2017年出版の新書で印象に残ったもの

2017年に出版された新書のなかから、特に印象に残ったものをまとめました。 合計冊数20冊。レーベルごとに分けると、岩波新書4冊、ちくま新書4冊、ブルーバックス3冊、講談社現代新書2冊、岩波ジュニア新書1冊、集英社新書1冊、星海社新書1冊、中公新書1冊、ぶい&ぶい新書1冊、文春新書1冊、洋泉社歴史新書1冊。 2017年は、ちくま新書が学際的で面白い試みをしている本を多く出版していたように思います。
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アザラシ提督 @yskmas_k_66

遅きに失した感がありますが、昨年2017年に出た新書の中で、印象深かったものや記憶に残ったものをひとつ纏めていこうかと思います。

2018-02-08 21:04:32
アザラシ提督 @yskmas_k_66

以前、2016年の新書について纏めたことがありますので、こちらもよろしければ。 twitter.com/yskmas_k_66/st… togetter.com/li/1064756

2018-02-08 21:06:04
アザラシ提督 @yskmas_k_66

2016年に出版された新書サイズの本ですが、『コーヒーの科学』『戦国と宗教』以外にも面白く、なおかつ教えられたものはたくさんありました。印象深かったものをいくつか挙げるなら… #新書 pic.twitter.com/QZbZun8MnI

2016-12-14 00:43:32
アザラシ提督 @yskmas_k_66

あと、タグはこれ→ #2017年の新書 でいきましょう。誰もまだ使っていないようですし、私自身も後々確認するのが楽になりますので(´▽`)

2018-02-08 21:08:53
アザラシ提督 @yskmas_k_66

#2017年の新書 井田茂『系外惑星と太陽系』岩波新書 岩崎周一『ハプスブルク帝国』講談社現代新書 上野誠『万葉集から古代を読みとく』ちくま新書 大石泰史(編)『今川氏研究の最前線』洋泉社歴史新書y 岡本亮輔『江戸東京の聖地を歩く』ちくま新書

2018-02-08 21:10:08
アザラシ提督 @yskmas_k_66

#2017年の新書 小川剛生『兼好法師』中公新書 神田千里『宣教師と『太平記』』集英社新書 澤井悦郎『マンボウのひみつ』岩波ジュニア新書 高橋敏『一茶の相続争い』岩波新書 旦部幸博『珈琲の世界史』講談社現代新書

2018-02-08 21:11:04
アザラシ提督 @yskmas_k_66

#2017年の新書 辻田真佐憲『文部省の研究』文春新書 中川毅『人類と気候の10万年史』 講談社ブルーバックス 西永良成『『レ・ミゼラブル』の世界』岩波新書 日本史史料研究会(編)『日本史のまめまめしい知識(2)』ぶい&ぶい新書 野村泰紀『マルチバース宇宙論入門』星海社新書

2018-02-08 21:12:09
アザラシ提督 @yskmas_k_66

#2017年の新書 長谷川貴彦『イギリス現代史』岩波新書 畑中章宏『天災と日本人』ちくま新書 山崎晴雄・久保純子『日本列島100万年史』講談社ブルーバックス 山田英春『奇妙で美しい石の世界』ちくま新書 吉田伸夫『宇宙に「終わり」はあるのか』講談社ブルーバックス

2018-02-08 21:13:30
アザラシ提督 @yskmas_k_66

#2017年の新書 印象に残ったのは以上の20冊。順不同で(歴史を扱ったものは可能な限り時間順で)紹介していきます。 pic.twitter.com/0iywAgYqaQ

2018-02-08 21:15:32
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アザラシ提督 @yskmas_k_66

#2017年の新書 『マルチバース宇宙論入門』 まずはスケールの大きなものから。本書は、この宇宙における真空のエネルギー(ダークエネルギーのこと)の「小さいけれどもゼロではない」値を説明する、現在持っている唯一の理論にして(続) pic.twitter.com/zoPnkmvzbz

2018-02-08 21:17:56
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アザラシ提督 @yskmas_k_66

(承前)なおかつ超弦理論などの物理学の成果の帰結として描かれるのがマルチバースだとします。証明に使われる数式などは略されてはいるものの、最も新しい宇宙像をざっくりと読者に示してくれます。

2018-02-08 21:19:20
アザラシ提督 @yskmas_k_66

#2017年の新書 『宇宙に「終わり」はあるのか』 宇宙における「物質」に着目し、宇宙の誕生からその終わりである10の100乗年後までを解説したもの。無量大数ですら10の68乗に過ぎませんから、本書の尺度で言えば、我々が生きている現在の宇宙は宇宙誕生まもなくの現象にすぎません。(続) pic.twitter.com/eStqQQyMjr

2018-02-08 21:21:15
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アザラシ提督 @yskmas_k_66

(承前)さて、本書はビッグバンに始まり物質や星の形成について観測データが明らかにしたものを時代順に教えてくれますが、現代の宇宙で止まらずにさらに遠い遠い未来へと読者をいざないます。(続)

2018-02-08 21:23:31
アザラシ提督 @yskmas_k_66

(承前)その遠い未来では、銀河の衝突・合体が進むにつれ星が生み出されなくなり、恒星が燃え尽きていくと共に文明を生み出せるような生命は存在できなくなります。いずれ銀河や星はブラックホールに飲み込まれて消えてなくなり、(続)

2018-02-08 21:25:32
アザラシ提督 @yskmas_k_66

(承前)やがては原子も素粒子もブラックホールも、最終的には物理現象すらなくなってしまう。この本の終着地である宇宙の終わりは、なんとも虚無的で空しいものです。(続)

2018-02-08 21:29:00
アザラシ提督 @yskmas_k_66

(承前)本書の読みどころの一つは、人類の歴史を「[生命が]、進化を続けて文明を持つに至った(151頁)」の一言で説明しているところかと思います。人間の小ささとともに、宇宙全体における立ち位置を教えてくれるものではないでしょうか。

2018-02-08 21:32:17
アザラシ提督 @yskmas_k_66

#2017年の新書 『系外惑星と太陽系』 系外惑星の新発見が最近多いわけですが、本書はそうした新発見を整理しつつ、系外惑星の探査史・議論の乗り越え・系外惑星の実際と、翻って地球の特徴についての見取り図を示してくれます。(続) pic.twitter.com/KIYcJ1pJ97

2018-02-08 21:34:42
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アザラシ提督 @yskmas_k_66

(承前)この本の面白さですが、地球とは・太陽系とは・生命とはなにかというような根源的な問いを投げかけてくれているところにあるでしょう。系外惑星探査の最前線とこれからの手がかりを教えてくれた好著です。

2018-02-08 21:36:30
アザラシ提督 @yskmas_k_66

宇宙に関わるものではこのほか、ブラックホールの構造・研究史・種類、現実的ではないにせよその利用法(!)についても記述がある『巨大ブラックホールの謎』が面白いものでした。

2018-02-08 21:38:01
アザラシ提督 @yskmas_k_66

2017年はスケールが大きいとともに、人間にとって宇宙(に関わるもの)とは何か・どう位置付けられるのかを考えさせてくれる一般向けの著作を目にすることが多い年だったと思います。

2018-02-08 21:39:55
アザラシ提督 @yskmas_k_66

#2017年の新書 『日本列島100万年史』 この本は日本列島各地方の山や川、海岸や平野といった地形をいくつかとりあげ、それらがなぜ・いつ・どうやってできたのかを説明したものです。(続) pic.twitter.com/Yra8cq6pwO

2018-02-08 21:43:29
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アザラシ提督 @yskmas_k_66

(承前)本書『日本列島100万年史』ですが、一見すると地理学や地球科学に興味のある人向けの本のようではあります。ですが他方で、三内丸山遺跡の立地条件や『出雲国風土記』『平家物語』に見出される当時の地形についての記述は、人文学畑の人間にもなかなかに興味深いものがあります。

2018-02-08 21:45:57
アザラシ提督 @yskmas_k_66

#2017年の新書 『人類と気候の10万年史』 本書はまず過去の地球の気候がどういうもので、またその説明を試みた気候学に対して“本物らしく見える”と比較的穏当な評価を行ないます。その上で、過去の地球には一体何があって、これから何が起こるのかの指標となる湖の底の堆積物を紹介しています。(続) pic.twitter.com/7zEGQ9wCa4

2018-02-08 21:47:47
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アザラシ提督 @yskmas_k_66

(承前)本書では福井県の水月湖から見つかった堆積物を手掛かりに10万年前の湖近くの風景を再現し、他方で気候変動の23000年サイクルの存在を指摘します。終章では気候変動という視点からみたマヤ文明の崩壊や、農耕/狩猟採集の食料供給などの議論を行なうのですが、(続)

2018-02-08 21:50:39
アザラシ提督 @yskmas_k_66

(承前)これらはやや駆け足気味に見えました。 とはいえこの本全体について申し上げるならば、時折研究途中の仮説を挙げつつ、地球全体のメカニズムを探ろうとする、面白い内容の本だったと思います。

2018-02-08 21:52:08
アザラシ提督 @yskmas_k_66

#2017年の新書 『万葉集から古代を読みとく』 「万葉集とは言葉の文化財」と捉える著者による、『万葉集』に収録された歌をいくつかピックアップした随筆的な読み物でした。映画「君の名は」に見られる万葉集的な要素の読み解きは、なかなかに目を引くものがあります。(続) pic.twitter.com/CSExxzwt14

2018-02-08 21:54:39
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