので覚えてる範囲で入れたんですが・・・><

2011-03-31 11:23:27
くるる @kururu_goedel

せっかくなのでSuslin Hypothesisのこと書く

2011-03-31 11:22:30
エヴィン・ラティエ @evinlatie

くるるさんがSHについて書いてくれると予想してました。計画通り( ー`дー´)キリッ RT @kururu_goedel: せっかくなのでSuslin Hypothesisのこと書く

2011-03-31 11:27:50
くるる @kururu_goedel

この前@evinlatie さんが書いてらしたように、(順序集合としての)実数直線は、(1)自己稠密、(2)最大元、最小元を持たない、(3)可分、(4)完備、で特徴付けられます

2011-03-31 11:38:41
くるる @kururu_goedel

自己稠密は、任意の異なる二元の間には元があるってやつ。完備は空でない上に有界な集合には必ず上限があるってやつ。

2011-03-31 11:41:17
くるる @kururu_goedel

条件(1)-(4)は全て必要なのですが、じゃあ弱めることはできないかな、というのででてきたのがススリン問題。

2011-03-31 11:42:59
くるる @kururu_goedel

(1),(2),(4)はそのままで、(3)を「互いにdisjointな空でない開区間の集合は高々可算」で置き換えてみたときに、これが実数直線の特徴付けになるかというのがススリン問題。

2011-03-31 11:46:43
くるる @kururu_goedel

つまり、言い換えると「(1)(2)(4)と前記の条件を満たすような全順序集合で、実数直線と同型でないものがあるか? 」というのがススリン問題。

2011-03-31 11:49:26
くるる @kururu_goedel

ちなみに、互いにdisjointな開集合族の濃度の上限は、cellularityとよばれますが、一般位相幾何学の人以外は知らないよね

2011-03-31 11:51:47
くるる @kururu_goedel

連続体問題と同様に、ススリン仮説(Suslin Hypothesis)とは、そういう変な全順序集合はないという命題のことを言います。

2011-03-31 11:56:07
くるる @kururu_goedel

ススリン直線というのは、ススリン仮説への反例のことを言います。

2011-03-31 11:59:52
くるる @kururu_goedel

結果からいくと、ススリン仮説(SHと略記)はZFCから独立

2011-03-31 12:02:21
くるる @kururu_goedel

ZFC+¬SHが整合的であることを示したのは、Jensen。彼は、ダイヤモンドと呼ばれる原理を導入し、V=Lならダイヤモンド原理が成り立ち、かつダイヤモンド原理がなりたてばススリン仮説の否定が成り立つことを証明した

2011-03-31 12:16:52
くるる @kururu_goedel

どちらも今となっては難しくない証明だけれども、両方とも今ではよく使われる議論の典型的なものです。

2011-03-31 12:18:29
くるる @kururu_goedel

ZFC+SHの整合性を示したのは、MartinとTennenbaum(でいいんだよね)。強制法を使ってススリン直線を全てぶち壊していく方法を編み出しました。

2011-03-31 12:22:09
くるる @kururu_goedel

実際には、どちらの証明でもススリン直線を直接扱うのではなく、ススリン木というものを使っています。面倒なので定義しませんが。

2011-03-31 12:23:49
くるる @kururu_goedel

ちょっとこのあたり歴史がどう進んだのかは自信がないんですが、ススリン直線(またはススリン木)を壊していく手法を応用すると、Martin's Axiom(MAと略記)の整合性が言えます。

2011-03-31 12:27:24
くるる @kururu_goedel

MAの定義も略。これは現在では強制法公理と呼ばれている公理のクラスの最初のもの。

2011-03-31 12:30:37
くるる @kururu_goedel

なお、ダイヤモンド原理から連続体仮説がでてくるので、Jensenのやり方ではZFC+CH+¬SHのモデルしか作れません。ZFC+¬CH+¬SHも整合的ってWikipediaにはかいてあるんですけど、どうやるんですか?(だめじゃん)

2011-03-31 12:40:17
くるる @kururu_goedel

Martin-Tennenbaumのやり方ででてくるのは、CHが成り立たないモデル。でも、ZFC+CH+SHも整合的でこれはShelahだよね。証明も筋は覚えているけど細部は自信なし。

2011-03-31 12:44:59
くるる @kururu_goedel

というわけで、実数直線の特徴付けというとても自然な動機から、Lの構造やら強制法公理やら実数を付け加えない逐次強制法やら、現在の集合論に通じるアイデアがたくさんでてきたという意味でとても面白い問題だったと思います

2011-03-31 12:48:39
くるる @kururu_goedel

Martin-Tennenbaumの方法は、要するにススリン直線を一つ残らずガンガン壊してまわるってやつなんですが、厄介なのは「壊しまくっている間に基数とかまで壊れてぐちゃぐちゃにならない?」というのと、「一つススリン直線を壊した影響で新しいススリン直線ができちゃう」というもの

2011-03-31 12:59:57
くるる @kururu_goedel

ススリン木を一つ壊すのは、強制法さえわかれば全く簡単なんですよ。問題は全部壊せるか

2011-03-31 13:01:43
くるる @kururu_goedel

ここで、ススリン直線を壊してできる新しいモデル上で、新しくできちゃったススリン直線を壊して…というのを無限回(実際には\omega_2回)やる必要がでてきて、それをやるためのフレームワークが逐次強制法(iterated forcing)。

2011-03-31 13:05:30