アニメカイジのシリーズ構成・高屋敷英夫さんの軌跡を巡る旅、太陽の使者鉄人28号47話脚本：「己」を失う恐ろしさ

まきもgpfb @makimogpfb

カイジが好きというだけで始めてしまった、カイジのシリーズ構成、高屋敷英夫さんの歴史を追うシリーズの続きやります。 今回は、1980年版鉄人28号47話脚本。 前回は同作41話脚本: togetter.com/li/1181537 他: togetter.com/id/makimogpfb

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高屋敷氏脚本1980年版鉄人28号47a 「太陽の使者鉄人28号」(以下、字数関係で1980年版鉄人28号とする)は、鉄人28号のアニメ第２作。 少年・金田正太郎は、父が遺した鉄人28号と共に、インターポールの一員として悪と戦う。 監督はゴッドマーズ監督の今沢哲男氏。

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高屋敷氏脚本1980年版鉄人28号47b フランスのベルサイユ宮殿に展示されていた王冠・「マリーの瞳」が、謎の巨大ロボットにより盗まれるという事件が発生。 高屋敷氏はコンテ、本作監督の今沢哲男氏は演出として「ベルサイユのばら」に参加しており、そこからのネタと思われる。

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高屋敷氏脚本1980年版鉄人28号47c また、美術品を盗むというのが、ルパン三世(高屋敷氏脚本or演出)やキャッツアイ(同氏脚本)を彷彿とさせる。今回のは、ダイナミックすぎるが。 pic.twitter.com/yfpyQyGYkK

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高屋敷氏脚本1980年版鉄人28号47d 犯人は自称ドロンボ党総裁・ドロンボ。 高屋敷氏のルパン三世脚本回に、「トロンボ」という警察官が出てくるので、名前の使いまわしが見られる。元ネタ自体は「泥棒」や「刑事コロンボ」のもじりだが。高屋敷氏の名前付けは、言葉遊びや楽屋ネタが多い。 pic.twitter.com/sAmAniYQlm

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高屋敷氏脚本1980年版鉄人28号47e ドロンボは、ドイツの研究所から盗んだロボット・イカロスを駆り、美術品を盗んでは闇ルートに流すという犯行を繰り返していた。 そして今度は鉄人を盗むことにする。 ドロンボの秘書はビジネスライクで個性的な美女。高屋敷氏の脚本・演出の不二子もビジネスライク pic.twitter.com/nsjkwq0k19

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高屋敷氏脚本1980年版鉄人28号47f ドロンボは、鉄人を盗む事は自分にうってつけの仕事だと、自信満々でグラスを見つめる。 高屋敷氏特徴の「真実を映す鏡」演出。 キャッツアイ・忍者戦士飛影脚本、ベルサイユのばらコンテと比較。 pic.twitter.com/BozmdQvnW1

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高屋敷氏脚本1980年版鉄人28号47g イカロスはいつもカナダ上空でレーダーから消えるので、ICPOはドロンボのアジトがカナダにあると推測。 正太郎・大塚警部・鉄人は早速カナダへ飛び、地元警察のギャバン警部に会う。ギャバン警部の喫煙仕草が渋い(特徴)。アカギ・カイジ脚本と比較。 pic.twitter.com/Zn2WljwAJq

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高屋敷氏脚本1980年版鉄人28号47h 正太郎達は、イカロスが消える地点の周囲を調べる。 それを知ったドロンボは、盗む対象が自らやって来たとして、イカロスで鉄人を迎撃する。 だが、イカロスは鉄人に苦戦。そこでドロンボは正太郎を狙う。悪役としてはマナー違反だが、敵も頭を使うのが高屋敷氏の特徴

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高屋敷氏脚本1980年版鉄人28号47i イカロスは追い詰められた正太郎は、崖から川に転落してしまう。 大塚警部達が必死に捜索するも、正太郎は消息不明に。 ここで、特徴である夕陽のアップ・間が入る。ベルばらコンテ、コボちゃん・めぞん一刻脚本と比較。 pic.twitter.com/3LsqmUDQpd

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高屋敷氏脚本1980年版鉄人28号47j 正太郎が見つからず、大塚警部は泣く。高屋敷氏の作品では、おじさんが泣く場面もよくある。ルーツは、脚本デビューの「あしたのジョー1」にて段平がよく泣くところからではないかと思われる。 カイジ2期脚本と比較。 pic.twitter.com/9Ie90JavHg

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高屋敷氏脚本1980年版鉄人28号47k 一方正太郎は、ドロンボに助けられるも、捕らわれの身になっていた。ドロンボの目的は、鉄人の操縦法をコンピューターにインプットすること。 それを強く拒む正太郎だが、特殊な機械により催眠をかけられてしまう。

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高屋敷氏脚本1980年版鉄人28号47l その頃、敷島博士(正太郎の父の友人)とブラックオックス(鉄人のライバルだった自律ロボ)が応援に駆けつける。 ドロンボは、格好のデモになるとして、鉄人とブラックオックスを戦わせる。己を失った正太郎と、ギャンブルに脳をやられ己を失ったカイジ(脚本)を比較。 pic.twitter.com/kVqgdq64ZS

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高屋敷氏脚本1980年版鉄人28号47m 鉄人とブラックオックスは互角の戦いをする。 その最中、正太郎が催眠にかかっているのに気付いた敷島博士は、ブラックオックスで正太郎を捕らえる。 一回気絶し、目覚めたことで催眠が解けた正太郎は、鉄人を正しく操り反撃。ブラックオックスと共にイカロスを倒す。 pic.twitter.com/76tC5QnswD

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高屋敷氏脚本1980年版鉄人28号47n ドロンボはイカロスから脱出するも、捕らえられる。 ジタバタするドロンボには愛嬌があり、中高年のコミカルな描写が上手い高屋敷氏の特徴が出ている。ルパン三世2nd演出と比較(画像1)。 また、喜ぶ大塚警部達が可愛い(特徴)。監督作忍者マン一平と比較(画像2)。 pic.twitter.com/tMcZc7hfYh

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高屋敷氏脚本1980年版鉄人28号47o その後、ドロンボのアジトも発見され、闇ルートも明らかに。 レストランにて、正太郎達は乾杯するのだった。 満月に向かい乾杯しているような画に、月を重要キャラと捉える高屋敷氏の特徴が出ている感じがする。 監督作忍者マン一平、蒼天航路脚本と比較。 pic.twitter.com/EyxranA6N7

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高屋敷氏脚本1980年版鉄人28号47まとめ1 今回の脚本は、ファンに人気のあるブラックオックスと、鉄人を戦わせる状況を作る目的があるような気がする。確かにこの2機が戦う姿はかっこいいので、ブラックオックスが味方側についてもなお、鉄人と戦う姿が見たいというファンが多かったのでは。 pic.twitter.com/PJz9QBUI7A

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高屋敷氏脚本1980年版鉄人28号47まとめ2 そして、高屋敷氏が打ち出すテーマの一つ、「己を強く保て」もよく出ている。 己を失った正太郎が操る鉄人は、恐ろしい兵器となってしまう。 また、鉄人は正太郎のアイデンティティの一つなので、高屋敷氏作品によくある、アイデンティティ喪失の危機でもある。

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高屋敷氏脚本1980年版鉄人28号47まとめ3 思えば、本作の高屋敷氏脚本担当作にて、正太郎はコントローラーをなくしたり、コントローラーを操る要である手を怪我したり、敵に催眠をかけられたりしている。 つまり、人間側に試練を与える展開が多い。それを克服してこそ一人前ということかもしれない。

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高屋敷氏脚本1980年版鉄人28号47まとめ4 「一人前」という概念は、高屋敷氏が多く演出を担当(最終回含む)した家なき子に、よく出てくる。家なき子では、「男は、いつか一人で生きていくもの。誰にも頼らず自分の力で生きてこそ一人前」というビタリスの教えが軸になっている。

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高屋敷氏脚本1980年版鉄人28号47まとめ5 そして、この「太陽の使者鉄人28号」では、人間側の正太郎に試練を課すことで正太郎が「一人前」になることを望んでいるような感じを受ける。ただ、あくまで「自発的」にそれができるよう促しており、今川版ジャイアントロボのような、父との関係の苦悩はない。

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高屋敷氏脚本1980年版鉄人28号47まとめ6 今回、己を失った状態がどれほど恐ろしいかを描いているが、カイジ2期脚本でも、一見コミカルなビールシーンにてそれが表れている。禁欲から解き放たれた時こそ、人間は己を失って欲に溺れるという真理を描いており、それを知る班長の恐ろしさも描かれている。

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高屋敷氏脚本1980年版鉄人28号47まとめ7 正太郎もカイジも、まさに死と隣り合わせの試練を与えられている。 それは、家なき子で提示された「一人前」となるための布石とも取れる。 そう考えると、高屋敷氏は、家なき子に相当な思い入れがあるのではないだろうか。 太陽の使者鉄人28号とは、年代も近い

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高屋敷氏脚本1980年版鉄人28号47まとめ8 あと、再度「己を強く保て」について述べると、カイジの構成・脚本にて「オレがやると決めてやる。ただそれだけだ」や、やさしいおじさんの「帝愛じゃねえ、俺だ。俺がやるって言ってんだ」など、原作通りだが「己を強く持つ」台詞が相当に強調されている。

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高屋敷氏脚本1980年版鉄人28号47まとめ9 特に「帝愛の黒服」の一人にすぎなかった「やさしいおじさん」が自我を取り戻し、カイジを助けるのは重要な事として強調されている。 カイジもまた、2期1話の、博打に脳を焼かれ己を失っていた状態から、試練を通して自我を取り戻し、人間愛を発揮する。