ラテン語たん さんによる、「カルミナ・ブラーナ」第1曲目の歌詞の詳しい解説

先行まとめはこちらです。 https://togetter.com/li/1191700
音楽 カルミナ・ブラーナ オルフ ラテン語 人文
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ラテン語たん @Latina_tan
O Fortuna velut luna statu variabilis, 「嗚呼 運命の女神よ 月の如く その姿は移ろいゆく」 #今夜のラテン語
ラテン語たん @Latina_tan
o は1文字で「嗚呼」という間投詞です。 Fortuna は「運命」あるいはそれを司る「運命の女神」です。 英語の fortune とか fortunately とかと関係してますよ。 velut は「~のように」。vel-ut という構成です。 sicutも似た構成ですね。 sic-ut という。 veluti という形もあります #今夜のラテン語
ラテン語たん @Latina_tan
luna は 「月」。英語の lunatic はこれに関係してます。月が狂気をもたらすと考えられていたので「月の」=「狂った」なんですね。 ここまでいいでしょうか、「おお、運命の女神よ、月の如く…」 #今夜のラテン語
ラテン語たん @Latina_tan
statu は status 「状態、様子」です。英語にそのままの形で「ステータス」という言葉がありますね。state も同じ由来です。もともとは sto 「立つ」という言葉に由来しています。statu という語尾なので「奪格」。いろいろな意味がありえますが、ここでは「姿に関しては」くらいです #今夜のラテン語
ラテン語たん @Latina_tan
variabilis 「可変の、変わりやすい、変化する」は、英語の variable と関係があります。 vario 「様々である、変わる」という動詞に「-abilis ~し得る」をつけた形容詞ですよ。 「状態に関しては変わりやすく」、自然に訳せば「姿は移ろいやすく」でしょうか #今夜のラテン語
ラテン語たん @Latina_tan
月の位置が気まぐれに思えない私は現代に毒されている
ラテン語たん @Latina_tan
いまリプライを戴いたんですが、月は(位置も、状態も)移ろいやすいものですね。夜ごと気まぐれな位置に浮かび、その姿形すら毎夜毎夜違っている。 運命はそんな月のように、気まぐれに移ろうものである… #今夜のラテン語
ラテン語たん @Latina_tan
O Fortuna velut luna statu variabilis, 最初の行は単に呼びかけ、次の行は「月の如く」。 最後の行は「状態は変わりやすい」。 格好良く訳すと先の「運命の女神よ、月の如くその姿は移ろう」ですね。 #今夜のラテン語 #くそのすがた
ラテン語たん @Latina_tan
semper crescis aut decrescis; vita detestabilis 次のここは、前の節からつながって「移ろいやすく、そして…」と続いているとも解釈できますし、新しい文になったとみてもいいのかもしれません。 semper は「常に」、 semper fi! とかの semper ですね。 #今夜のラテン語
ラテン語たん @Latina_tan
crescis は cresco 「育つ、大きくなる」の二人称現在。つまり「お前は育つ」です。ここでいう「お前」は「運命」ですが、月になぞらえられているので「満ちる」でいいでしょう。 de- をつけた decrescis は「お前は欠ける」。aut は 英語の or です #今夜のラテン語
ラテン語たん @Latina_tan
直訳では「お前は大きくなり、また小さくなる」。 月に例えていますので「お前は満ち、また欠けもする」。 運命は月のように、満ちたり欠けたり。気まぐれなのです #今夜のラテン語
ラテン語たん @Latina_tan
vita detestabilis vita 「生命、人生」です。 vital とか vitamine とか、あるいは「アクアビット」のビットですね。 detestabilisは… -abilis は英語で -able にほぼ対応します。「忌まわしい」ですね。 運命に弄ばれる人生が「忌まわしい」と嘆いています。 #今夜のラテン語
ラテン語たん @Latina_tan
semper crescis お前は常に満ち aut decrescis; あるいは欠けてゆく vita detestabilis 忌まわしき人生よ 月のように気まぐれに満ち欠けする運命の変転というのが、忌まわしいと嘆いています。 #今夜のラテン語
ラテン語たん @Latina_tan
nunc obdurat et tunc curat ludo mentis aciem, 「今、責め苛み またある時は癒やす 心を、戯れに」 語順がこの辺からごちゃごちゃしてきますよ。 #今夜のラテン語
ラテン語たん @Latina_tan
nunc 「今」 tunc 「その時」 これらは対応してます。 et は英語でいう「and」ですが、also の意味も含んでいるので、結構軽率に使われます #今夜のラテン語
ラテン語たん @Latina_tan
obdurat は obduro 「私は苛む、私は重荷になる」の三人称「それは苛む」です。 duro の部分は endure とかの dure と同じで、 durus 「厳しい、困難な、厄介な」から来ています curat は curo「癒す」… そう、 cure ですね。 #今夜のラテン語
ラテン語たん @Latina_tan
「それ(運命)は今は苛み、またある時は癒す」 これも運命の気まぐれ感を演出するフレーズです。ボコボコにしたかと思えば優しくする。DV加害者の手口ですね。 #今夜のラテン語
ラテン語たん @Latina_tan
この次の「戯れに(ludo)精神を(mentis aciem)」の部分は、今までの文の目的語です。こんな位置にありますが目的語です。 つまり、わかりやすい語順にすると ludo 「戯れに」mentis aciem, 「精神を」 nunc 「いま」obdurat 「苛み」 et tunc「そしてある時には」 curat「癒す」 #今夜のラテン語
ラテン語たん @Latina_tan
ludo は ludus「遊び、戯れ、ゲーム」の奪格ですので「遊びで」。 mentis は mens 「精神」の属格で「精神の」。 aciem は acies 「尖端」の対格ですが、訳に反映させるととても不自然になるのですよね日本語として。 #今夜のラテン語
ラテン語たん @Latina_tan
egestatem,「窮乏を」 potestatem 「権勢を」 dissolvit「溶かす」 ut glaciem. 「氷のように」 窮乏を、権勢をも、氷のごとく溶かす。 #今夜のラテン語
ラテン語たん @Latina_tan
egestatem < egestas「貧しさ」 potestatem < potestas 「力強さ(権力的なほうの)」 原形はどちらも -tas がついてます。英語の -ty にあたります。 どちらも -m がついていますので対格。「窮乏を、権勢を」。 #今夜のラテン語
ラテン語たん @Latina_tan
dissolvit は dissolvo「溶かす、解体する、分解する…」の三人称ですね。 直後にut glaciem「氷のごとく」がついているので、「溶かす」を採用しましょう。 dissolvit ut glaciem それ(運命)は氷のごとく溶かす。 #今夜のラテン語
ラテン語たん @Latina_tan
第二節に入ります。まだppですよ。ピアニッシモ。 Sors immanis et inanis, rota tu volubilis, 恐ろしくも 空虚なる運命 汝は回る車輪なり #今夜のラテン語
ラテン語たん @Latina_tan
sors は「運命」。語幹は sort- ですので、英語の sort、カスティーリャ語(スペイン語)の suerte にあたります。 immanis 「恐ろしい、絶大な」 inanis 「空虚な、虚しい」 rota 「車輪」 -a で終わる女性名詞です。 tu 「お前は」 volubilis「回転している」、女性形です #今夜のラテン語
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