フォビドゥンフォレスト6話「フォビドゥンフレイム」#5「リリア・リース」

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ある者は自分のドッグタグを握りしめた。敵の護符も同じようなものか。それが複数種あるということは、敵組織も複数ということか。 「死体を見てみましたけど、国籍はバラバラで服は市販品でした。でもアミュレットは四種類ありました」 では、四つの組織がいるのかと言えば、そうでもないらしい。 19

2018-02-05 01:04:41
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スライドに太陽を背にした人馬ケンタウルスらしき意匠のペンダントが映し出される。 「まず、ケイローンの弓が使っている弓形の意匠のものが二種類。それぞれ二個と四個ありました。少ない方は耐魔力の高いのに持たせたんだと思います」 よく見れば二つだけは若干作りが細かいように見える。 20

2018-02-06 00:49:50
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このペンダントは護符、つまり魔除けとして渡されていたのだろうが、実際は呪殺用の道具だ。耐魔力の強い者には効き目の強いモノを渡しておく必要があった。恐らくこの二人は周りよりは格上だったのだろうが、であれば受け取る際にデザインの違いを不審には思わなかっただろう。 21

2018-02-06 00:55:33
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「合計六個ってことは……」 「はい。オトロシって妖怪の側にいた六人ですね。彼らがケイローンの弓でしょう」 「彼らに見覚えは?」 「全く」 リリアは首を横に振る。 「それで、問題は残り三人の持っていた二種類の呪具ですね」 スライドが切り替わる。 22

2018-02-06 01:06:53
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映し出されたのは三つのペンダント、先程より鎖の目が荒く、遠目にも先程とは別物だと分かる。 「ここの目玉みたいな模様なんですけれども……」 リリアが支持棒で指しつつ紹子に目配せをすると、拡大映像が出た。 「二種類あるのは間違いないんですが、デザインが結構違うんですよね」 23

2018-02-06 01:13:28
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二個あった呪具は丸い目玉を中心にして象形文字に似た模様が描かれていたが、もう一個の方は楕円形の目玉の周りにルーン文字風の模様だった。 「これは……確かに微妙だね」 幸川が納得したように呟いた。 「どういうことだよ?」 左後ろにいた桐葉が聞いた。 24

2018-02-06 01:20:23
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「ええ……」 リリアは胸を持ち上げるように腕を組み、首を曲げて瞑目した。 「さっきと同じように、下っ端と上司で同系統の別の呪具を持っているとも考えられますけど、意匠がだいぶ違うじゃないですか」 ケイローンの弓の呪具は、全体のデザインはともかく組織を表す意匠はほぼ同じだった。 25

2018-02-06 01:24:29
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一方の目玉模様二種類は、意匠が既に大違いだった。目玉という共通点はあるが、元々魔術師の間では目玉はよく使われるモチーフである。 「しかもこの二種類……どっちが豪華とも言えなくないですか?」 リリアは再び映し出された全体図を指して、隊長たちに問う。 26

2018-02-06 01:28:53
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これまた先程とは違い、象形文字風とルーン風でペンダント全体のデザインもだいぶ異なる。例えば鎖部分がケイローンのものより荒いのはどちらもそうだが、よく見ると、ルーン風の方が少し穴の間隔が小さい。 「つまり、同じ組織とは限らねぇってことか」 「はい」 29

2018-02-06 01:32:07
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目玉の呪具を持っていた三人は、笹田たちが追跡した者たちであり、三人で行動を共にしていた。例え、複数の組織が同盟を結んで風科で暗躍していたとしても、同組織単位で行動するほうが動きやすくはあるだろうが、それでも同じ組織だと断言してしまうのは危険である。 30

2018-02-06 01:36:18
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紹子が引き継いで説明する。 「既にセフィロトにウォーロック組織リストとの照会は依頼していますが、何分画像情報の上に、目玉はよくある意匠ですので、今のところ特定には至っていません。内部構造に関しても、四種類とも核の部分は市販品の改造としか分かっていません」 31

2018-02-06 01:41:56
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続いて副会長の衛守が結論をまとめる。 「結論としては、現在分かっているのは妖怪を操る手段を持ったこの敵はケイローンの弓と少なくとももう一組織いる、ということです」 「これだけじゃ、迂闊に動けねぇな……でもケイローンさんのほうのことは教えて貰えるんだろ?」 雷牙が口元を上げた。 32

2018-02-06 01:50:56
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「はい」 リリアが頷く。 「ケイローンの弓は組織の規模としてはカテゴリー4。皆さんなら充分倒せる程度です」 カテゴリーというのはウォーロックの戦力を表す指標で、0~10の十一段階ある。4というのは市町村を滅ぼしうる程度の規模だ。一方僚勇会をこのスケールに当てはめると6辺りになる。 33

2018-02-06 01:55:12
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「首魁のアポロ・モーガンズを含めた十二人の幹部がいて……全員がA級以上で、S級が三人……ああ、いえ」 リリアは真っ直ぐ前を見て話してはいるがその実、目の縁でタブレットの情報を見ている。それが証拠に端末を自分の胸で遮られない位置に置いて人差し指を延ばして画面を操作している。 34

2018-02-06 01:55:28
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リリアはケイローンの弓について忘れていた。無理もない。カテゴリー4程度の組織なら月に一つや二つは滅ぼしているからだ。今朝ようやくパラサイトの正体の特定が出来、敵が彼らと判明してからは、何とか資料と照らし合わせてどのような戦いをしたかだけは思い出せた。 35

2018-02-07 01:05:01
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スライドにも敵の組織概要が映し出され、リリアの発言を補足する。一般人の拉致や人体実験を頻繁に行っていたことで、組織の規模の割に危険度と討伐優先度、賞金額は高く設定されていた。幹部以外の構成員は四十名ほど。大半はC~Eランク以下の弱い魔術師だったようだ。 36

2018-02-07 01:10:15
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「ノルウェーでは幹部を七人倒しました」 画面に移されていた幹部の写真のうちの七つにバツ印がつく。半日で急いで作成した映像ゆえ、若干見せ方が雑だった。 「今残っているのはS級二人と、A級三人です。強い弱い以前にとにかく倒しにくくて……」 リリアはうんざりした表情で語る。 37

2018-02-07 01:23:44
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「当時いた徒弟は全部殺すか捕まえたんですけど、モーガンズがどれだけ徒弟を補充しているかが問題ですね。強くはないんですけど、どうも忠誠心が高くて……」 軽く頬杖を突いて片目で天井を睨む。彼ら徒弟たちは粗製乱造ゆえ質は低かったが、自爆や肉壁戦術も辞さない者がいてやりにくかった。 38

2018-02-07 01:30:13
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それからリリアは十二幹部について、能力や戦術の委細を語った。既に倒した者についても余さずに知る限りを語り、厄介な能力についての対処法も提案した。リリアと隊長たちの間で互いに質疑と意見を交わし、対ケイローンの弓戦術については十分ほどで概ね方向性が見えた。 39

2018-02-07 01:34:41
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「後の問題は、目玉の組織と妖怪どもか」 「そもそも、連中はどうやって妖怪を調達してやがるんだ?」 「素直に考えりゃあ、目玉の組織が調達役……かねぇ?」 後回しにしていたが、ここが肝心な点だ。情報が少な過ぎて議論の余地が少なかったとも言える。 40

2018-02-07 01:38:52
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「目玉の組織に関しては、とにかく予備戦力を残して警戒に当たるよりありませんね。零落したケイローンに大きな組織が手を貸す可能性は低い、と期待したいですが油断せず堅実に行きましょう」 衛守の言葉に隊長たちは小さく頷いた。未知の敵への警戒は必要だが、過剰に恐れても始まらない。 41

2018-02-07 01:46:05
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「それで、リリアお嬢さん。連中は自前で妖怪を調達できる訳じゃねぇんだな?」 「はい。少なくとも半年前は。連中は妖怪の棲息地に拠点を設けていました」 妖怪が出ると知っていたリリアたちは忌避効果のある護符を携行して行った。風科の祓いと似たようなものだ。 42

2018-02-07 01:52:43
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ところが、妖怪たちは護符の効果を無視してリリアたちばかりを襲いだした。それも複数種の妖怪が明らかに連携して、ケイローンの弓を守るような行動を見せたのだ。お陰で戦力を割く羽目になり、モーガンズたちを取り逃がす一因となってしまった。 43

2018-02-07 01:58:04
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「オトロシや見上げ入道が都合良くほっつき歩いてるわきゃねぇからな。方法は分からねぇが調達の手段はあるんだろうな。それこそ想像もつかねぇが」 雷牙の言葉に一同も首を捻る。妖怪を人工的に生み出すことは不可能ではないらしいが、狙った種を生み出すのは難しいらしい。 44

2018-02-07 02:01:51
フォビドゥンフォレスト@カクヨム投稿中 @fbd_forest

普通の生物で言う遺伝情報を入手するのがまず困難だ。死体がすぐに雲散霧消するという以前の問題で、遭遇機会が少ない。ましてやオトロシと見上げ入道など、特に出現頻度が少ないのだ。遠くから召喚魔術で呼ぶという手もあるが、その為にはまず一度自力で遭遇せねばならないので結局は同じことだ。 45

2018-02-07 02:07:28